レポート:EC3(Evernote Conference)開催―「プラットフォーム」としての Evernoteのこれから

【前編】アプリの先へ~プロダクトとのコラボレーション&Evernote Market

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プラットフォームとしてのEvernote

午後からは並行して複数のトークセッションやワークショップが開かれましたが,ここではPlatform teamのVP,Seth Hitchings氏によるEvernoteのプラットフォームとしての現状についてのトークセッションの模様をレポートします。

Platform teamのVP,Seth Hitchings氏によるEvernoteのプラットフォームとしての現状について

Platform teamのVP,Seth Hitchings氏によるEvernoteのプラットフォームとしての現状について

ユーザ数の増加や,画像認識や名刺データのスキャニングといったEvernoteの機能拡張にともない,Evernoteのサーバは2008年10月時点で20台だったものが,現在は600台になっているそうです。

また社内のサーバエンジニアは22名,デベロッパーリレーションチームは12名が現在30,000を超えるサードパーティ開発者とのやりとりを行っています。

新しいAPIの紹介

今回の発表でもあったポスト・イットとの連携などを踏まえて,EvernoteのAPIもPost itノートのような新しいノートタイプに対応します。

またこの冬に,⁠アプリごとに単一のノートブックへのアクセス権限を持たせる」APIを提供するという話もありました。Evernoteと連携するアプリの中には,Evernoteをクラウド上に自サービスのユーザデータを保管する場所として使っているものもあり,その場合は1ノートブックにアクセスできれば十分というケースも多いでしょう。またユーザからすると連携アプリが自分のクラウド上のデータに与える影響は局所化できたほうがセキュリティ的にも好ましいため,この機能はニーズが高いと考えられます。続報が待たれるところです。

また現状の有力な連携アプリについても,複数のジャンルにわたって紹介されていました。

①コンテンツの消費

PocketFeedly ProInstapaperなどWeb上のソースを中心に,いずれもユーザが情報をいかに整理し,吸収していくかというスタイルを提起していきます。

②タスクマネージメント

Remember the milkAzendooなど,EvernoteがReminder機能を導入したこともあり,Evernoteと連携した使い勝手の良いタスク管理アプリはこれからも望まれるところだと思います。

③email

DispatchMailplanePostboxなど,メールサービスでEvernoteとの連携を行うアプリも人気を集めています。

④自動化

IFTTTはユーザが複数のWebアプリケーション同士でよく行う一連の連携処理(たとえば,Instagramで撮った写真をEvernoteに保存するなど)「レシピ」という形で作成,共有するWebサービスです。このように,Webサービス間の利用を自動化して促進しようという試みがありますので,そこでEvernoteとの連携も自然に出てくることになるでしょう。

⑤コラボレーション

UberConferenceLiveminutesなど,かなりビジネス寄りではありますが,ミーティングの内容をEvernoteに保存して共有できるアプリも人気があります。

⑥新領域

iHealthのようなヘルスケアの分野や,Google glass,Galaxy Gear,Pebbleといったウェアラブルなど,今後の成長性が見込まれる分野を指します。CEOのPhil自身が「体験しながら作る」と言っているようにまだまだこれからの領域ではありますが,Evernoteもまた「スマホの次」を積極的に模索していると言え,それらと連携するアプリも将来性があるのではないでしょうか。セッションではサムスンの冷蔵庫とコラボしたThe Evernote Fridge(T9000)が紹介されていました。

他のアプリについてもEvernote Appcenterで見ることができます。日本ではメジャーでないアプリも多く,また連携アプリを作るにあたってはこれ以外のジャンルも存在するかと思いますが,1つのアイデアとして上に挙げたようなジャンルについて考えてみるのも良いのではないでしょうか。

またNTTドコモ,Honda Silicon Valley Lab(HSVL)⁠Wayraなどの会社と提携し,優れたEvernoteとの連携アプリについて,開発チームにオフィス環境やEvernote社員のヘルプといったリソースを提供してその製品化・ビジネスとしての成功をサポートする「Evernoteアクセラレータプログラム」についても話がありました。こちらはEvernote Devcupの参加者から候補が選ばれ,10月から具体的なプログラムが始まっています。

必ずしも自社のリソースだけでなく,他社の優れたプロダクトや3rdパーティとの連携の推進など,非常にオープンな姿勢でハードウェア,ソフトウェア両面で自らのブランドを確立していこうとするEvernoteの今後がますます楽しみになるカンファレンス1日目でした。

会場で準備されているミネラルウォーターのペットボトルもEC3仕様だった

会場で準備されているミネラルウォーターのペットボトルもEC3仕様だった

次回はEvernoteビジネスの話題を中心に,2日目の模様をお送りします。

著者プロフィール

赤木法生(あかぎのりお)

日本の通信事業者所属でシステム開発に従事。大規模開発のSEを担当しつつ,個人でAndroidやスマホ向けAPIのサーバサイドプログラミングを行っています。メインはAndroidでPython,JavaScriptも触り中。現在はシリコンバレーのベンチャー企業にてトレーニー中。開発者向けのSDKと格闘しています。

https://github.com/redtree1112