確実に身につける!メモ術基本レッスン

第3回頭と体に覚えこませる

それでは、いよいよメモを取るための練習を始めましょう。

まずはツールを用意する

まず、ペンと"メモ帳"を用意してください。

"メモ帳"は、別にノートでも手帳でもかまいません。ただ、これから先、いちいち「メモ帳やノート、手帳」と書くのは面倒なので、"メモ帳"と書いたときにはメモツールの中の「書かれる側」だと思ってください。

ペンも、基本的には種類を選びません。ご自分で使いやすいものを用意していただいてかまいません。鉛筆でもシャープペンシルでもボールペンでも万年筆でも、場合によっては矢立を持ち歩いていただいてもかまいませんが、これからやろうとしていること(いつでもどこでもメモを取る練習)を考えて、ペンも"メモ帳"もそれに適していると思えるものを、自分でしっかりと考えて用意してください。

基本的には、ペンも"メモ帳"も「持ち運びしやすいサイズのもの」ですが、練習として望ましいと思われるペンと"メモ帳"というのはもちろんあります。それについては、次回説明します。

もちろん、紙とペンというアナログツールではなく、デジタルツールを使用したメモ術も存在しますが、いつでもどこでもメモを取るという点において、紙とペンに勝るものはありません。紙とペンならば、充電も停電やバッテリー切れの心配もありません。そういう意味では、アナログツールだって使える紙がなくなったり、ボールペンや万年筆のインクが切れたり、ということは可能性として存在しますが、予備を持ち歩いたり、代わりを手に入れるための負担は、デジタルよりもアナログの方がずっと少ないはずです。

他にもいろいろ理由はありますし、デジタルツール派の意見もいろいろとあるでしょうが、とりあえずしばらくはアナログツールでお付き合いください。

ツールをいつも持ち歩く

さて、用意していただいたペンと"メモ帳"ですが、それを可能な限りいつも持ち歩いてください。それが最初の練習です。

それのどこが練習だって? 今までいろいろな本に書いてあったことじゃないかって? 勘違いしないでください。

わたしはペンと"メモ帳"を「いつも持って」歩くように言っているのです。ポケットやカバンに入れておいたり、腰からぶら下げてはダメです。家中のあちこちに置いておくのもなしです。確かにその方が忘れる心配がなくて安心でしょう。いざというときにいつでもメモが取れるように、いつでもメモツールを身近に置いておく、という意味では、それでもいいかもしれません。でもそれは実戦術です。今からやろうとしているのは「練習」です。練習は意識してやらなければいけません。

つまり、意識してメモツールを持ち歩く練習をしてもらいたいのです。

自宅でも職場でも、どこかに移動するときには、必ずペンと"メモ帳"を「手に持って」移動してください。

職場でも

これは、職場では意外と簡単にできるかもしれません。特にデスクワークの人は、机の上の所定の位置に、いつでもペンと"メモ帳"をセットにして置いておき、席を離れるときには必ずそれを手に取るようにすれば良いのです。職場では、基本的に基点となる場所(自分のデスク)が決まっていることが多いと思いますので、移動の際のスタートとエンドがはっきりしています。そのスタートのタイミングでペンと"メモ帳"に手を伸ばし、エンドのタイミングで元の場所に戻せばいいのです。

会議のときはもちろんのこと、トイレに行くとき、喫煙所に行くとき、昼食を取りにいくときも、ペンと"メモ帳"をさっと手に取って移動するようにしてください。

自宅でも

難しいのが、自宅にいるときです。

「いや、自宅ったって、うちはワンルームのマンションだから、ほとんど移動距離はないし」なんて考えてはいけません。その「ほんのちょっとの移動」のときにも、ちゃんとメモツールを持って移動していただきたいのです。

これは意外と大変ですよ。

なぜかというと、家庭では職場と違って基点が曖昧な場合が多いからです。主婦の場合などは、意外とキッチンやダイニングが生活の起点になることが多いかもしれませんが、逆に男性の場合、家の中の基点というものが、実はあまりはっきりしていないのです。そのため、スタートとエンドがうやむやな移動が多くなってしまうのです。

