サンフランシスコで昼食を
第13回 2007年のソーシャルネットワーキング事情を振り返る
2008年2月7日
初出:WEB+DB PRESS Vol.42(2007年12月22日発売)
2007年を振り返って
自分の携わっているブログサービスVoxの正式ローンチからほぼ1年が経ちました。Voxはブログとソーシャルネットワーク(以下SN)の中間的サービスと紹介されることが多いですが,この2007年のブログ系サービスとソーシャルネットワークサービス(以下SNS)流行には,大きなムーブメントがあったように思います。
Twitterにみるmicrobloggingの流行
個人向けブログサービスは,アプリケーションインフラとしては一段落したように思います。ブログ自体のスペック競争は終わり,サービスの安定性,テーマの多様性,SN的機能が選択要素になりつつあります。そしてそこを逆手に取ったような,Twitterを筆頭とする,最小機能でSNにフォーカスしたmicro blogging系サービスが今年は数多く現れました。文章量や内容をある程度制限することで,ブログを作り毎日更新するのは敷居が高いと感じる層からIMやIRCでステータスを更新していたヘビーユーザ層までを取り込んだTwitterの発想は,さすがEvan Williams(注1)です。ともすれば複雑なUIになりがちな投稿画面からシンプルさへの回帰は,今年ヒットしたサービスの特徴と言えそうです。
- 注1)
- Twitter開発者。レンタルブログサービスの先駆けといえるBlogger創業者でもある。
SNのニッチ化・オープン化
SNSではMySpaceやFacebookなどの大手が幅をきかせている中,ニッチな機能・ジャンルにフォーカスしたものが人気を集めています。個人的に気に入っているのがDopplrとiusethisです。
Dopplrは旅行の計画を友人とシェアするサービスで,「いつどこに旅行へいく」という情報をリストすると,その時期にその場所にいる友人がわかります。各国のカンファレンスなどによく参加する先進的なネットユーザがこのサービスを好んで利用しており,キャズムのアーリーアダプタ層から伝播していくモデルが自然に成り立ったうまいやり方だなぁと思います。
iusethisでは,Mac OS Xで利用しているアプリケーションをマイリストに登録して,人気のアプリを探したり,最新バージョンをトラックできます。現在SN機能はオマケ程度ですが,友人が利用しているオススメアプリなどを自動でリコメンドしてくれると便利かもしれません。OS Xユーザはほかの人にMacを勧めたいという人が多いように思えるので,Dopplr同様,そうしたユーザ層にまずマッチさせていくのはうまいですね。
ニッチなSNSは,最初のユーザ層獲得やユーザ側の新しいネットワークへの登録コストが大切な要素です。
Facebook Apps platformは,そうした状況へのブレークスルーとしてアプリケーション開発者に支持されました。Facebookの定めたプロトコルやAPIにしたがってアプリを書けば,Facebookのユーザがそのアプリをプロフィールに組み込むことができ,またアプリは許可を得れば利用しているユーザの友達ネットワークにアクセスできます。実際,DopplrなどもFace book内から利用できるアプリケーションを出しており,開発者を囲い込んだFacebook,新たなSNSに登録する敷居が下がったユーザ,Facebookの巨大なネットワーク・ユーザベースにアクセスできるサードパーティ開発者と,すべてがWin-Win-Winなこのプラットフォーム戦略には脱帽です。
オープンスタンダードに向けての動き
これに黙っていないGoogleやMy Spaceなどが,Facebook独自のプロトコル・APIをオープン化したOpen Socialプロトコルを先日発表しました。しかし,Facebook vs. Googleの戦いとしてOpenSocialを見るのはあまり正しくないと思っています。
OpenSocialは今後のウィジェット開発コストを下げはしましたが,すでにFacebook向けにアプリを提供している開発者にとっては新たなAPIが1つ増えたことになります。また,ことさらに“Open”を強調しているように見えますが,FacebookのAPIがOpenにならないという事実はなく,Facebookが現状のAPIを全部,またはサブセットをフリーなライセンスで公開することもできますし,すでにFacebookのAPIをOpenSocialに変換するアダプタとなるライブラリなども出てきています。
ともあれ,オープンスタンダードに向けてのこういった動きは歓迎すべきことであり,会社としても個人としても,今後コミットしていきたい部分です。来年もこの分野ではいろいろな動きがありそうですね。

