インタビュー

Blockchain Lab那須利将氏に訊く,LINEのブロックチェーン戦略とLINK Chainが目指すもの

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昨年秋(2018年11月⁠⁠,LINE DEVELOPER DAYが開催されました。そこでは,Next LINEというコンセプトのもと,次世代のLINEを支えるさまざまな技術展望が語られました。中でも,これからのLINEにとって,欠かせない技術の1つがブロックチェーンです。

本インタビューでは,Blockchain Lab那須利将氏にお話を伺い,LINEが考えるこれからのブロックチェーン戦略,その実装であるLINK Chainが目指すもの,そして,次の展開について伺いました。

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LINEが発表したLINK Chainとは?

Q:2017年8月,LINE Token Economy構想が発表され,LINEが考えているブロックチェーン活用の姿が見え始めました。まず,具体的にどのようなことを考えているのか,教えてください。

那須:LINEが発表した「LINE Token Economy」は,ユーザとサービス提供者をつなぐ,共創関係の構築を目指すためのエコシステムです。それを担うのが,私たちが開発するブロックチェーン「LINK Chain」です。

LINK Chainは,単独のブロックチェーンではありますが,LINK Chain同士をつなぐことで,ブロックチェーンネットワークの構築が可能です。

Q:LINK Chainはどのように使うものなのでしょうか。

那須:LINK Chainは基盤技術で,実際にはその上で稼働する分散型アプリケーション「dApp」サービスがユーザに使用してもらうプロダクトになります。dAppサービス(以降dApps)は,ブロックチェーンの考え方に則って,ネットワーク全体でアプリケーションの管理が行える非中央集権型の運用が行えます。8月の構想発表時は6つのdAppsについて発表いたしましたが,2018年12月現在で3つ(日本国内で2つ)のdAppsがリリースされています。すべて,LINE社内で企画・開発したものです。

さらに,dAppsでは,LINE Chain内で利用できるLINE 独自の汎用コイン「LINK Point」を使えるため,LINK Chain内での経済圏の構築にもつなげられます。

これからの目標は,2019年の第1四半期にはdAppsをパートナー企業に開発してもらえる体制を整備し,第2四半期を目標に,dApps開発のためのフレームワークの提供を目指しています。

Q:LINK Chainの公開を予定されているとのことですが,利用にあたっての審査などはあるのでしょうか?

LINEが考えるBlockchain構想について
語るBlockchain Lab 那須利将氏

LINEが考えるBlockchain構想について語るBlockchain Lab 那須利将氏

那須:2018年12月時点で,まだフローについて検討中のため正式な回答はできないのですが,ご利用いただくにあたって,運用のルールや法的な制約などをふまえ,審査は設けることになるかと思います。申し込みは誰でも行え,審査によって利用の可否を判断していく予定です。また,こうすることでセキュリティの確保にもつながると考えています。

ただし,審査基準については,提供開始後,状況を見ながら随時調整していきたいと思っています。

いつブロックチェーン領域への参入を考えたのか?

Q:ところで,LINEと言えば,コミュニケーションプラットフォームとして,日本だけではなく,世界各国のユーザを獲得しています。とくに2018年12月時点で,日本国内だけでも月間アクティブユーザ数が7,900万人以上というデータも伺いました。

その中で,新たにブロックチェーン領域への参入を決めたのはどういう背景があったのでしょうか。

那須:2017年に,日本国内では仮想通貨ブームがありました。そこで,トークンエコノミーが活性化している状況をLINE社としても見ており,トークンエコノミーと私たちのサービスの相性が良いのでは,と考えたのがきっかけです。

実際に取り掛かったのは2018年に入ってから2月ぐらいに動き出しました。

そして,私個人としてもブロックチェーンチエーンを使って暗号通貨やトークンなどを提供するようなプラットフォームを開発したいと考えていたので,2018年4月ごろに,今所属しているBlockchain Labの立ち上げに参画しました。当初は6月末にリリースしたいと考えていたので,相当のスピード感で動いていましたね。

ただ,ブロックチェーンと言うと新しいプラットフォームのように捉えられがちですが,LINE DEVELOPER DAY 2018でもいくつか話が挙がったように,今,LINEのプラットフォームではマイクロサービス化が進んでいます。ですから,LINK Chainも,LINEプラットフォームにおける,1つのマイクロサービスとして,私は考えています。

話を戻します。LINK Chainのコンセプトが決まって,実装に入ったのは5月以降です。もともとLINK Chainは日本でつくると決めてはいましたが,その当時,韓国のベンチャー企業でICONという,ブロックチェーンの開発および仮想通貨交換所を運営している企業があり,そことの提携が決まりました。それが5月ですね。

そのとき,uncahinというジョイントベンチャーを共同出資で立ち上げ,LINK Chainの共同開発開始に至りました。

著者プロフィール

馮富久(ふぉんとみひさ)

株式会社技術評論社クロスメディア事業室室長。

1975年生まれ。横浜市出身。1999年4月株式会社技術評論社に入社。入社後から『Software Design』編集部に配属され,2004年1月に編集長へ就任。同2004年9月に『Web Site Expert』を立ち上げ,同誌編集長に就任,現在に至る。その後,2008年9月に設立したクロスメディア事業部(現クロスメディア事業室)に配属。現在,社外活動として電子書籍を考える出版社の会の代表幹事やWebSig 24/7のモデレーター,TechLIONプロデューサーなども務める。過去にIPAオープンソースデータベースワーキンググループ委員やアックゼロヨン・アワード他各賞審査員などの経験を持つ。

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