第5回でテレビのCMを使った練習の方法を紹介しました。CMが始まった瞬間にメモツールを手に取ってCMの内容をメモに残す,という行為を繰り返すことで,「メモを取るスイッチを入れる」ということを頭と体に覚えこませるのが目的でした。
今回と次回は,はじめからメモを取るつもりでメモを取る,という状況の練習方法を紹介します。
本を読みながらメモを取る
はじめからメモを取るつもりでメモを取る,というのがどういう状況かというと,最も一般的なパターンは,本を読みながら,重要だと思うところや,気づいたことをメモに残す,というメモの取り方でしょう。本を読むときに,あらかじめ「大事なことはメモしよう」と考えて読み始める読書のしかたです。
これは,ちょっと考えると誰にでもできそうですね。興味のある本を読んで,何か思いついたり,ここは重要だと思うことがあったら"メモ帳"に書き取るなり,本に直接書き込んでしまったりすれば良いわけです。
ところが不思議なことに,これがうまくできない人が多いのです。
興味のある本は不適切
うまくできない理由の一つは,おかしな話ですが,興味のある本を読んでしまっているから,という点でしょう。あまりに興味がありすぎて,本を読むことに集中してしまい,メモを取るのを忘れてしまう。つまり,のめりこんでしまったために,先が気になって,どんどん先に進むことに気を取られてしまうのです。そういう場合は,メモを取るのを忘れてしまうことがあります。
これを練習でどうにかしようと思った場合,のめりこむような本を読んではいけない,ということになります。つまり,本を読みながらメモを取る練習をするには,興味がある本を使ってはいけない,ということです。
もちろん,練習ではなく実戦ならば,興味がある本,読む必要がある本を読みながら,メモを取ったり線を引いたりするわけですが,そのための練習をする場合には,のめりこんでしまうような,興味のある本を使ってはいけないのです。
突っ込みやすい本を読む
しかし,いくら練習とはいえ,内容に興味のない本を読むのは苦痛でしょう。興味がないと,理解するのも困難で,メモを取るべき箇所がわからない可能性もあります。そこで,メモを取る練習としては,興味はあるけれど著者の意見には反対,というタイプの本を読んでみるのです。
たとえば,メモ術やノート術の本は,いろいろな人が自分なりの方法を紹介する形で,数多く書店に並んでいます。その中から,目次をざっと眺めてみたり,中をパラパラとめくってみて,「これはちょっと,どうなんだろう」という感じがした本を読んでみるのです。
もちろん,メモ術やノート術の本でなくとも,自分が興味のある内容の本でかまいません。興味があるということは,ある程度は知識もあるでしょうから,書かれていることが自分の思考や嗜好にあっているかどうかは,判断できると思います。
ただし,この場合の対象には,小説などの文芸書はあまり向いていません。主にビジネス書などに代表される「何かのやり方を書いた本」が適しています。できれば,同様のテーマで複数の著者がそれぞれの観点から本を出している,選択の幅の広いジャンルがお勧めです。
メモを取る練習をするための本を選ぶ場合の観点としては,以下のようなものがあげられます。
- 自分と考え方が逆
- 踏み込みが甘い
- 論理に矛盾がある
- 今さら感が多い
- どこかで読んだことがある
なんだか,この連載のことを言っているような気がしてきましたので,これ以上あげるのはやめておきますが,要は,突っ込みを入れやすそうな内容の本を読んでみる,ということです。そして,その突っ込みをメモしていけば良いのです。
もちろん,そんな中にも「おお,これは!」という考えが書かれていることがあるかもしれません。それはそれで,儲けものとしてメモしておきましょう。