つまり、家の中で移動する場合には、職場にいる時以上に意識する必要が出てくるのです。

まず夜寝る前には、かならず枕元にメモツールを置いてください。ペンと"メモ帳"を枕元に常備するのではありません。最初に用意してもらったペンと"メモ帳"を持って、それを枕元に置いて寝てください。さて、朝目が覚めて、まずトイレに行くなり顔を洗いに行くなりするでしょうが、当然その瞬間から練習は始まっています。忘れずにメモツールを手にとって移動してください。

パソコンに向かうとき、食卓につくとき、トイレに行くとき、風呂に入るとき。すべての移動のときに、ペンと"メモ帳"を「手に持って」移動するよう心がけてください。

そうそう、トイレで用を足しているときや、風呂の中でまで「手に持っている」必要はありませんよ。どこかに置いていただいてかまいません。ただ、次の移動の際には、また手に取ることを忘れないようにしてください。

持ち歩くことに専念する

さて、ここで肝心なことがひとつあります。

この「メモツールを手に持って移動する」という練習の最中は、頑張ってメモを取ろうと思ってはいけない、ということです。もちろん、せっかくメモツールを手にしているのですから、たまたま「これは書いておかなくちゃ」と思ったら、メモしてもかまいません。でも、⁠せっかくメモツールを手にしてるんだから、何かメモを取らなきゃ」とは絶対に思わないでください。違いはわかりますか?

基本的にこの段階では、メモを取ることは忘れて、メモツールを持ち歩くことだけを考えてください。

たしかに、最終目標はメモを取ることですが、この時点ではまだ、そこまで考える必要はありません。むしろ、下手に「メモを取ろう」と思わないで、最初はとにかくメモツールを持ち歩くことだけを考えてほしいのです。下手にメモを取ることを考えてしまうと、逆に「ここでメモを取ることはありえないな」と思ってしまい、メモツールを持って行かない可能性が考えられるのです。

今ここでやろうとしているのは「常にメモツールを持ち歩くことを頭と体に覚えこませる」ということです。ですから、まずは「メモを取る⁠⁠、という行為は忘れて、メモツールを持ち歩くことだけに専念してください。

せめてペンだけでも持ち歩く

移動の際には必ずメモツールをしっかりと手に持って移動できるように、ひたすらがんばってください。最終目標は、⁠移動する時には無意識のうちにメモツールに手が伸びている」です。最悪でも、ペンだけでも持って行くようにしてください。もっとも、ペンに手が伸びるぐらいなら、一緒に"メモ帳"も手に取るのは普通だと思います。むしろ"メモ帳"だけ持ってペンを持っていない、というのは、実は意味がありません。いざという時に、ペンさえあればなんとかなります(非常手段として手に書いてしまうことだってできます)が、"メモ帳"だけあっても、ペンがなかったらメモを取ることはできません。

しかし、実際問題として、物理的に無理な場合は存在すると思います。たとえばスイミング・スクールに通っている人が、泳いでいる最中にもメモツールを持っていられるか、とか、通勤、通学途中はどうするんだとか、俳優がドラマの撮影の最中にメモツール持ってたら変だろとか(まあ、そういう人がここを読んでいるかどうかは別ですが⁠⁠。

そんな、現実にメモツールを持っているのが無理な状態だってあると思いますから、そんなときまで必ず持っていろ、とは言いません。でも、そんな場合でも、少なくとも「ああ、メモツール持って行かれないや」と思うぐらいにまではなってください。⁠持って行きたいのになぁ」⁠持っていないと落ち着かないなぁ」と思うぐらいにまで。

目標は「メモツールを持っていないと落ち着かない」状態

最終的には、メモツールが自分の体の一部に感じるようになれれば申し分ありません。そう、武士が刀を持っていないと落ち着かないように。あるいは、ゴルゴや次元が常に銃を身に着けているのがあたりまえのように。自分とメモツールの関係を、そんな状態にまで持っていってください。

そのために、しばらくの間メモツールをしっかりと持って歩く練習をしてください。

それが最初の練習です。

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