Drastic? Dramatic? Tumblr!!
第1回 著者が感じるTumblrの魅力
著者が感じるTumblrの魅力/中野宗
ちょっと逆風が吹いているときにTumblrの魅力を語る意味
話題の「Tumblr」の紹介記事を,ふじかわさんと一緒にスタートさせていただくことになった中野 宗(なかの はじめ)です。年始に新春企画として「2007年のWebサービス:TwitterとTumblrがユーザーを虜にした理由」という記事を書かせていただいたばかりですが,Tumblrについてさらに掘り下げていこうと思います。改めてよろしくお願いします。
Tumblrではここ(nakano.Tumblr.com)にいます。
さて連載第1回めのテーマは,「筆者が感じるTumblrの魅力」。このテーマは,Tumblrをより多くの人に使ってもらい,新しさを感じ取ってもらおうという連載の本旨からももちろん大切ですが,ぼくはもう一つ重要な意味があると思っています。
それは,日本のWeb界隈でのTumblrの評判をもう少しポジティブ側に傾けたい,という思いです。
2007年末から2008年の1月にかけて,TumblrユーザによるCG画像の無断転載に作者の方が強い不快感を自身のサイトで表明したことなどをきっかけに,Tumblrというサービスへの疑問やユーザ批判,メタなWebと著作権論議などが集中的に起こる,いわば「事件」がありました。いろんな人がブログやTwitterやTumblrで語ったので,この騒ぎでTumblrを知ったり,関心を持ちはじめた人なども多いようです。
こんな時期にTumblrの「魅力」を手放しで語るのはどうなの? という人もいるでしょう。著作権についてはもちろん,Tumblrを使う際のマナーの問題と絡めて後ほどこの連載でも扱うつもりです。
一方で,「Tumblrはなんだか危ない」「Tumblrは無法地帯」といった誤解も含むイメージが広がることで,Tumblrのエッジな魅力や,ソーシャルソフトウェアにもたらす可能性にまで目をふさいでしまう人が増えるような事態はなんとかしたい,とぼくは思います。
というわけで前置きが長くなりましたが,まず今回はTumblrのぼくにとっての魅力の話です。
Tumblrにハマりやすい人・ハマりにくい人
Tumblrにハマりやすい人・ハマりにくい人というタイプ分けは,ある程度できるかもしれません。
まず,ソーシャルブックマークなどの情報収集ツールを普段から使いこなしている,Webサービスへのリテラシが高い人,しかもそれをオープンな環境で行うことに抵抗が薄い人はTumblrにハマれる素養が十分あります。
ネットでは日々おもしろいニュースやコンテンツが生み出されていますが,ユーザはそれをメール,ブログやmixi日記,インスタントメッセンジャー,Twitterなどで「これおもしろいよ」「これ見てみて」と話題にし,他のユーザとシェアしていますよね。このように,普段からネット上で「これいいよ」を頻繁にやっている人は,Tumblrとの親和性が高いはず。
ネット上であまり自発的には面白いものを探さない人(そういう人がこの記事を読んでいる可能性は低いと思いますが)はTumblrには向いていません。
ですが,Tumblrではテキスト,引用,リンク,写真,音声,動画など多様なタイプのコンテンツを収集し,また人が集めたコンテンツに接することができますから,自分の興味のある分野に限ってコンテンツを集めていくといったハマり方もできると思います。
シンプルな情報収集ツールとしてのTumblr
ぼくがTumblrを使いはじめたのは,2007年の7月ごろです。
最初は,自分のブログのRSSを読ませたり,Flickrの写真を表示してみたり,リンクを投稿したりということを試しました。
ハマりはじめたのは,日々自分がしている情報収集のクリップ先をTumblrにし,記事をquote(引用)付きで投げはじめたところ,それがとても腑に落ちたあたりから。それからはquoteを頻繁に行うようになりました。
