勉強会のススメ

第4回JavaEE勉強会の紹介

はじめに

はじめまして。Web+DB PRESSで記事濃縮還元オレンジニュースを連載させて頂いている角田(かくだ)です。今回は私が運営をしているJava EE勉強会についてご紹介します。Java EE勉強会は月1回のペースで東京都内にて行っている、JavaやJava EEを扱ったテーマについて勉強する会です。

勉強会はじまりのきっかけ

Java EE勉強会は2004年8月に始まりました。元々は勉強会として始まったのではなく、Rod Johnson著「J2EE Development without EJB」の読書会としてスタートしました。私は当時JavaのAOPに関するセミナーに参加し、セミナー後の懇親会にてSeasar2開発者のひがやすをさんに「⁠⁠J2EE Development without EJB』の読書会をやろう」というお誘いを受け、Yahoo!グループを利用してコミュニティを作ることにしました

「J2EE Development without EJB」読書会は2006年4月に終了し、その後J2EE勉強会と名前を変え、SunがJ2EEからJava EEと名称を変更したのをきっかけにJava EE勉強会と変更しています。

現在も、基本的な構成は読書会と発表の2本立てになっています。読書会を行う対象の書籍は、現在の読んでいる書籍が終わりに近づいた頃、アンケートをとって決めています。ちなみに現在は「Pro EJB 3」が終了し「Java並行処理プログラミング」⁠Domain-Driven Design」の初の2冊並行を試みています。

勉強会の進行

勉強会は13:00に始まり18:00くらいに終わります。大体以下のような流れで行います。

~13:00入室、準備
13:00~13:10開始の挨拶
13:10~14:00ポジションペーパー
14:10~15:00ネタ発表 or 読書会
15:00~15:20長休憩
15:20~17:30ネタ発表 or 読書会
17:30~17:50ふりかえり
17:50~18:00後片付け、退室
18:30~飲み会

1つの発表または1時間ごとに、5~10分くらいの休憩を取ります。また15:00あたりに20分くらいの休憩をとります。読書会はその日に読み進める量が毎回違うため、予定していた発表が出来ない場合があります。その際は次回に持ち越して、発表の優先度を上げます。

それでは、各行程についてそれぞれどういうことを行っているかを説明します。

準備

まず勉強会をするにあたって、参加者同士の顔を見合って意見を交わしやすいように、机はなるべく円やコの形になるように並べるようにします。

開始の挨拶

その日のタイムテーブルや勉強会の流れ、会場内の諸注意などを参加者にお伝えします。

ポジションペーパー

1人3分あたりの時間で名前やブログなど簡単な自己紹介をします。さらに、毎回何かしらのテーマを決めてそれについて語ってもらいます。これまでポジションペーパーのテーマとして、以下のようなものがありました。

  • 読書会の候補となり得る書籍
  • 今年の抱負
  • 転職したい企業
  • 開発時のアンチパターン(失敗談)
  • 一日の行動表をグラフで表す
  • Joel Test

ポジションペーパーの発表形式は自由としています。ノートPCを使ってプレゼンテーション資料を作成する方もいますし、紙に印刷して参加者達に配る方もいます。何も用意せず口頭で臨む方ももちろんいます。

ネタ発表、読書会

あらかじめ担当者が勉強会当日までに発表用の資料を作成します。読書会の場合は1人1章分程度、1章のページ数が多い場合は2人に分けて資料を作成します。作成する資料の内容は担当者にお任せです。各段落を要約したり疑問点を記したり、中には1章まるまる全文翻訳を行ってくる方までいました。発表の途中では質問をしたり意見を言ったりします。

ネタ発表の場合も基本スタイルは同じです。まず発表者がプレゼンテーションを行い、それに沿って議論したり質問しあったりします。Java EE勉強会ということで、Eclipseを使ってデモを実演したりソースコードを追ってどういう仕組みになっているかをその場で調べたりもします。発表テーマはやはりJavaが多いですが、なかにはComet、Ruby、Webデザイン、プロジェクト構成管理といったものまでありました。また、企業などが参加するカンファレンスのセッション内容を、この勉強会を発表練習の場として発表してフィードバックを受け改善していく、というケースもありました。

