組込み総合技術展「ET2010」会場レポート

ET2010開幕――今年もAndroid,そして電子ブックも登場,新製品発表も相次ぐ

この記事を読むのに必要な時間:およそ 2 分

RTOSを使いやすくするSDK,Androidのリアルタイム性を強化――イーソル

組込み機器開発においても汎用OSによるプラットフォーム開発が主流となりつつあるが,そんな中でもイーソルは,リアルタイムカーネルにこだわり,ソリューションを提供し続けている。ET2010の会場でのイーソルは,eT-Kernel SDKの展示に力をいれていた。

Iイーソルのブース

Iイーソルのブース

TOPPERSやT-KernelなどのリアルタイムOSは,その名のとおりリアルタイム処理に特化している反面,OSとしての機能はプロセッサやデバイスに近い部分のサポートがメインであり,GUIや複雑なアプリケーションに向かないとされている。eT-Kernel SDKは,OSのカーネルのほか,各種デバイスドライバ,OpneGLなどのグラフィックライブラリ,プロトコルスタック,データベースやQt,Flash Liteのようなミドルウェアなどを一体化したパッケージだ。

このSDKは,リアルタイムOSをベースにした高性能かつ高付加価値の端末製品の開発を支援するとのことだ。WindowsやLinuxのような汎用OSを使って,Web上のサービスを開発するまでには至らないかもしれないが,いわゆる「もっさり感」のない高機能端末にはリアルタイムOSの存在は重要である。そんな骨太なエンジニア向けのソリューションといえるだろう。なお,カーネル部分はマルチコア対応のeT-Kernel Multi-Core Editionを利用することもできるそうで,まさにクリティカル&ヘビーなアプリケーション開発のためのソリューションだった。

eT-Kernel SDKの説明パネル。GUIを含むアプリケーションの開発に必要なライブラリ,スタック,ミドルウェアはほぼそろっている

eT-Kernel SDKの説明パネル。GUIを含むアプリケーションの開発に必要なライブラリ,スタック,ミドルウェアはほぼそろっている

eT-Kernelの開発事例のデモ。GUIを完備したオーディオプレーヤーのアプリケーション

eT-Kernelの開発事例のデモ。GUIを完備したオーディオプレーヤーのアプリケーション

イーソルの展示でもうひとつ目を引いたのは,eSOL for Androidだ。これは,eT-Kernelのドライバやリアルタイム系のミドルウェアはそのまま残し,アプリケーション用のレイヤにAndroid Coreのアダプタを搭載したものだそうだ。このアダプタの上にHALやAndroidのカーネルドライバ,ライブラリ,ランタイムなどが積み上げられる構成になっている。

一言でいえば,Android端末のカーネルをLinuxではなくRTOSに置き換えるソリューションといえばいいだろうか。eSOL for Androidにより,GPLの問題は回避され,なによりカーネルのリアルタイム性が確保されることで,現状のAndroid端末にない付加価値を提供できる可能性がある。こちらもマルチコア対応のカーネルも利用できる。車載機器,高機能家電などへの応用が考えられそうだ。

Android端末や製品のカーネル部分をリアルタイムOSに置き換えてしまうというソリューション。マルチタッチやモーションインターフェースより基本的かつ重要な「応答時間」という操作性は,リアルタイム制御によってでしかチューニングできない領域がある

Android端末や製品のカーネル部分をリアルタイムOSに置き換えてしまうというソリューション。マルチタッチやモーションインターフェースより基本的かつ重要な「応答時間」という操作性は,リアルタイム制御によってでしかチューニングできない領域がある

リアルタイムカーネル版のAndroidアプリのデモ

リアルタイムカーネル版のAndroidアプリのデモ

著者プロフィール

中尾真二(なかおしんじ)

1961年生まれ。ハードウェア・コンピュータ技術者からアスキーに転職し,およそ10年ほど技術書籍・雑誌の編集に携わる。その後,オライリー・ジャパンで5年ほど企画・編集に従事。編集長時代に当時の日本法人社長とケンカしてクビに(笑)。現在はRBB TODAY,レスポンス他でニュース,コラムなどを編集・執筆。

コメント

コメントの記入