エンジニアのためのSoulHacks

SoulHack #5 本物のリアリストである経営者の言動をウォッチしよう

2008年9月16日

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SoulHack #5 本物のリアリストである経営者の言動をウォッチしよう

といっても,これは夢物語のような話で,多くの人にとって,働くこととは「組織に所属して『上の人』の命令や価値観に従うこと」であり,組織とは「少数の幹部から現場に指示が階層的に流れるもの」であり,⁠組織の中には職位による上限関係が存在する」というのが「リアル」な現実ということになると思います。

「リアル」とは何かという定義にもいろいろあると思いますが,金を稼ぐことが「リアル」の指標になるということもまた,多くの人が受け入れる価値観でしょう。

経営者というのは,金を稼ぐか稼がないかだけで評価され,自分の夢物語にしがみつくことが許されない厳しい商売です。そういう人たちが何を考えているのか,それは意外に知られていません。金を稼いでいる経営者が実際に何を考えてどんなことを言っているか,それは,経営者志望であるかどうかに関わらず,普通に仕事をする人なら誰もが,もっと注目すべきことではないかと思います。そこに本物の「リアル」があるからです。

経営者が特別頭が柔軟という意味ではありません。彼らも我々と同じように,思い込みに囚われている部分も多くあるでしょう。しかし,彼らには,夢の中で生きてはいられない「業績」というプレッシャーが常にかかっています。そして,間違った決断は常に自分と会社に直接はねかえってくるのです。変化の激しい時代には,そのプレッシャーに尻を叩かれている人たちの言動を指標として活用していけば,より低リスクで本物の「リアル」を見極めていくことができます。

『経営の未来』に書かれていることは,そういう本物の「リアル」のひとつです。

ハメル氏にとって,金が唯一の価値基準ではないと思いますが,経営コンサルタントである以上,企業の業績は無視できない重要な判断基準です。⁠経営の未来』は,業績をあげた企業を多く分析して,そういう会社が他とどこが違うのか,それを真似するにはどうしたら良いかを追及した本です。その結論が,ちょっと信じがたいものになっているわけです。

つまり,従来の意味での組織を解体し,Webのような共同作業の場に近づいている優良企業が,たくさん生まれているということです。それぞれが独自の方法で,管理でなくファシリテーション(共同作業に方向を与え問題に対処し活気づけること)の方法を生み出しつつあるということです。会社が長期的に成長しようとするなら,これ以外の方法はあり得ないということです。

これをそのまま受け入れる必要はありませんが,我々の今生きている世界がどういう世界であるのか,それを考える為には無視できない材料を提供していることも間違いありません。そして,この『経営の未来』で伸べられている考え方は,グーグルを初めとする多くのネット企業の経営者にも通じるものです。

この本を起点として,そういう経営者の言動に注目しつつ,⁠働くこととは何であるか」ということについて,誰もがもう一度考え直すことが必要なのだと私は思います。

著者プロフィール

中島拓(なかじまたく)

株式会社ブレーン研究部にて,Windows用ソフトウエアルーター 「PROXY-2000シリーズ」を開発する。 オープンソースソフトウエアとしては,Ruby用HTMLテンプレートエンジン Amrita/Amrita2,個人用GTD支援ソフト「レビュアブルマインド」の開発に携わる。

アンカテのブロガーとして,2006年アルファブロガーに選出される。

URLhttp://d.hatena.ne.jp/essa/

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