速報! 2009 JavaOne Conference

まずはCommunityOneが開幕!―クラウドコンピューティング最新トレンド

現地時間2009年6月1日、2009 JavaOne Conferenceに先立ち、CommnityOneが開幕しました。このイベントは、今、最も注目されているオープンな技術、それを支えるコミュニティにフォーカスしたカンファレンスで、この先のインターネットテクノロジーの未来が盛り込まれたセッションが多数用意されています。

オープンな技術、それを支えるCitizen Engineer

CommunityOne初日のプレゼンターを務めたのは、Dave Douglas氏。現在、SunのSenior Vice Presidentを務め、Cloud Computingに関するCheif Sustainability Officerの肩書きを持ち、Sunのクラウドコンピューティングを牽引しています。

写真 Sun Microsystems, Inc. Cheif Sustainability OfficerのDave Douglas氏
写真 Sun Microsystems, Inc. Cheif Sustainability OfficerのDave Douglas氏

開幕に先立ち、⁠最も大切なのはオープンなこと。現在、SunはOpenSolarisをはじめ、オープンなプロトコル、オープンな技術を利用してイノベーションを起こしています」と述べました。

The Innovation Revolution

ここで、20世紀から21世紀に起きた「イノベーション革命」の比較について紹介しました。

写真 20世紀のイノベーション革命と21世紀のイノベーション革命の比較
写真 20世紀のイノベーション革命と21世紀のイノベーション革命の比較

このスライドに出ている21世紀のイノベーション革命の要素である、

  • Engineer(エンジニア)
  • Communities(コミュニティ)
  • Participative(参加)
  • Open(オープン性)
  • Ecosystems(エコシステム)
  • Continuous(継続性)

というキーワードは、ここ数年のSun、そしてJavaOneで紹介されているトピックそのもので、これからのSunが目指す方向を指し示すものでした。

これからの鍵を握るのはCitizen Engineer

これらのトピックとともに、鍵を握るキーワードとしてあげられたのが「Citizen Engineer」です。同氏曰く、Citizen Engineerとは科学に対して純粋な知識、好奇心を持っていることさらに社会的な側面から知識をどのように使うかを考えられることこれら2つの側面の交差から生まれてくる技術者」とし、今後を担う1つのエンジニア像として定義しました。そして、ここまでのまとめとして「エンジニアたちが集まるコミュニティがアイデアを動かす」と述べ、Solaris University Challengeのメンバーを紹介しました。

写真 Solaris University Challengeで受賞した面々
写真 Solaris University Challengeで受賞した面々

Sunが目指すクラウドコンピューティング

続いて、Sunにおいてクラウドコンピューティングの技術責任者を務める、Sun Cloud CTO、Lew Tucker氏が登場し、クラウドにフォーカスした内容へと移りました。

写真 Sun Cloud CTO、Lew Tucker氏
写真 Sun Cloud CTO、Lew Tucker氏

Sun Cloud

まず、Sunが考える基礎要素の紹介が行われました。

コンピュータサービス仮想マシン、ネットワーク、ストレージ
仮想データセンターリソース、人、GUI
オープンなAPI標準化、RESTful、Java、Python、Ruby
ストレージサービスボリューム、オブジェクト、プロトコル:WebDAV、S3

これらについて、実際にデモンストレーションが行われ、Sunが取り組んでいるクラウドコンピューティングの現在、実用性を紹介しました。途中、Narada Search Engineの紹介も行われました。

写真 Narada Search Engine。Drizzle、Gearman、memcached、Sphinxなどの技術が組み合わさっている
写真 Narada Search Engine。Drizzle、Gearman、memcached、Sphinxなどの技術が組み合わさっている

Cloud Zoneの見どころ

この後、今回のCommunityOneの展示会場におけるCloud関連の見どころとして、3つの企業が紹介されました。

Moonwalk

Moonwalkは大規模データ管理ソリューションを提供する企業です。今回のデモでは、Business Development VPのMichael Harvey氏が登壇し、Sun Cloudへのデータ統合、ディスクからディスクへの移動などが紹介されました。

