デジタル背表紙システム稼働中
「本は背表紙だ!」と思い,既存の背表紙(と表紙)のシステムを紹介しているうちに,自分のシステムの紹介が遅れました。まずは,次の図をご覧ください。
図1 デジタル背表紙システムで構築した背表紙群
知人にメールして見ていただいたところ,「はじめ,メール本文を読む前に添付の画像を開いて,ふつうに本棚の写真だと思ってしまいました。これはスゴいです」と感想をいただきました。というか,普通に本棚に見えますよね。わたしにもそう見えます。
なぜにこうも背表紙なのかとふと書棚を見ていたら,『書物の宇宙誌』が目に飛び込んできました(第3回参照)。これは澁澤龍彦の蔵書目録ですが,本棚のイメージもたくさん紹介されています。そう考えてみれば,昔から本棚の本を好きだったことを思い出しました。
本棚の本。たくさんもっています。
本物の背表紙を使うには手間がかかる
すべてを調べたわけではありませんが,リアルに背表紙をデジタル化した例が第44回の九州大学と『新書マップ』の2例のみなのには,背表紙のデジタル化には大きな問題があることを予感させます。
大きな問題とはすなわち,背表紙のデジタル化にはたいへんな手間がかかる,ということです。本の表紙であれば,平面なのでスキャナにかけやすいのですが,背表紙は立体的な造形物であり,特に本の厚みが薄い場合には扱いにくいために,デジタル化の作業は容易ではありません。
スキャンの場合は,表紙なら自動切り抜きができますが,背表紙では光を考えないとむずかしいのです。九州大学のシステムでは,カメラで撮影する背景に無地のバック紙を使用しています。スキャナを使う場合には,光を回避しなければ,手などが映ってしまいます。
自らデジタル化しない場合には,背表紙が提供されない限りは背表紙を扱うことはできないわけですから,この手間をどう回避するかがたいへんなポイントになります。
宮川拓也氏らの論文でも,『仮想書架を実現するためには,「大量」の背表紙画像をどのように収集・更新するかが問題となる』と,この問題を指摘しています。宮川拓也氏らのシステムでは,カメラを中心に構成し,背表紙画像を生成するために必要な次の作業の手順を満たす仕様になっているといいます。
- 背表紙を撮影する。
- 撮影した写真から背表紙部分を切り取る。
- 切り取った画像のサイズ調整を行なう。
- ファイル名を書誌IDにして保存する。
- 生成した背表紙画像をサーバにアップロードする。
- データベースに登録する。
この手順はたしかにそのとおりなのですが,この手順を追う限りは,1冊ごとにかかる手間を軽減することはほとんど困難です。例によって「大量」は何冊かが問題ですが,宮川拓也氏らのシステムが,2006年の時点で約1,500冊で,その後どうなっているのか興味深いところです。
以上の作業を行い,宮川拓也氏らのシステムでは,10冊の背表紙画像の生成に11分かかるそうです。
総数は推定ですが,『新書マップ』が9,000冊の背表紙をデジタル化しているとすれば,もっとも規模としては大きいと考えられます。

