確実に身につける!メモ術基本レッスン

第4回ツールについて考える

さて、メモツールをいつでも「持って歩く」練習はうまくいっていますか? 少しは身についたでしょうか?

うまくいっていなくても気にすることはありません。大事なことは、実際に持ち歩くことではなく、持って行くことを忘れた時に「あ、メモ帳忘れた」と気づくことです。

人によっては、やらなくて良い、と言っておいたにもかかわらず、すでにメモを取り始めちゃってる人がいるかもしれません。それはそれで良し、ですね。止めたりしませんので、じゃんじゃんメモを取ってください。

今回は、持ち歩くためのメモツールについて少し話をしたいと思います。

前回は"どんなものでも可"と言及しましたが、当然持ち歩くのに適したものと適さないものが存在します(まさか、実際に矢立を用意した人はいないと思いますが⁠⁠。

練習に適した"メモ帳"

"メモ帳"の大きさ

まず、⁠どのぐらいの大きさの"メモ帳"が持ち歩きやすいか」ということですが、これはもう、小さい方が持ち歩きやすいのは当然ですね。でも、あまり小さすぎると、持ちにくかったり、どこかにまぎれてしまったり、置き忘れてしまったり、ということがあるでしょう。そのため、適度な大きさが必要になります。それに、実際にメモを取るようになったときに、小さすぎるのも不便です。

常にポケットに入れておく、ということであれば、名刺サイズぐらいでも良いかもしれませんが、練習として「手で持って歩く」ということを考えると、もう少し存在感があった方が良いでしょう。

お勧めはB6サイズかA7サイズぐらい。システム手帳でいえば、バイブルサイズかミニ6穴サイズぐらいが良いのではないでしょうか。

もちろん、ひとそれぞれ好みがありますから、実際に確認するようにしましょう。

"メモ帳"の種類

そして、⁠メモ帳がいいか、ノートがいいか、手帳がいいか」という問題ですが、これも正直にいうと好みの問題です。

ただし、練習としてはポストイットやバラバラになるメモ帳や情報カードはお勧めできません。

これには、いろいろな理由があるのですが、一番の理由は「練習の成果が実感しづらいから」というものです。今はまだ持ち歩く練習しかしていませんが、この先当然メモを取る練習も始まるわけです。そのとき、取ったメモはすべて残しておいて欲しいのです。どんな内容のメモにしろ、練習で書いたメモを残しておけば、⁠練習とはいえ、自分はこれだけメモが取れたんだ」という自信にもつながります。

そのためにも、練習の際には、できれば紙がバラバラにならない"メモ帳"の方が良いのです。

わたしのお勧めは、B6かA7サイズのノートです。そして、これから先、実際にメモを取る練習を始めるときのことを考えると、あまりページ数が多くない方が良いでしょう。100円ショップなどに行くと、3冊セットで売っていたりします。大きさとしては、ロディアやモレスキンミニあたりも良いのですが、残念なことに、これらはページ数が多すぎます。なぜページ数が少ない方が良いのかは、あとで説明します。

あまり細かいことは言いたくありませんが、どんな罫線か、ということも、実は結構大事なことかもしれません。ほとんどの"メモ帳"は横罫だと思いますが、わたしのお勧めは5ミリぐらいの方眼です(4~6ミリの方眼であればよいでしょう⁠⁠。絵や表をヒョイヒョイッと描く場合には、罫なしの白紙の方が自由に書けて良い、という意見もあるかもしれませんが、実際には方眼の方が最適です。

あと、自分は字が下手だからと嘆いている方、試しに方眼罫を使って、方眼にきちんと収まるように字を書いてみてください。その場合、5ミリの罫を5ミリとして使う必要はありません。一度に4マス使って、1センチの罫として大きめの字を書いてもかまわないのです。要は、字の大きさを揃えて、縦だの横だのに字が踊らないようにする。これだけでも少しは読めるようになります。

あ、モレスキンには薄手のやつもありましたっけ。しかも方眼罫もあったはず。若干値が張るので薦めはしませんが、そうやって考えると、練習用にはいいかもしれません。

もちろん、どんな罫線が良いかも、人それぞれ好みに従ってかまいません。わたしが「方眼罫が良い」といったからといって、⁠方眼は好きじゃないんだけどなぁ」と思いながら使っていたのでは、練習になりませんから。

練習に適したペン

紙の次はペン選びです。これも、使いやすいものを用意してもらってかまいません。しかし練習のときには、あまり凝ったものを使わない方が良いでしょう。

ペンの色

まず、練習の時点では単色でかまいません。3色ボールペンを使って色分けするのは、メモを取ることに慣れてからです。色は黒でも赤でも青でも緑でもかまいませんが、黒とか青あたりが無難なセンでしょう。

