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マーケティングと技術の二刀流で市場を切り開く─
>エンジニアインタビュー 日本電気(株)第一システムソフトウェア事業部 エンジニアリングマネージャ 吉羽幹夫さんspan>

2008年7月15日

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使えるものは何でも使う

もちろん,シンプルといっても機能自体を減らすわけにはいきません。必要なものはむしろ新たに付け加える必要があります。この際、自前で新開発する以外に、外部にソリューションを求めるという選択肢もあります。こうした判断を行うのも,吉羽さんたちの重要な役割です。
内部統制強化に関するソフトとして,WebSAM ClearSoXitという製品を提供しています。これはお客さんを回って声を集めている中で,内部統制強化のために,アプリケーション変更管理の機能がほしいという話があって,合うものがないか調べていた時に,この製品が,NEC社内の受発注システムで利用されているのを見つけたんです。それから,内部統制強化のためのソフトとしてWebSAMシリーズのラインアップに持ってきました。
このように,WebSAMがカバーする領域がこれだけ広がってくると「make or buy=買うか作るか」という話になることもあって,他社に得意な分野があれば,そこと組むこともあります。最近だと,EMCというメーカが作っているSmartsというネットワーク管理ソフトがあって,これを採用しました。普通のネットワーク管理ソフトは何か障害が起こったときに「この部分がつながりません」っていうメッセージを出すだけです。管理者はそれを見てどこが壊れているのか,真の原因を探す必要があるんです。でもこのSmartsだと,こうしたエラーメッセージを分析して,真の原因を見つけてくれるんですよ。
たとえば医者に行くと,症状を言えば「あなたは風邪ですよ」とか診断してくれるじゃないですか。そこで何をしているかというと,症例の組み合わせのパターンによって,病気を特定しているんですよね。それと同じで,⁠どことどこが壊れていたらここが悪い」というのをデータとして持っているんです。これまでは管理者が勘と経験で見て対応していた部分です。
こうした機能を持つソフトはいくつかあるのですが,他のソフトは最初に設定が必要なんです。こことここが悪いとこのパターンだというのを手作業で入れなければならない。ところがこのSmartsは最初にネットワークをスキャンして結線情報まで保存した上で,自動的に分析するのです。
それで,この製品をWebSAMのMCOperationsという統合管理製品と連携させて,ネットワークの障害分析をさせたり,MCoperationsの拾ってきたエラー情報をSmartsの分析エンジンに流して真の原因を探るということをさせています。NECのお客さんの中には,大規模で落ちてはいけないシステムなんかが結構あるのですが,WebSAMが監視しているデータとこういうソフトのすぐれた分析力を組み合わせることで,より安心して使っていただいてます。
こうした情報を仕入れるルートの1つとして,ここ1年くらいはIDCとかガートナーといった,アナリストの方ともおつきあいさせていただいてます。あと,海外の動向などもアナリストさんに聞きながら開発しています。何か新しい機能を作るときはお客さんの声,アナリストさんによる市場の動向を聞きつつ,我々が製品化する時点の選択肢を見ながら決めています。

WebSAM Ver.7とは?

こうしてさまざまな視点から検討が加えられたWebSAM Ver.7のセールスポイントと,その企画ポリシーについて語っていただきました。
最近の注力分野は「仮想化」です。このたび発表された「SigmaSystemCenter+MCOperation」を使うと,VMwareやなどの仮想化ソフトを使ったシステムの障害分析,復旧やシステムの再配置などの作業をできる限り自動化できるようになります。これまでも,VMware単体のシステムならある程度の障害分析はできたのですが,システムレベルでの自動化ができるのはWebSAMの強みです。
なぜこういう複雑な手順の自動化を進めるかというと,手間を削減するだけでなく,手間が減ることによってオペレーションミスが防げるんですよ。運用管理でオペレーションミスがあると致命的なことが多いんです。そこをしっかり押さえなければいけないというのがポリシーですね。手間を省くことによる直接的なコスト削減も大事ですが,まず安全,安心であることを心がけています。
また,同じ機能は統合しようという話の一環なんですが,画面というのは結構重要で,ツールが多いと複数の画面を見ながら管理するということが大変になるんですよ。サーバ管理はこの画面で,アプリケーション管理はこの画面で,なんてやっていると非常に効率が悪く,これもオペレーションミスの原因になります。ですので,管理情報がひとつの画面の中で見えるようにしています。
もう1つのポイントがナレッジです。
運用管理でいろんなところがアラートやメッセージを出してくるんですけど,意味がわからないことが多いんですね。たとえばOracleが出すメッセージだと「ORA-00~」って何のことだかわからない。わかる人にはわかるんですね。ただ,なれていない人はマニュアルを読んでもわからない。結局わかる人に聞きに行くしかない。意味がわかって,かつ対処方法もわからなければいけないという苦労があるんです。
対象としては,ミドルウェア的なものですね。Olacle,WebLogic,SQL Serverなど,そういうもののエラーメッセージに対応するエラーの意味と,ものによっては対処法を知識としてまとめたものを「ナレッジ」と呼んでいるんです。これがWebSAM製品の中に入っているんです。なぜこれができるかというと,こうした製品をNECもOEMしていて,取り扱い高が日本でNo.1であることが多いのですが,そのサポート部隊が同じ事業部にいて,そのサポートノウハウを採り入れているんです。
もちろんそれだけじゃなくて,お客さん固有のアプリケーションがあったりといった個別のシステムの対処法も必要なんですが,これは我々では集めることができませんので,お客さんが運用の中で「ナレッジ」を貯めていく仕組みを提供しているんですね。ノウハウが属人化して,その人が会社を辞めてしまうとわからなくなるといったことはなくなります。
ナレッジは基本的には製品に組み込まれたデータなのですが,たとえばOracleだと,Web経由でアクセスするナレッジというのがありまして,Webでアクセスすると,先ほどの当社のサポート部隊のデータベースにつながるようになっているものもあります。こうした技術をビジネスのネタにしていくのがポイントですね。このナレッジを活かしつつ,WebSAMをアプリケーションに組み込む形で開発するパートナーの開拓も重要な仕事です。ただ販売するだけじゃなく,パートナーとして共同開発することで,より魅力的な製品に育てていこうということです。
最後に,今後WebSAMをどのような製品に育てていきたいかについても伺いました。
当面は,エコ,グリーンITっていうのがキーワードかなと考えてますね。たとえば仮想化を応用して,昼よりも夜の使用頻度が低いサーバがあったら,夜間にサーバの中身を別の仮想化サーバに移してまとめてしまい,空になった方の電源をOFFにする。そういうことが,現在でもある程度WebSAMの機能を使ってできるようになっていますが,もう少しインテリジェントにできるようにしたい。クライアントPCの電源制御もやりたいですね。
あとはサービスビジネスです。サービスビジネスといっても2つあって,いまSaaSだASPだっていうのが流行っていますが,そういうものを提供する側のインフラを管理するというのは,普通のサービスとは別の要素が必要になってくるんですよ。その場合の運用管理はどうあるべきかっていうのを考えています。
もう1つは,運用管理の機能そのものをSaaSとして提供するというビジネスです。とくにネット関係のビジネスをしている企業などは,サーバを自分のところに持っていたくない,管理したくない,見たくないというところが多いんですよ。コンテンツなど「中身」のほうに注力したいんですよね。そういうところに向けたサービスは今後考えてきたいですね。

画像3

統合運用管理 WebSAM: ソフトウェア | NEC
URLhttp://www.nec.co.jp/middle/WebSAM/

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