インタビュー

Blockchain Lab那須利将氏に訊く,LINEのブロックチェーン戦略とLINK Chainが目指すもの

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LINK Chainを支える技術

Q:非常に早いスピード感で開発が進み,リリースに至ったわけですね。それでは,LINK Chainの技術的側面について教えてください。どのような技術を利用し,開発を進めているのでしょうか。

那須:LINK ChainはいわゆるブロックチェーンのLINK Networkと,それを扱いやすいようにするためのLINK Frameworkでできています。

LINK Networkは共同開発を進めているICONで使用していた言語,Pythonでできており,Smart ContractもPythonで記述できるのが特徴です。

LINK Frameworkは基本的にWeb APIベースのフレームワークで,LINK Networkに透過的にアクセスできます。またgRPC(Googleが開発したRemote Procedure Call)を採用しており,HTTP/2.0にも対応しています。

まず,一般向けに開放する開発フレームワークもこちらのLINK Frameworkになる予定です。

Q:LINK Chainの開発体制はどのようになっていますか?

那須:2018年末時点で,日本は私を含めて5名,韓国側で30名ほどです。韓国側では,仮想通貨やプラットフォーム開発に関わるエンジニアが多いです。

日本では,おもにLINK Chainの基盤開発,dAppsの開発に取り組んでいます。

Q:これから開発が進むにあたって,より多くのエンジニアが必要になるのではないかと想像します。那須さんの視点で見て,どのようなエンジニアがLINK Chainの開発に向いていると思いますか。

那須:私自身が,もともとHBaseを利用した開発に取り組んでいたこともあり,また,LINK Chainを含めたブロックチェーンには分散システムの知識が欠かせません。ですから,あえて具体的な技術を上げるとすれば,分散システムに関連する技術を持っているエンジニアが好ましいです。

HBaseに限らず,並列分散処理であったり,分散ファイルシステムであったり,分散システムの動きを知ったうえで開発が進められると,LINK Chainのコンセプトの実現がしやすいのではないかと思います。

また,その上で動くアプリケーションを考えるうえでは,ビッグデータの扱い,すなわちデータ処理・分析などの知識も必要ではないかと考えます。

LINE DEVELOPER DAY 2018にて,LINEのブロックチェーン構想「LINK Chain」を説明する那須氏

LINE DEVELOPER DAY 2018にて,LINEのブロックチェーン構想「LINK Chain」を説明する那須氏

LINK Chainが目指す未来

Q:LINK Chainの整備が進むと,次は,ユーザに向けたさまざまなサービス,プロダクトが登場すると思います。那須さんが目指す,LINK Chainで実現したい世界について教えてください。

那須:LINEは今,これまでお話してきたものとは別に,元々「LINEポイント」というポイントシステムを持っています。将来的には,LINK ChainおよびLINK Pointでも同等の価値を提供していきたいです。

2018年の初頭には,仮想通貨に関してさまざまな事件があり,ユーザにとって仮想通貨は危険なものというイメージが付いてしまったように思います。しかし,ブロックチェーン技術をしっかり活用して,P2Pにおける信頼とセキュリティの担保を実現できれば,そこに今のお金ではない,新しいトークンエコノミーができると私は考えています。

LINK Chainでは,当初の構想でも話されていたとおり,LINEのトークンエコノミーを実現したいですね。

これはまだ私の頭の中で考えているものではありますが,さらなる理想を言えば,LINK Chainというプライベートなブロックチェーンを,パブリックなブロックチェーンと連携させて,ユーザにとってより高い利便性を提供できるエコシステムを実現できたら,と考えています。

そうすることで,2018年後半から注目を集めているキャッシュレスの世界の促進にもつながるはずです。

LINK Chainは昨年夏にリリースしたばかりではありますが,2019年はそれをもっと身近に,そして,あたりまえのものになるよう,私を含め,Labのメンバー一同,LINK Chainの開発に専念し,数多くのパートナー,開発者の皆さんにdAppsを開発してもらい,LINE Token Economyを実現したいです。

――ありがとうございました。

コラム:LINE DEVELOPER DAY 2018開催――Next LINEに続く未来のカギを握るAI,Blockchain,そしてFintech

2018年11月21日,LINE株式会社主催のエンジニア向け技術カンファレンス「LINE DEVELOPER DAY 2018」が開催されました。今回で4回目となるLINE DEVELOPER DAYは,LINEが提供するサービスに関わる技術の紹介,また,それを生み出すエンジニアたちによる技術発表の場として,多くのエンジニアたちの注目を集めるイベントとなっています。

Next LINEが目指す世界について,コア技術とともに発表を行ったLINE CTOのPark Euivin氏

Next LINEが目指す世界について,コア技術とともに発表を行ったLINE CTOのPark Euivin氏

今回,LINEが提示したコンセプトは「Next LINE」⁠キーノートでは,同社CTOのPark Euivin氏(以降,朴氏)を始めとしたキーマン4名が登壇し,Next LINEを実現・表現するキートピックとともに,LINEはもちろん,LINEを含めたこれからの社会につながるさまざまな技術についてプレゼンテーションを行いました。

ここでは,朴氏が「Next LINE」という,LINEの新たなビジョンを発表し,それらを実現するキーテクノロジとして「AI」⁠Blockchain」⁠Fintech」について,それぞれの開発責任者によるプレゼンテーションが行われました。

2019年に入ってからますます開発が進み,今後もさまざまな発表が行われるでしょう。LINEのエンジニアリングパワーが生み出す未来に期待していきましょう。

当日の様子(動画や発表資料)については,以下公式ページにて公開されています。

LINE DEVELOPER DAY 2018
https://linedevday.linecorp.com/jp/2018/

著者プロフィール

馮富久(ふぉんとみひさ)

株式会社技術評論社クロスメディア事業室室長。

1975年生まれ。横浜市出身。1999年4月株式会社技術評論社に入社。入社後から『Software Design』編集部に配属され,2004年1月に編集長へ就任。同2004年9月に『Web Site Expert』を立ち上げ,同誌編集長に就任,現在に至る。その後,2008年9月に設立したクロスメディア事業部(現クロスメディア事業室)に配属。現在,社外活動として電子書籍を考える出版社の会の代表幹事やWebSig 24/7のモデレーター,TechLIONプロデューサーなども務める。過去にIPAオープンソースデータベースワーキンググループ委員やアックゼロヨン・アワード他各賞審査員などの経験を持つ。

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