確実に身につける!メモ術基本レッスン

第8回メモを取るために本を読む

第5回でテレビのCMを使った練習の方法を紹介しました。CMが始まった瞬間にメモツールを手に取ってCMの内容をメモに残す、という行為を繰り返すことで、⁠メモを取るスイッチを入れる」ということを頭と体に覚えこませるのが目的でした。

今回と次回は、はじめからメモを取るつもりでメモを取る、という状況の練習方法を紹介します。

本を読みながらメモを取る

はじめからメモを取るつもりでメモを取る、というのがどういう状況かというと、最も一般的なパターンは、本を読みながら、重要だと思うところや、気づいたことをメモに残す、というメモの取り方でしょう。本を読むときに、あらかじめ「大事なことはメモしよう」と考えて読み始める読書のしかたです。

これは、ちょっと考えると誰にでもできそうですね。興味のある本を読んで、何か思いついたり、ここは重要だと思うことがあったら"メモ帳"に書き取るなり、本に直接書き込んでしまったりすれば良いわけです。

ところが不思議なことに、これがうまくできない人が多いのです。

興味のある本は不適切

うまくできない理由の一つは、おかしな話ですが、興味のある本を読んでしまっているから、という点でしょう。あまりに興味がありすぎて、本を読むことに集中してしまい、メモを取るのを忘れてしまう。つまり、のめりこんでしまったために、先が気になって、どんどん先に進むことに気を取られてしまうのです。そういう場合は、メモを取るのを忘れてしまうことがあります。

これを練習でどうにかしようと思った場合、のめりこむような本を読んではいけない、ということになります。つまり、本を読みながらメモを取る練習をするには、興味がある本を使ってはいけない、ということです。

もちろん、練習ではなく実戦ならば、興味がある本、読む必要がある本を読みながら、メモを取ったり線を引いたりするわけですが、そのための練習をする場合には、のめりこんでしまうような、興味のある本を使ってはいけないのです。

突っ込みやすい本を読む

しかし、いくら練習とはいえ、内容に興味のない本を読むのは苦痛でしょう。興味がないと、理解するのも困難で、メモを取るべき箇所がわからない可能性もあります。そこで、メモを取る練習としては、興味はあるけれど著者の意見には反対、というタイプの本を読んでみるのです。

たとえば、メモ術やノート術の本は、いろいろな人が自分なりの方法を紹介する形で、数多く書店に並んでいます。その中から、目次をざっと眺めてみたり、中をパラパラとめくってみて、⁠これはちょっと、どうなんだろう」という感じがした本を読んでみるのです。

もちろん、メモ術やノート術の本でなくとも、自分が興味のある内容の本でかまいません。興味があるということは、ある程度は知識もあるでしょうから、書かれていることが自分の思考や嗜好にあっているかどうかは、判断できると思います。

ただし、この場合の対象には、小説などの文芸書はあまり向いていません。主にビジネス書などに代表される「何かのやり方を書いた本」が適しています。できれば、同様のテーマで複数の著者がそれぞれの観点から本を出している、選択の幅の広いジャンルがお勧めです。

メモを取る練習をするための本を選ぶ場合の観点としては、以下のようなものがあげられます。

  • 自分と考え方が逆
  • 踏み込みが甘い
  • 論理に矛盾がある
  • 今さら感が多い
  • どこかで読んだことがある

なんだか、この連載のことを言っているような気がしてきましたので、これ以上あげるのはやめておきますが、要は、突っ込みを入れやすそうな内容の本を読んでみる、ということです。そして、その突っ込みをメモしていけば良いのです。

もちろん、そんな中にも「おお、これは!」という考えが書かれていることがあるかもしれません。それはそれで、儲けものとしてメモしておきましょう。

本を読みながらアイデアを出す

じつは、こういった本の読み方は、メモを取る練習だけでなく、アイデアを出す練習にもなるのです。

突っ込みを入れやすい本を読んで、突っ込みを入れるだけでなく「ではどうすればよいのか」といった、自分の考えもメモするように心がけておけば、自分のアイデアを引き出す役にも立ってくれます。

自分と考えが違うならば、自分がどう考えるかをメモする。踏み込みが甘いと感じるのならば、自分なりにもっと踏み込んで考えてみる。場合によっては、文章が読みづらい、理解しづらいと感じることもあるでしょう。そういうときも、なぜそう感じるのかを考え、分析して、それをメモに残すようにするのです。

ただし、突っ込みを入れるにしても、あくまでもメモを取る練習や発想を得るためと自覚して行ってください。悪意を前面に押し出した読み方は、精神衛生上もよくありません。

少し簡単な本を読む

そのほか、少し前にも触れましたが、本を読んでも理解できないためにメモが取れない、ということもあります。

勉強のために読んでいる本などは、難しすぎて理解できず、どこをメモすれば良いかわからなかったり、結局最初から最後まで全部メモする必要があるように感じてしまうことがあります。

そういう場合には、少し簡単な本を読みながらメモを取る練習をすることをお勧めします。

わかりやすい例としては、歴史の本があります。

歴史に詳しくない人が、いきなり詳しく書かれた歴史の本を読むと、何が重要で何がとばして良い事柄なのか、わからないことがよくあります。そういう場合は、例えば最初は小学生レベルの本を読んでみるというのも一つの手です。

そうすれば、重要なところとそうでないところが区別できて、メモを取るのも楽になるはずです。

もっともこれは、メモの練習方法というよりも、勉強の方法に近くなりますね。

最低でもページと行はメモする

本を読みながらメモを取る場合も、これまでに説明してきた通り、メモの取り方は自由です。本に直接書き込みしようが、線を引こうが、マーカーで塗ろうが、自分で買った本ならば好きにしてください。

もちろん、"メモ帳"に書いていってもかまいません。その場合のやり方として、一つのやり方を紹介しておきます。これは「こういうやり方もある」という程度の参考にしてください。

まず、専用の"メモ帳"を一冊用意します。これは、今までにも何度か出てきた「小型でページ数の少ないもの」がベストです。そして、その"メモ帳"を使い切るつもりで、本を読みながらメモを取っていくのです。この場合、練習としては質より量を目指すのが目的です。

ちょってでもひっかかった部分、反論を思いついた部分は、片っ端からメモしてしまいましょう。

メモするときに、いちいち本文までメモするのは面倒だと思いますが、最低でもページと行ぐらいは、以下のような感じでメモしましょう。

pxx、lxx」

pはページ、lはライン(行)です。

いちいち行を数えるのが面倒なときは、

pxxpxxpxx

程度でも良いでしょう。⁠前」は前半、⁠中」は中ほど、⁠後」は後半といった感じです。

該当箇所に、行がわかるように付箋を貼って、それに番号をふっておくのも手です(はがれてしまう可能性もありますが⁠⁠。

とはいえ、何度も言いますが、メモの取り方は自由です。自分がやりやすい方法で練習してみてください。

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