インタビュー

クラウドソーシングを活用した高品質翻訳サービス「myGengo」

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myGengoは,クラウドソーシング(群衆の叡智)を活用したオンライン翻訳サービスです。2008年12月のサービス立ち上げ以来ユーザ数を伸ばし続けています。今回,株式会社myGengo代表取締役Robert Laing氏,CTO Matthew Romaine氏,そして5月に日本法人社長に就任した山元賢治氏にお話を伺いました。その模様と合わせて,myGengoを紹介します。

myGengoトップページ

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Translate,String,APIの3つからなるサービス

myGengoは大きく

  • Translate
  • String
  • API

の3つの機能からなります。

Translate

Translateは,その名のとおり翻訳サービスです。具体的には,翻訳してもらいたい文章に対して,インターネット上で翻訳者からの翻訳サービスを受けるというもの。2011年5月現在,3,000名の翻訳者がいて15ヵ国語に対応,日本語→英語,ついで英語→日本語という翻訳が多いそうです。

「翻訳者は3,000名います。この3,000名は30,000人の中から選ばれており,翻訳者になるためには2段階のテストを実施しています。これにより,翻訳の質を担保しています」⁠こう語るのは代表取締役のRobert Laing氏です。

String

Stringは,とくに開発者・アプリケーション管理者向けのサービスです。具体的には,アプリケーションの言語ファイルを,アップロードしmyGengoを通じて翻訳を行え,かつその言語ファイルのバージョンを管理できるというもの。これにより,1つの言語ファイルを作成することで,世界に通用する多言語化を実現できます。

API

最後のAPIは,myGengoの翻訳機能を,Web APIとして提供するものです。これを利用すれば,開発者自身が,自分のサービスにmyGengoの翻訳機能を追加実装でき,そのサービスの価値を高めることができます。

これらのサービスの立ち上げのきっかけについてRobert氏に伺ったところ,⁠自分たちがWeb制作会社にいたときに,サイトの翻訳業務が発生しました。このとき,1つのページを翻訳するたびに手続きが発生し,大変手間と感じ,であればその手間をサービスとして提供できないか,と考えたのがmyGengo誕生のきっかけになりました」と答えてくれました。自身が感じていた問題を,そのままサービスとして置き換えたというわけです。

機械翻訳ではできない「人間らしい」翻訳

現在,Googleをはじめとした機械翻訳を行うサービスが多数存在します。その中で,人的翻訳という手法をとったのはなぜでしょう?

「おっしゃるとおり,機械翻訳というのは大変効率的な手法であり,また,ユーザ自身が使いやすい部分があります。しかし,一方で,翻訳結果が画一的になったり,また,言語のバックグラウンドにある,その言語を利用する国の文化などを汲み取るのが難しいです。myGengoのように,人的リソース,すなわちクラウドソーシングを利用する翻訳の場合,そういった細かなところ,独自性といった部分をきちんと表現できると感じています」⁠Robert氏)⁠

APIを利用したサービスの広がり

APIを利用した広がりも見えてきています。とくに,2011年1~3月の間に,コマースサイトを中心にmyGengoの採用が増えたとのこと。

「インターネットの流通と同じように,今,世界的にコマースサイトのグローバライゼーションが進んでいます。こうした流れにおいて,自社のコマースにmyGengoを採用して,多言語化するサイトが増えてきました。日本人が運営するソーシャルコマースFlutter Scapeもその1つです。APIの形で提供することで,開発者が自分の得意な環境下でmyGengoの機能を実装できるようになります。

また,myGengoのAPIを提供するAPI Labsは2010年11月下旬からオープンしています。ここでは,myGengoのAPIを利用して,指定した各種プラットフォームやCMSで稼働するアプリを開発するためのコンテストを行っております。このように,開発者自身のクリエイティビティを広げる取り組みも積極的に行っています」と,CTOのMatthew氏は述べました。

スマホ向け展開も検討中

最後に,今後の取り組みについて伺いました。

「ようやく翻訳機能に関して,高い品質のものが提供できるようになりました。しかし,これを使ってもらうためにはUI部分の作り込みが求められます。とくに,国や言語の違いによるUX(ユーザ体験)の考慮,また,スマートフォンの普及に伴うデバイスの変化です。こうした部分を意識して展開していきます」⁠Robert氏)⁠

「API Labsには日々新しいアプリが登録されてきています。開発者の皆さんに活用してもらい,開発観点からもmyGengoの可能性を高めていきたいです」⁠Matthew氏)⁠

また,ちょうど取材日に日本法人社長に就任した山元氏は「これから日本のサービスの海外展開というのはさらに加速すると確信しています。そのなかでの,myGengoが担う役割は非常に重要で,ぜひ日本の皆さんに使ってもらえるサービスにしていきたいですね」と,就任の意気込みと併せて,日本のユーザに向けたメッセージを述べ,締めくくりました。

取材に快く応じていただいたお三方。今後の展開に期待です

取材に快く応じていただいたお三方。今後の展開に期待です

著者プロフィール

馮富久(ふぉんとみひさ)

株式会社技術評論社クロスメディア事業室室長。

1975年生まれ。横浜市出身。1999年4月株式会社技術評論社に入社。入社後から『Software Design』編集部に配属され,2004年1月に編集長へ就任。同2004年9月に『Web Site Expert』を立ち上げ,同誌編集長に就任,現在に至る。その後,2008年9月に設立したクロスメディア事業部(現クロスメディア事業室)に配属。現在,社外活動として電子書籍を考える出版社の会の代表幹事やWebSig 24/7のモデレーター,TechLIONプロデューサーなども務める。過去にIPAオープンソースデータベースワーキンググループ委員やアックゼロヨン・アワード他各賞審査員などの経験を持つ。

Twitte ID:tomihisa(http://twitter.com/tomihisa/

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2011

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