パソナテック「Devcon 2011 Vol.2」レポート

#5パネルディスカッション─2011年Webサービスはどうなる?エンジニアはどうする

Webサービスやエンジニアの視点から、2010年の傾向と2011年の予想をテーマに行われたパネルディスカッションの模様をお伝えします。

セッションの最後は、パネルディスカッション「2011年Webサービスはどうなる? エンジニアはどうする?」が行われました。パネラーには、当日セッションを行ったロックユーアジア株式会社のCOOである石塚亮氏、グルーポン・ジャパン株式会社のCTOである山路昇氏、株式会社ロケットスタートのCTOである和田修一氏、株式会社gumiの取締役最高技術責任者である堀内康弘氏が参加し、株式会社技術評論社の馮富久氏がモデレータを務めました。

画像

サービスを支えるエンジニアに必要なスキルとは?

まずは「2010年の振り返り(ソーシャルメディアとスマートフォン⁠⁠」として、2010年の印象を聞くと、⁠2010年は怒濤の1年でした。日本の3大SNSがプラットフォームを公開して、集客や課金の仕組みを利用できるようになったことは大きいですね」⁠堀内氏⁠⁠、⁠日本でのソーシャルアプリ元年になったと思います。Facebookが2007年に始まったので、日本は米国より3年遅れていたわけですが、日本のベンダーもよく研究していて2010年だけで追いついた印象があります。特にモバイルにおいては日本の方がクオリティが高いと思います」⁠石塚氏)といった意見が出ました。また、SNSごとにユーザ層が異なるという声もありました。

スマートフォンについては、iPhoneではFlashが使えない、Androidは機種ごとの対応が必要といったデメリットがある反面、Javaが使えたりPC用ブラウザを使える、またアプリにすれば使い勝手も良くなるなどの意見が出ましたが、スマートフォンには総じて期待する部分が大きいようです。

画像

「Webサービスにおけるインフラの重要性」では、今回のメンバーで唯一クラウドを使用する堀内氏は「他に選択肢がなかったというのもありますが、既存の資産を生かしつつ拡張するには最適だと思います。ただ、サーバーを増やせば安易に解決できたりするので、使いすぎて請求が大変ということはあります」と述べました。

石塚氏は「RockYou!は少し特殊で、親会社が世界各地のデータセンターと契約していて、それを使うことが結果的に低コストになっています。ただ、メンテナンスやバックアップを考えるとクラウドも魅力ですよね⁠⁠、山路氏も「グルーポンも米、欧、日に分かれてデータセンターを持っています。クラウドはスケールアウトが容易にできるので、ゼロからシステムを作るならEC2がいいでしょうね」といいます。

和田氏は「もともと自分がインフラエンジニアなので、物理環境に思い入れがあります。AWSを使えば便利だろうとは思いますが、やはりレイテンシは気になりますね。もし日本にデータセンターができたら、画像データなどの一部のシステムの移行は検討するかもしれません。」と、アクセス量に応じて瞬時に増減できるという部分で肯定的な意見が多く出ました。

「エンジニア目線から見たFacebookへの期待」でも、6億人というユーザ数やユーザデータを取得できること、外への広がりが期待できることなどで、多くのパネラーが対応を考えていると答えました。

「サービスを支えるエンジニアに必要なスキル・考え方」のテーマでは、⁠一番必要だと思うのは英語力ですね。たとえばシリコンバレーでは、コストの面から海外のエンジニアに仕事を依頼することがあります。シリコンバレーでは安い報酬でも、日本から見れば高いので、最低でもメールのやり取りくらいは英語でできた方がいいと思いますね」⁠石塚氏⁠⁠。

「興味があることが大事だと思います。興味があれば能力を伸ばしていけますし、特に問題解決能力は求められる能力です」⁠和田氏⁠⁠。⁠エンジニアも、もっとインフラのことを知って欲しいですね。インフラのことがわかるとプログラムの書き方も変わってきますし、視野を広くできます」⁠山路氏⁠⁠。

「私も興味を持つことだと思います。興味があれば、ただ言われた仕事をこなすだけでなく追求していけます。あとは使う人の身になってサービスを考えられたり、マーケティングを意識したり、そういったいろいろなものをバランスよく組み合わせられるスキルが重要だと思います」⁠堀内氏⁠⁠。また、障害発生時のトラブルシューティングはスキルを磨くチャンスという声も多く上がりました。

おすすめ記事

記事・ニュース一覧