情報収集のためのWebサービスは,2006年以降はソーシャルブックマーク(SBM)が一般的ですね。SBMのようにURLをクリップしTagを付けるという作業の代わりに,Tumblrでその記事の一番印象的なフレーズを引用するという行為は,引用する際はもちろんあとから読み返す際にも,自分の気づきや背景にある問題意識などの「文脈」をはっきりと意識することができ,その後何かを考える際にも活かしやすい。堅苦しくいえば,TumblrはSBMより知的生産性が高いんじゃないか,と思ったのです。
振り返ってみれば,これはTumblrに以下のような利点があったからだと言えます。
(バージョンアップでやや多機能になってきたとはいえ)非常にシンプルで,覚えるべきことが少ないツールであること。また,ブックマークレットは人気のコンテンツやサイトに対応した出来のいいツールであり,直感的にストレスなく使えたこと。
情報収集ツールとしての魅力については,2007年10月にブログ記事にまとめました。
- Tumblrの魅力:かつてないほど「Webをやる」ことに惑溺できるツール
- http://nakanohajime.wordpress.com/2007/10/27/tumblr/
ここまでは,いわば「Tumblelogの最新型」としての魅力だと言えるでしょう。Tumblelogという概念をWebサービスに落とし込むにあたって,Webをよく知っている人たちが仕様を考えたという点が大きいはずです。
ソーシャルネットワークとしてのTumblr
情報収集ツールとしてTumblrを使っているだけでは,Dashboardを見ることはほとんどありませんでした。
今考えると笑えますが,最初は,Dashboard上をTumblrのカスタマイズTipsが流れてきてもReBlogせず,わざわざ別ファイルにURLをコピーしていました。でも多くのユーザのReBlogによって繰り返し同じコンテンツが流れてくるのを見て,場の流儀を学び,それからはTumblrを使う時間も増え,自ら「Tumblr中毒」と自覚するに至ります。
Tumblrのソーシャルな魅力についてなんとか言葉にしてみようと思い,書いたのが以下の2本です。
- Tumblrの魅力:TumblrがブログやSBMはもちろん,いわゆるTumblelogとも違う理由(の序章)
- http://nakanohajime.wordpress.com/2007/11/01/tumblr1101/
- Tumblrの魅力:「面倒くさい」を溶かし,ReBlogという反響装置を持ったTumblrはソーシャルメディアの最新型だ
- http://nakanohajime.wordpress.com/2007/11/08/tumblr1108/
Tumblrに登録していないユーザはDashboardを覗くことはできず,またReBlogすることもできません。そしてこの2つが,Tumblrを「Tumblelogの最新型」を超えたWebサービスにしている重要な要素です。同時にそれは,SNSやSBMを知っているからといってTumblrの魅力がわかったことにはならない理由なのです。
ビジネスパーソンとしてTumblrに注目している理由
ぼくの普段の仕事は,Webプロデューサーです。
Webの新しい動きを追うのは大好きで,2005年にはあのはてなブックマークより数日だけ早く「Snippy」というソーシャルブックマークをオープンさせたり(残念ながらもうすぐ閉鎖予定),2006年には『Web屋の本 Web 2.0,ビジネスサイト2.0,Web屋2.0』という本で“Web 2.0時代のWeb屋論”を語ってみたりもしました。
普段から,Webのさまざまなトレンドを顧客サイトにどう持ち込むかということをテーマにしています。
Web屋はまずWebにどっぷりハマってみなければならないというのが信条ですが,Tumblrほどハマれるサービスの登場は,ぼくにとっては衝撃でした。ですので,TumblrというWebの前衛,辺境,周縁,まあなんと呼んでもいいのですが,ともかくミクロな領域で起きていることを徹底的に掘り下げることで,ソーシャルソフトウェアやネットコミュニケーションのマクロな層に持って帰れるものがきっとあると思っているのです。
というわけで,これからよろしくお願いします。