ペンの種類

その前に、ペンの種類も大事ですね。鉛筆がいいか、シャープペンシルにするか、ボールペンか、万年筆か。筆は置いといて。筆ペンがいい、という方はそれでもかまいません。

鉛筆は、削る手間を考えたら避けた方が良いでしょう。他のペン類だって、芯やインクが切れたらどうするんだ、という突っ込みもあるかもしれませんが、鉛筆を削る手間に比べたら、シャープペンシルの芯のや万年筆のインクの補充の頻度は極端に少ないでしょう。

わたしは普段ボールペンを使用していますが、これは好みの問題です。他の筆記用具でもまったく問題はありません。

ただし、気をつけていただきたいのは、持ち運ぶことだけ考えて、あまり小さいペンにしてはいけない、ということです。ペンは本来書くためにあるのですから、書くときに使いやすいものを用意してください。適度な太さと長さのあるペンでないと、この先始まるメモを取る練習には不向きです。

練習用ツールを選ぶ時の注意点

念のために繰り返しておきますが、ここまで「適さない」とか「不向き」といっているのは、あくまでも練習用のツールとしてです。実戦に入ってしまえば、時と場合に合わせたツールを使ってかまいません。

ストレスの要素を減らす

しかし、メモを取ることを習慣にするための練習をしている間は、可能な限りメモを取りやすいツールを用意していただきたいのです。

これは、メモを取ることから極力不快感、ストレスを取り除くためです。小さすぎたり大きすぎたりする"メモ帳"や、持ちにくい筆記具は、メモを取ることを習慣化するするときには大敵です。メモを取るときに、⁠メモを取りにくい」という不快感やストレスが付きまとうと、無意識のうちにメモを取りたくないと思ってしまう可能性があります。その結果、メモを取ることが少なくなり、やがてメモを取らなくなってしまう、ということになりかねません。それでは、習慣化しません。

本当は、メモを取ること自体に快感の要素が加われば、習慣化するのは簡単なのです。メモを取ることが気持ちよければ、誰でも進んでメモを取るようになるはずです。しかし、実際に「メモを取る」という行為に快感まで組み込むのは少々難しいのです。可能な限り不快感を減らすか、できたとしても「メモ帳を一冊使い切った」という快感を少しでも早く体感してもらうために、あまりページ数の多くない"メモ帳"を使ってもらうことぐらしかありません。

快感の要素を増やす

実は、ノートにしろメモ帳にしろ手帳にしろ、最後の1ページまで使い切った経験のある人というのは、意外と少なかったりします。だからご存知でない方が多いかもしれませんが、最後の1ページにを使い切ったときには、不思議な達成感があるのです。

"メモ帳"のページ数は少ない方が良いという理由はここにあります。練習の時点で、小さいものとはいえ、"メモ帳"を最後まで使い切る、という快感を、早めに味わってもらいたいのです。

バラバラになるようなものは避けたほうが良い、ということにも同じような理由が含まれています。こちらは、最後の1ページまで使い切るという感覚と、それまでに書いて来たものの量が実感できる、ということが達成感につながります。

そういう意味では、ペンも何でもいいと書きましたが、練習用としてのお勧めは、ボールペンです。それも、軸が透明なプラスチック製のもの。できれば、グリップ部分にラバーなどがついていない、先までインクが見えるものがベストです。これは、インクの減りが一目でわかり、ボールペンを使い切る快感を得ることができます。あと少しでインクが終わる、とわかったときは、やたらとメモの量が増えたりすることもあります。

もちろん、既に用意してしまった、という人は、わざわざ新たに用意する必要はありません。練習の時点で時間と手間とお金をかける必要はまったくありません。とはいってもペンと"メモ帳"ですから、新たに買ってもそれほどの金額にはならないと思います。


今回は練習用に最適なペンと"メモ帳"について説明しましたが、最終的に決めるのは自分自身です。お気に入りのペンと"メモ帳"を探して、次回から始まるメモを取る練習に備えてください。自分が気に入らないツールを使うほどストレスの溜まることはありません。気に入ったツールを使えば、それだけメモを取るときのストレスも少なくなり、習慣化するための練習も効果的に実行することができるようになります。

ただし、くれぐれもツールマニアにならないように、気をつけてください。それはそれで、趣味としては楽しいものですし、わたしも注意できる立場にはありませんが、今の目的は、あくまでもメモを取る練習用のツール探しです。

では、次回はいよいよ実際にメモを取る練習です。

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