インタビュー

世界50万人のデザイナーが注目する現在開発中の「Adobe XD」開発担当者インタビュー,日本語プレビュー版はもうすぐ公開

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アドビ初の本格的なUXデザインツール「Adobe Experience Design CC」⁠通称「Adobe XD」⁠3月14日にプレビュー版が登場し,今注目を集めている。

UXデザイナーのみならず,Webデザイナーからアプリ開発者,プランナーからスタートアップまで直感的に使えるこのツールは,今後どのように開発が進んでいくのだろうか。UXデザイン製品管理担当ディレクターのアンドリュー ショーテン ⁠Andrew Shorten,以下アンドリュー)氏と,Adobe Experience Designリードデザイナーのタリン ワズワース(Talin Wadsworth,以下タリン)氏に話を聞いた。

左:タリン ワズワース氏,右:アンドリュー ショーテン氏

左:タリン ワズワース氏,右:アンドリュー ショーテン氏

プロジェクト公開後,世界中から50万人がサブスクリプション登録

―――― Adobe XDを開発する理由はなんでしょうか?

タリン:昔に比べてデザイナーは,Web,タブレット,そして異なるOSに異なる画面サイズの各種スマートフォンなど,デザインしなくてはいけないスクリーンが増えた。しかも画面の見た目だけではなく,それぞれのデバイスでボタンを押した時の動き,スワイプした時の動きまで考えなくてはならない。デザインを作って,プロトタイピングをし,フィードバックをもらって,そしてそれらを別々のツールで作り直していたら非常に時間がかかる。だから,それらのワークフローを完結できるような全く新しくて,そして速いツールを作りたかった。

アンドリュー:ひとつのツールの中で「デザイン」⁠プロトタイピング」⁠シェア」ができるものは今までアドビの製品群の中にはなかった。18ヶ月前にこの全く新しいツールのアイデアが生まれた。そしてアドビの中で4,5人のチームを組んで,開発,リサーチからユーザービリティテストを行っていった。

―――― 昨年10月に開催されたAdobe MAXで「Project Comet」としてこのプロジェクトを公開してから今まで,どのくらいの反響がありましたか?

アンドリュー:反響はすごかったよ。世界中から50万人がProject Cometのサブスクリプションに登録してくれた。その中から5,000人にプレリリース版を提供し,フィードバックを得ながら機能開発をしていった。

発表から約6ヶ月後,2016年3月にAdobe XDとしてパブリックベータをリリースした時は(公開後1ヶ月弱の時点で)世界中から14万5千人がダウンロードしてくれた。フィードバックもたくさんもらっていて,すでに500もの機能要望が来ているよ。

―――― その中でも一番多い機能要望はなんですか?

アンドリュー:1番はやっぱりWindows版だね。想像以上に要望が多いから開発を頑張っているよ。Windows 10に対応する予定だ。他には,グリッドと寸法の機能,レイヤー機能,CCライブラリとの連携,プロトタイピング時のインタラクション機能(スライドやトランジション,オーバーレイなど)が要望としては多い。今のところこれらの要望には全部応えていく予定だ。

Adobe XDのプレビュー版は,正式リリースまで機能を少しずつ追加して毎月アップデートしていく。4月にリリースされるバージョンではグリッド機能が追加されるよ。

4月の予定のプレビュー版ではグリッド機能が搭載,2~3か月後には日本語版も

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ここで,現在開発中のAdobe XDのデモを見せてもらった。

4月の更新時には,デザイン画面に12ピクセル(値は変更可能)のグリッドが引けるようになり,各オブジェクトをグリッドにスナップできるようになるとのこと。

また,別途用意したtxtファイル(ファイルの中身は要素となるテキストをそれぞれ改行している)をリピートグリッドにドラッグ&ドロップすることで一気に取り込めるようになっていた。これはXDならではの魔法のようだった。さらに行間の調整もできるようになる。

もちろん,今すでにある機能のアップデートも行いバグフィクスもしていくとのこと。

4月更新のプレビュー版がいつリリースされるかは,決めていないそうだ。

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アドビ社内の中で使われているUIキットも見せてもらった。

自社やクライアントのデザインガイドラインに基づいた各パーツのUIキットを用意すると便利そう。いずれCCライブラリと連携して,UIキットも共有できるようになるそうだ。

レイヤー機能をどう実装するかは,まさに議論中とのこと。IllustratorやPhotoshopのレイヤー機能の概念をそのまま取り入れるのが本当に良いのかどうか,UXデザイナーにとって有用なレイヤーの使い方を調査しているそうだ。

さらにDreamweaver的な,端末でのリアルタイムプレビュー機能も実装していく予定とのこと。

―――― 今は英語版のみですが,今後の言語展開の予定は? 日本語版は?

アンドリュー:2~3か月後には日本語版のプレビュー版を出す予定だよ! リリース時の言語は,英語,ドイツ語,フランス語,日本語,韓国語で予定している。

いつ正式リリースになるかは,まだわからない。ユーザーのフィードバックを受けながら開発しているので,これで正式に公開できるとなったタイミングで出すつもりだ。

タリン:今回来日したのも,このAdobe XDが日本でも通用するかどうか,リサーチ目的もある。日本におけるUXデザインのワークフローはどうなっているのか,そして日本独自の機能開発が必要かどうかも知りたいと思っている。日本でもすでにプレビュー版を使ってくれている人がたくさんいたよ。あと日本は食べものが美味しいね。築地に行ったりラーメン食べにいったりしたよ(笑)

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Adobe XDは,経験があるデザイナーだけでなく,プランナーでも起業家でも,プロダクトマネージャーでも,アイデアがある人だったら誰でも,そのアイデアを可視化して,人に伝えることができるツールだ。実際に筆者も試してみているが,プレビュー版の段階でも非常に軽快で,Webページのデザインイメージからスマートフォンの画面イメージまで,直感的につくることができた。今後の機能実装が楽しみである。

Adobe XDのプレビュー版は以下よりダウンロードできる。

著者プロフィール

石川真弓(いしかわまゆみ)

ロフトワークの広報PR兼プランナー。FabCafeの広報担当、メディアリレーションの他ロフトワークのコミュニケション戦略プランニングと実施、コラボレーション企画などを行う。またクライアントプロジェクトにおいてもコミュニティデザイン、オウンドメディアからイベント企画、ソーシャルメディア活用やプロモーションなどの企画立案と実施も担当するハイブリッド型PR。

前職はWEB制作会社のWEBプロデューサーとWEBディレクターを経て、シックス・アパート株式会社でマーケティング・マネジャーとして広報・マーケティング活動全般を5年間担当。個人ブログを続けて11年、本業の傍らギズモード・ジャパンなど多数Webメディアのライターを務める。執筆した書籍に『HDR写真 魔法のかけ方レシピ』(2014年 / 技術評論社)。

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