タイム・マネジメントの心得 ~あなたを多忙から開放する10の方法~

第7回 仕事の工程表をつくる

2008年11月17日

この記事を読むのに必要な時間:およそ 2 分

WBSとリソース(担当)の割り当て

タスクをつながりに応じて整理していくと,しだいに同種のタスクがグルーピングされ,まとまっていきます。⁠ブース製作」⁠説明員準備」⁠案内手配」⁠アンケート用意」⁠マネジメント」などのグループを,個別タスクの上位タスクと考えると,タスク間に階層的な構造ができてきます。このような構造を,タイム・マネジメントの用語で『WBS(Work Breakdown Structure)⁠と呼びます。

WBSのまとめ方として,成果物の構成に準じたグルーピングではなく,大まかな時間順によるグルーピングも可能です。⁠企画立案」⁠デザイン・設計」⁠製作」⁠事前チェック」⁠搬入・据付」⁠最終確認」⁠本番」⁠終了後作業」…といった整理の仕方です。どちらの整理の仕方が良いかは,一概には言えません。成果物の構成単位が明確で,互いに独立して仕事を進められるような場合は前者が見やすく,成果物がシステム的で要素間のつながりが強い場合や,同種の仕事を繰り返し経験してきている場合は,後者の方が分かりやすいでしょう。

WBSをまとめ上げたら,最後に各タスクに整理番号をふります。これは後々,工程表作成や予算管理上,便利になります。

図1 タスクとWBS

図1 タスクとWBS

※仕事の全体をタスクで階層的に構成し,管理番号を付番したものをWBS(Work Breakdown Structure)と呼ぶ

さて,ここまできたら,各タスクに担当を割り当てます。まだ個人名が決められないときは,部署名だけでもいいでしょう。誰の役割分担かを,ここで明確にします。と同時に,一人の人にあまりたくさんのタスクが同時にかぶらないよう,調整する意味もあります。

工程表をつくる

最後のステップは,各タスクの着手と完了を決め,工程表(ガントチャート)を作成することです。外部に頼む仕事については,相手にきいてみないと正確には分からないわけですが,この段階では過去の経験から大まかな所要期間を想定します。

図2 ガント・チャートの例

図2 ガント・チャートの例

タスクの着完日を決めるときは,まず最後の期限(展示会開催日など)から,順序関係を逆にたどりながら,所要期間を勘案しつつ「完了日→着手日」という風に決めていきます。ただし,全体の最終期限が具体的に決まっていない(“できるかぎり早く”)という仕事の場合は,次回ご説明する「クリティカル・パス」の考え方が少し必要になります。

着完日がすべて定まったら,ガントチャートの工程表を作成し,全員に見えるようにします。この⁠スケジュールの見える化⁠(トヨタ流の表現を借りれば)こそ,グループで仕事を進める際の要点です。各人の頭の中にぼんやりとあったタスクや締切を,お互いが共有できるようにすることが,タイム・マネジメントの重要な機能なのです。

ガント・チャートの描き方自体にはいろいろな流儀がありますが,横軸に時間を取り,縦軸にタスクを並べていくのが基本です。タスクのグルーピングは上記のWBSにしたがい,また整理番号を必ず並記します。グループで仕事を進めていくうちに,タスク番号だけで会話ができるようになれば,たいしたものです。時間管理のレベル3も間近でしょう。

離れたタスク間で,重要な順序関係があるときは,ガントチャートに縦の点線を描き入れて示すのも,良い習慣です。これにより,どのタスクが遅れるとどの仕事に影響が出るか判断できるようになります。

以上が,タイム・マネジメントの計画ステップの概要です。ここでご説明した内容は,じつは「プロジェクト・マネジメント理論」の中の,スケジューリング手法です。いわゆる目標・ゴールをもった複数人によるオフィスワークとは,小規模のプロジェクトとしてとらえるべきだと筆者は考えています。そこにプロジェクト・スケジューリング手法を適用すると,上記のようなステップになるのです。

はじめに説明したように,仕事においては計画がなにより大事です。無理な計画や,いいかげんな計画で仕事をはじめると,時間がいくらあっても足りなくなります。時間に追われる毎日になるのです。時間を自分の味方につけたければ,まず,良い計画立案からスタートしなければなりません。

著者プロフィール

佐藤知一(さとうともいち)

プロジェクト・アナリスト。エンジニアリング会社に勤務し,国内外の製造業向けの工場設計および生産システムづくりに従事するかたわら,執筆・講演活動などを行っている。専門はプロジェクトマネジメント・スケジューリング・生産計画・リスク分析など。海外におけるプロジェクト事情にも詳しい。

URLhttp://www2.odn.ne.jp/scheduling/

ピックアップ

「杜の都」発の開発ツールベンダーが時代を超えて開発者の生産性向上を支援~「Toolsの杜(ツールのもり)」開催!

A Good Tree Bears Good Fruit-1983年から開発ツールビジネスをスタートしたグレーシティ。開発支援ツール30周年記念フォーラム「Toolsの杜」の様子をレポートします。

業務を改善する情報共有の仕掛け~DevOpsの実現,RPAの導入に向けて~

ソフトウェア開発の業務改善をテーマに,DevOps実現の手順やそれを助けるツールとの連携,RPAによる社内ドキュメントの管理や効率化について解説します。

大人気動画コミュニティアプリの運用の内幕―MixChannel(ミクチャ)を支える技術

若者世代から圧倒的な人気を誇るライブ配信&動画投稿コミュニティアプリ「MixChannel」(ミクチャ)の裏側(レコメンドシステムやサーバサイド開発など)について解説していきます。

[特別広報]IPとITを組み合わせて世界へ KADOKAWAだからこそできる新しいコンテンツ発信を

人気アニメやコミック,小説などのIPを多数抱えるKADOKAWA。今回はIPを活用した新コンテンツ配信サービスの開発を進める若手エンジニア3名を中心に,開発体制や職場体制を伺いました。

バックナンバー

No12(2009.04)

今回のSoulHackで主に取りあげるのは,梅田望夫の「ウェブ時代をゆく」という本です。

No11(2009.03)

今回のSoulHackで取りあげるのは,阿部謹也の「世間学への招待」と他1冊の本です。

No10(2009.02)

今回のSoulHackで取りあげるのは,山本七平の「空気の研究」という本です。

No9(2009.01)

今回のSoulHackで取りあげるのは,アーノルド・ミンデルの「紛争の心理学」という本です。

No8(2008.12)

今回のSoulHackで取りあげるのは,河合隼雄氏の「カウンセリングを語る」という本です。

No7(2008.11)

特集:2008年度日本OSS貢献者賞受賞者インタビュー

No6(2008.10)

特集:エンジニアの実践的キャリアアップ思考法

No5(2008.09)

特集:事例でわかる,プロジェクトを失敗させない業務分析のコツ

No4(2008.08)

特集:ゼロからはじめるPSP

No3(2008.07)

特集:今こそ使える! プロトタイピング

No2(2008.06)

特集:「開発スタイル」開発法

No1(2008.05)

特集:エンジニアが身につけたい基本スキル 2008

-->