ふりかえり

あらかじめ参加者の方たちに大きめの付箋紙を数枚ずつ渡しておきます。そして参加者は発表の最中や休憩中などに自由に意見をメモしてもらいます。基本メモの内容はKPTに沿うようにします。

  • Keep …今回の勉強会で良かったこと。次回以降も続けて行きたいな(続けて欲しいな⁠⁠、と思ったこと。
  • Problem …反省点、次回以降に改善の余地がある点など。
  • Try …今回学んだことで次回やってみたいこと。

書き終わった人からホワイトボードに付箋紙を貼っていきます。全員が貼り終わったら、一つ一つ読み上げて共有します。ふりかえりが終わった後、次回の開催日やポジションペーパのネタを決めます。

最後に、会場を提供して下さった会社様にお礼を言って、後片付けを行い退出します。

飲み会

勉強会が終わった後、近くの居酒屋などで飲み会を行います。もちろん任意参加です。飲み会で話題となるのは、技術に関することから女性ファッション雑誌まで様々です。

Java EE勉強会の特徴

最近は色んなプログラミング言語や特定の技術に関する勉強会が増えてきました。それらと比べるとJava EE勉強会の内容自体にそれほど大きな特徴はありませんが、⁠おやつ」というJava EE勉強会ならではのイベントがあります。

読書会として行った第1回の時、この会だけのためにわざわざ大阪から参加してくれた方が、お土産としてお菓子を持参し振る舞ってくれました。甘いものが大好きな自分は深く感謝したと同時に「これはいいアイデアだ、是非続けよう」と思い、第2回以降「勉強で疲れた頭を甘いもので休める」という建前(本音は自分が食べたい or 食べてもらいたいお菓子を食べるきっかけが欲しいだけ)でお菓子を買って、15:00からの長休憩時に参加者の方へ振る舞っています。おおむね好評のようで、ふりかえりのKeepに挙げてくださる方や家から袋を担いで持参して下さる方もいらっしゃいます。ちなみに自分がお菓子を買う際によく参考にしているのは岸朝子 著「東京 五つ星の手みやげ」⁠続⁠⁠ 東京 五つ星の手みやげ」です。どれもハズレが無くお薦めです。

最後に

自分はJava EE勉強会を運営するにあたって、常に「誰でも参加できるようにする」ように心がけています。最近は色々な勉強会が開催されており幾分か参加しやすい雰囲気が出てきたように思いますが、一度も参加したことのない人にとっては、まだまだ敷居の高いものです。特にその技術習得に未熟を感じている方にとっては「難しい話題についていけなかったらどうしよう」⁠変な質問をして馬鹿にされたりしないだろうか」という不安がつきまといます。自分は、勉強会は「◯◯についてもっと勉強したい!」という気持ちを持った方が集まる場だと考えています。技術の習得度合いは問いません。逆に「こういうところでよくハマるんですよ」という意見が参考になることが多く、発表者側からみれば色んな意見が集まることを望んでいます。

仕事でJava EEを扱っていて、まだ一度も勉強会というものに参加したことがない方は是非Java EE勉強会に気軽に参加してみて下さい。技術を学ぶことが好きな方は、オープンソースのコミッタが沢山集うとても楽しい雰囲気を味わえることと思います。

最後にJava EE勉強会の元となった読書会の開催を持ちかけて下さったひがやすをさんをはじめ、勉強会、MLに参加して下さった皆さん、勉強会会場として会議室を提供して下さった会社様に深く感謝いたします。この感謝の気持ちは「ペイ・フォワード」の精神のもと、今後1回でも多く勉強会を開催して技術向上の助けとなるよう努めることでお返ししたいと思います。

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