Vertica

次に登場したのは、クラウド向け解析データベースのVertica。Seniro DirectorのOmer Trajman氏がVerticaを使った解析のデモを行いました。

WebappVM

最後に紹介されたのが、Webアプリケーション向けの自動モニタリング開発プラットフォームを提供するWebappVMです。Co-founderでVPのIssac Roth氏が、WebappVMによるクラウドアプリケーションの管理について説明しました。

写真 Cloud Zoneの見どころを含め、Sun Cloudのエコシステムを表したスライド
写真 Cloud Zoneの見どころを含め、Sun Cloudのエコシステムを表したスライド

Hadoop

前半最後のゲストには、Yahoo!でHadoopを開発するYahoo! Hadoop Software DevelopmentでVPのEric Baldeschwielerが登壇しました。Hadoopとは、分散ファイルシステムと分散処理環境を合わせた技術で、Yahoo!における使用例が紹介されました。

写真 Yahoo!でのHadoop利用例について説明するEric氏(中央)
写真 Yahoo!でのHadoop利用例について説明するEric氏(中央)

Cloudを支えるOpenSolaris

以上、クラウドコンピューティングに関する発表および見どころ紹介が終わった後、それを支える技術である「OpenSolaris」に関して、パネルディスカッション形式のプレゼンテーションが行われました。モデレータはOpenSolarisチームのJohn Fowler氏が務めました。

写真 OpenSolarisに関するパネルディスカッション。右がJohn氏
写真 OpenSolarisに関するパネルディスカッション。右がJohn氏

最新トピック、OpenSolaris Source Juicerなど

最初に、OpenSolarisの最新トピックを中心に話が進みました。

写真 OpenSolarisが実装しているさまざまな技術
写真 OpenSolarisが実装しているさまざまな技術

この中で、OpenSolaris Source Juicerなど、開発者に向けた最新動向が多く紹介されました。

写真 OpenSolaris Source Juicerは、開発者がパッケージを構築して、レビュー用にパブリッシュできるWebサービス
写真 OpenSolaris Source Juicerは、開発者がパッケージを構築して、レビュー用にパブリッシュできるWebサービス

開発環境、ネットワーク、ZFS、DTrace

その後も、開発環境、開発技術としてJavaFXが紹介されたり、Solarisの仮想マシンを利用したエンタプライズデータセンターの構築、ZFSやDTraceを利用したクラウドコンピューティングシステム構築など、OpenSolarisならではの強み、その先にあるクラウドコンピューティングに関しての話題を中心に話が進みました。

写真 Sunの技術を利用したエンタープライズデータセンター
写真 Sunの技術を利用したエンタープライズデータセンター

最新のOpenSolaris 2009.06

なお、このGeneral Session中には取り上げられませんでしたが、ほぼ同時刻にOpenSolarisの最新版OpenSolaris 2009.6がリリースされました。

OpenSolaris最新版のダウンロード
http://opensolaris.org/os/downloads/

Sunのクラウドコンピューティング

現在、AmazonやGoogleなど、さまざまなインターネット企業がクラウドコンピューティングに注力しています。こうした状況の中、CommunityOneの初日は、⁠Cloud⁠というキーワードが、数え切れないほど使われ、今、Sunとしてもクラウドコンピューティングに注力していることが伝わってくる内容でした。過去2年のJavaOneでも、Project Caroline(2007年)Project Hydrazine(2008年)など、Sunはクラウドの概念を提唱し、それを支える技術を数多く発表してきました。今回は、その次の一歩とも言える内容で、Sunが目指すクラウドコンピューティングとは何か、その中でコミュニティが果たす役割と可能性、技術の力について、1つの方向性が見えた1日目となりました。

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