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第44回 デジタル書籍の背表紙

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本は背表紙だ!

本は背表紙だと思うのです。

図1 本は背表紙システム

図1 本は背表紙システム

開発した本は背表紙システムです。

いや,本は中身だとか,装丁だとか,表紙だとか,作者だとか,いろいろなご意見があるのはごもっともではあります。

なにが背表紙かとかいうと,いちばんよく目にするのは,です。

新刊であれば平積みの本で表紙を見て買うこともありますし,Amazonでもページに表紙のサムネイルを表示しています。それでも,買うのは一瞬ですが,買った本を書架に入れれば,背表紙はかなり長いあいだ目にし続けるものです。表紙を見える状態で書架に置くことは,あまりないかなと思います。

余談ながら,デジタル化によってだいぶ書架に透き間ができたために,特製本だけを平台に置くことができるようになっています。紙の本は紙の本で,そうでなければデジタルで,ということです。

デジタルで本のイメージを表現する

背表紙には表紙にないメリットがあります。

背表紙は表紙よりも相対的に面積が小さいことです。表紙をデジタル化した場合には,サムネイルにする必要がありますが,背表紙は原寸大に近くても,それなりの数をひとつの画面に表示可能です。背表紙は,書架でよく見ているのでなじみもあります。

本は背表紙だと仮定したときに,よのなかのデジタルシステムで書物を扱うときに,表紙/背表紙はどうなっているかというと大きくわけて次のようになります。

  • (1)⁠ 表紙
  • (2)⁠ 仮想的な背表紙
  • (3)⁠ 本物の背表紙

ひとつひとつ見てみましょう。

(1) 表紙を扱うシステム

デジタルで本というときに,いちばんよく目にするのが表紙のサムネイルです。

代表的なものは,アマゾンです。このアマゾンの書影を応用したシステムに,慶應大学の増井俊之教授の『本棚.org』があります。『ブクログ』も表紙のみです。

増井教授は以前表紙を横につぶして,擬似的に背表紙を表示しようとしていましたが,表紙と背表紙には似ているところもあり,実験の域を出なかったと思います。

アマゾンはかなり手間をかけて表紙をデジタル化したものを,APIを公開し自由に使用できるので,手軽に使うのには最適です。ただしアマゾンの場合は解像度は低く,現在の比較的高い解像度のディスプレイで見るにはややもの足りないところがあります。

Googleのブックスキャンも同様に表紙を使っています。

図2 慶應大学の増井俊之教授の『本棚.org』

図2 慶應大学の増井俊之教授の『本棚.org』

本のデータベースをソーシャルネットワーキングできるサイトです。

図3 慶應大学の増井俊之教授の『本棚.org』

図3 慶應大学の増井俊之教授の『本棚.org』

アマゾンのデータベースを使っているので,アマゾンに表紙がないところは表紙が抜けます。サムネイルが小さいので,タイトルを読めないものもあり,フラストレーションが溜まります。一覧できる冊数はディスプレイ解像度とサムネイルサイズとの関係によりますが,数は多いので「たくさん感」(© 美崎薫)はあります。

図4 『ブクログ』

図4 『ブクログ』

アイテム数は1300万アイテム以上と多いのですが,サムネイルは小さく,文字情報や広告も多く,インターフェースはリンク&スクロールで構成したいわゆるWeb的なデジタルインターフェースで,本棚にはまったく見えません。本は13冊程度しか見えておらず,⁠たくさん感」は皆無です。

図5 『ブクログ』。新刊情報のページ/p>

図5 『ブクログ』。新刊情報のページ

新刊情報のページを見てみると,見える本は4冊。サムネイルは小さくほとんどなんだかわかりません。⁠たくさん感」は皆無です。すごくフラストレーションが溜まると思います。

図6 アマゾン。お気にいりページ。

図6 アマゾン。お気にいりページ。

お気にいりページを表示したところです。よかれあしかれ,アマゾンのAPIを使うと,アマゾン的な方法に拘束されることがよくわかります。見える本の冊数は5冊。⁠たくさん感」はありません。サムネイルはすこし大きめですが,見てわからないフラストレーションはあります。インターフェースはリンク&スクロールで構成したいわゆるWeb的なデジタルインターフェースで,本棚には見えません。ほんとうの書店との差はきわめて大きいと考えます。筆者の場合,アマゾンでは特定の本をピンポイントで検索する買い方が中心なので,リアルな書店にある未知の本に出会うチャンスは体感しにくいです。インターフェースの問題だと思います。

著者プロフィール

美崎薫(みさきかおる)

夢想家,未来生活デザイナー,『記憶する住宅』プロデューサー,記憶アーティスト。住宅,書斎,机をはじめ,ハードウェア,ソフトウェアの開発をプロデュース。著書『デジタルカメラ2.0』(技術評論社)など多数。

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