実践!GTD~一歩先の仕事管理

第2回 ドキッ!仕事だらけの仕事大会!ポロリもあるよ☆~だから私は仕事管理ができない~

この記事を読むのに必要な時間:およそ 3 分

いきなり刺激的なタイトルで驚かれたかもしれません。今回の記事を読んでもらえると,とても納得して(身につまされて?)もらえると思います。

GTDがやっぱりよくわかりません

はっきり言いましょう。GTDの概念は分かりにくいのです。

GTDのざっとの概要については,gihyo.jpの「GTDでお仕事カイゼン」ITmedia Biz.IDの特集で説明されています。読んですぐ理解できましたか? 読めば読むほどかえって混乱してしまった人もいるのではないでしょうか。結構やることが沢山あります。理論も簡単そうで複雑です。"GTDって何となく良い感じのツールかな?"というのは感じとれます。でもなんだかスッと腑に落ちない。心に引っかかりができる,考えるより実践した方が理解が早いこともあるので,論ずるより生むが易し,とばかりにとりあえず始めてみる。ところがすぐに,こういう作業でいいのかしら? こんな時はどうしたらいいのかな? そんな不安がみなぎってきます。

実際やろうとしてつっかえてしまうのは,GTDが既存の仕事管理方法に類似する点も多く,とっつきやすいように見える反面,全く新しい思考の上に立脚しているからに他ありません。その独特で新しい思考について,ひとつひとつ解明していこうと思います。まず,今回は自分のおかれている状況の変化について,段階をおって見ていくことで,状況の再確認をしてみましょう。

例えば,志村君はこんな風に仕事をしてきました。

ここで一つ,例を見てみましょう。いかりや商事に入社した新人の志村君が,会社に入ってからどの様に成長していくのか,成長するにつれ,どんな風に仕事を管理しようとするのかに迫ります。

会社の研修が終わってOJTが始まりました。志村君が始めに渡された仕事は,片手で足りる数でしたが,念のため仕事をToDoリストにまとめ,作業が完了したらチェックボックスにチェックをつけて仕事が終わったか終わってないかを確認するやり方,つまり『ToDo管理』を行うことにしました。

しばらくして所属が決まり,志村君も部内ミーティングに参加するようになりました。部内ミーティングの時間はグループウェアのカレンダーに登録されます。こうして,『ToDo管理と会社のカレンダー』の二本立てで仕事管理をすることになりました。

志村君が部に所属してからしばらくすると,プロジェクトにアサインされました。OJTの頃はさほど問題なかった仕事の量ですが,この段階になってくると徐々に仕事が増えてきました。また,志村君は仕事を任されたことでやる気が増し,どんどん仕事をこなしたいと考えました。そこで,今までのToDo管理を止め,この時間に何をするという風に,一日の中での時間を割り振りながら仕事をこなすようにしました。志村君にとっての仕事管理は,時間割のように時間を決めて仕事をする計画を立てること,つまり『時間割管理』に変更になりました。

実際,プロジェクトを進めてみると,自分の決めたスケジュールを進めることは難しいと,志村君は薄々感じるようになりました。お客さんから電話が入ったり,同じプロジェクトメンバの先輩である加藤さんに相談しなくてはならないことが生じたり,逆に相談されたりなど,思いがけず時間を取られてしまうポロリと割り込む仕事(以下ポロリ)があるからです。そうすると,一気に時間はずれ込みます。そこで志村君は仕事の管理方法を,時間割管理から,1日単位で今日はこれとそれをしよう,といった管理の仕方,つまり『1日単位管理』にシフトしていきます。ところが,志村君を取り巻く環境の変化はこれだけでは済まなかったのです。

プロジェクトもだんだんと慌しくなり始めます。1日で消化できていた仕事がますます終わらなくなり,志村君は,仕事を次の日に持ち越すことが多くなります。理由は簡単です。通常業務の増加に加え,今までそれほど問題でなかったポロリが,徐々に増えてくるからです。順調に成長し,それだけ頼られる存在になっていく志村君。家に帰るのがだんだん遅くなる現実が辛くなってきた志村君。せっかくの自分のスケジュール管理も,書いても書いても書き直しばかり。やることを次の日に書き直すことが面倒になり,1日単位から,1週間内に仕事こなそうとする『週間単位管理』に,志村君は変更せざるをえません。しかし,週間単位管理でも,対応しきれない状況に陥りはじめます。志村君は奈落の底へゆっくり落ちていきます。

プロジェクトは佳境を迎えました。志村君も,いつの間にか任される仕事の範囲が広がり,致命的な問題が発覚すると,至急対応しなければならないような,緊急かつ重要ポロリが,志村君に降りかかるようになってきたのです。志村君はジレンマに陥ります。仕事を任されるのは嬉しいけれども,だからといって家に帰るのが連日深夜になるのは望んだ状態ではない,そんなに俺の仕事管理が悪いんだろうか! いやいや,精一杯やってるさ,これが俺の限界なんだ。気持ちはささくれ立ちます。休日になっても志村君はぼーっと過ごすぐらいしかできません。せっかくの休みなのに,何をやりたいのかわからないし,そもそもそんな気力だってありません。平日の仕事でいっぱいいっぱいなのです。土日くらい,何も考えず漂いたい――そう思うのも仕方のないことかもしれません。

プロジェクトが終わったら,落ち着くよね――そんな志村君の希望的観測は,夢へと潰えました。

志村君は仕事ぶりを買われ,その後プロジェクトの主要なメンバになっていくのです。プロジェクトのグループリーダとなり,プロジェクトリーダとなり,あっという間に志村君は,プロジェクトにとって欠かせない存在と成長しました。志村君の私生活の時間と引き換えに……。いつも忙しいのが当たり前の状況に慣れてしまった志村君は,いつの間にか忙しい自分の状態を疑問に思わなくなりました。仕事で家に帰るのが遅くなるのも当たり前,だってそれが働くってことだもん!――こうして,志村君はワーカホリックの道を一直線に進むのです。

多くの人が,志村君の話に涙を禁じえないことでしょう。こうしてみると,ふと疑問が沸きます。「人生それでいいのか,志村君?」 休日も楽しめない志村君の人生は,仕事をこなすだけでおしまいです。むなしい気持ちになりませんか。それに,いつまでもこんな生活を続けていけるわけではありません。年もとります。健康を害するかもしれません。

志村君がこのような生活サイクルに陥ったのは何が原因でしょうか。もちろん,こなしきれない仕事量に問題がありますが,もっと問題なのは志村君の仕事の管理方法なのです。

著者プロフィール

nomico(のみこ)

GTDジャンキー。IT系企業に勤めて仕事にアップアップの日々に,藁をも掴む気持ちで始めたGTDに味をしめ,その後突っ走って過ぎること1年半。研鑽内容についてはブログのworks4Lifeにて展開中。現在は,GTDの理解を日本で深めるためにmixiでGTD勉強会も開催している。好きなウェブサービスやソフトウェアを使い倒す癖あり。目下の興味はEvernoteとDiigo。最近はプロジェクタとストールがほしい。

work4Lifehttp://works4life.jp
GTD勉強会http://mixi.jp/view_community.pl?id=3013597

コメント

  • はじめまして

    GTDに興味があったのですが、やってみてもなんだかうまくいかないので、困っていました。


    志村君(笑)の例は、涙なくして見れません。私も同じパターンで仕事におぼれています。こんな大わらわな志村君が、GTDをするとどうやって金曜日にすがすがしく帰れるようになるのか、今後の連載をとても楽しみにしています。

    頑張ってください。

    Commented : #1  sakura (2008/04/28, 23:09)

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