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第4回 評決のとき~いよいよ日本初のネット選挙が終わる!~

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第23回参議院議員通常選挙の投票日が,いよいよ次の日曜日に迫りました。今回は投票日直前,ここまでのネット選挙について考察します。

一番重要なのは,ネット上の情報に踊らされないこと

前回ネット上の誹謗中傷や風評被害について解説しましたが,そこでも触れたように多くのユーザがシェアや「いいね!」をしている情報であっても,それが事実とは限りません。また,有名人が拡散している情報も,それが事実とは限りません。とくにネット上の情報は,たとえ元の情報が正しかったとしても,拡散していく中で内容が改ざんされてしまっている可能性もあります。もちろんネット以外のメディアが全て正しいというわけでもありませんが,誰もが気軽に発信できるネット上だからこそ,リスクは高いということも改めて認識する必要があります。

投票日が間近に迫り,政党や立候補者だけでなく,その支援者からの情報発信も多くなっていくことが想定されます。そのような情報の氾濫の中で,いかにその情報に踊らされずにいられるかが,投票日までの間では重要となるでしょう。何気なく目に触れたリツイートや投稿タイトルで「ん?」と感じたときには,その情報元であるリンク先ページにきちんと目を通し,自身の目でその情報の真偽を確かめる必要があります。

また,逆に自分自身が不明確な情報をむやみに拡散してしまわないよう,リツイートやシェア,トラックバックなどは慎重にすべきです。無意識・無自覚に誤情報を流し,SNSやブログで繋がっているご自身の知人や読者に対して悪影響を与えてしまう可能性があるということも,改めて留意しましょう。

信用に値する情報源を見定める

今回のネット選挙解禁に合わせ,多くのネットメディアが選挙の特設ページを設けています。また,意欲的にネット上の選挙情報を発信するようなユーザも存在します。もしも今回の選挙でネットの情報を投票先の検討材料にするのであれば,そうしたものの中から自分自身の目で見定め,信用に値するかどうか判断していくことが重要です。

もちろん今回のネット選挙解禁の醍醐味である,立候補者本人のネット上の発言をつぶさに読んでみて,その人となりや考え方に触れるのも良いでしょう。立候補者と一般ユーザとのやり取りなどがあれば,そこからある程度人柄なども推測できるかもしれませんし,これまでのようにテレビ越しや選挙カー越しに見るよりも,もしかすると身近に感じることができるかもしれません。そうしたことができるのも,今回の参院選からの特徴と言えますね。

改めて自身が気をつけなければならないことを振り返る

本連載の第2回で詳しく解説していますが,今回のネット選挙解禁にあたり,有権者である我々ユーザ側が注意しなければならないリスクがいくつか存在します。そのリスクを改めて振り返ってみましょう。

1.選挙運動(=選挙運動用,落選運動用の文書図画の頒布)をする際は,表示義務を守る
⇒匿名性の掲示板での投稿や,ハンドルネームだけでの情報発信はNG
2.自分の身分を偽って選挙運動を行わない
⇒明確な選挙法違反に問われ,罰せられるリスク高
3.電子メールを使って選挙運動をしない
⇒政党や候補者からの選挙運動用のメール(メールマガジン含む)の転送もNG
4.投票日当日(今回の参院選だと2013年7月21日)は選挙運動をしない
⇒「○○候補(○○党)に投票してきた!」という内容もNGの可能性あり
5.未成年は選挙運動をしない
⇒未成年も積極的に情報発信をするネットだからこそ気をつける
6.不明確な情報を安易に拡散しない
⇒情報の発信源をきちんと見極めることが重要
7.候補者や政党に対しての事実と異なる情報の流布,誹謗中傷をしない
⇒今回ネット上のでの監視も強化されているので,見逃されない可能性有り

ネット選挙解禁が今後どうなっていくのか,楽しみながら推移を見守る

日本初のネット選挙解禁となった今回の参院選,残り期間も数日となりました。SNSやネット動画,スマートフォンアプリなどなど,これまでとは趣の異なった選挙戦を展開していますが,皆さんは満喫していますでしょうか。これまでの政党のイメージからかけ離れた,ゆるキャラや萌えキャラの起用に,もはや恒例となった生放送のネット討論会。とある候補者のアカウントにはコメントがたくさん寄せられ,とある政党のコミュニティボードには応援メッセージが数多く掲載される。候補者と有権者がネット上で意見交換をするようなケースもありました。ネット選挙解禁によってもたらされたこれら一つ一つの事象を,まずは満喫し,楽しむべきだと私は考えます。

何といっても初めてのことなので,まだまだ法的解釈が曖昧であったりして若干リスクもあるにはありますが,基本的なルールを守っていけばそれも大丈夫でしょう。

ネット選挙の先進国であるアメリカや韓国では,もはやネット上での選挙運動は多くの票を左右するほどの影響力を持っていますし,前回のアメリカ大統領選では,オバマ陣営のネット上での選挙運動の成功が,当落を分けた一因とも言われています。

そうした流れは,おそらく日本でもますます加速していくことでしょう。そうであるならばこそ,実は今回の参院選は今後の試金石とも言えるのです。ある意味貴重な今回の選挙期間を幸いにも有権者として迎えることになる方々は,この貴重な期間を存分に満喫し,そして選挙後の推移もチェックして,今後の日本の政治に対してどのようにネットが絡んでいくのかを想像してみるのも一興ではないでしょうか。

5回目となる次回は,参院選の投票日前後の動きを追い,日本初のネット選挙がどのように進み,どのような効果をもたらしたのかを解説・検証していきます。

著者プロフィール

桑江令(くわえりょう)

2010年12月,シエンプレ株式会社入社。

ネット上の風評被害対策最大手のシエンプレにて,Webコンサルタントとして全国各地のクライアントのWeb戦略の策定やソーシャルメディア活用のプランニング,そして100社以上のWebリスクマネジメントに従事。

現在は営業現場にも積極的に携わり多くのクライアントの最新の悩みやニーズに触れる他,クライアントの社内向けにソーシャルメディア研修などを行い経験を積みながら,ネット選挙やWebでの誹謗中傷など,最新のレピュテーション・マネジメントについての講演も多数行っている。

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