クラウド元年をリアルイベントで体感 ─「G-CLOUD Summit 2010」レポート

セッション2A 「mixi」を活かす環境提供型クラウド「Google App Engine」

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ミクシィ「mixi Platformの紹介とクラウドコンピューティングへの期待」

株式会社ミクシィ サービス本部 パートナーサービス部
 開発グループ マネージャー 田中 洋一郎 氏
グーグル株式会社 Google App Engine Developer Advocate
 松尾 貴史 氏

G-CLOUD Summit 2010のソーシャルクラウドトラックの最初のセッションとして,株式会社ミクシィの田中洋一郎氏による「mixi Platformの紹介とクラウドコンピューティングへの期待」が行われました。日本のSNSの草分け的な存在である「mixi」およびそこで提供される「mixiアプリ」の概要,その特徴的なトラフィックとインフラ,事例などと合わせ,グーグル株式会社の松尾貴史氏による「Google App Engine」の紹介もありました。

田中洋一郎氏

田中洋一郎氏

実際に知っている,会ったことのある友人で構成される「mixi」

SNSであるmixiは,日記やフォト,メッセージ,ボイスなどといったコンテンツを「マイミクシィ」と共有して楽しむサービスです。ほかのWebサービスと決定的に違うのは,マイミクシィがリアルな友人であることで,実際に知っている,あるいは会ったことがある人たちとの人間関係が中心のソーシャルグラフが構成されていることが特長であると田中氏は言います。

現在,ユーザ数は2102万人おり,月間ログインユーザ数は1430万人。つまり,7割のユーザが月に一度は利用していることになります。月間PVはmixiアプリも合わせてモバイルで245.4億PV,月間滞在時間はPCで3時間23分とYahoo!に次ぐ長さとなっています。また現在もPV,ユーザ数ともに増加傾向にあるとして,⁠mixi離れ」を否定しました。

またmixiアプリは,mixi上で動作するWebアプリケーションで,やはり友人関係を活用していることがキーワードになっています。mixiが作ったアプリもありますが,それだけではサービスの成長が加速しないため,一般のデベロッパーやパートナー契約を結んでいる企業などもアプリを作成し,mixi上で展開しています。mixiアプリからビジネスを展開するための仕掛けとして,アドオンプログラムや課金,APIなどを最初から整備しているSNSは,世界的にも例を見ない環境であると田中氏は説明しました。

コンテンツへのリクエストは「24時間連続でDoS攻撃を受けるようなもの」

SNSは友人の近況を知る場所であり,コミュニティサイトは実際には知らない人たちがコンテンツを利用するために集まってくる場所。そこにクラウドの原点があると田中氏は言います。SNSでは,旅行の写真などの「ネタ」を共有する日記やフォトなどの仕掛けがあり,そのネタに対して友人がコメントなどによりリアクションを起こします。リアクションはネタを提供した本人に通知される仕組みのため,コミュニケーションが成立するスパイラル構造が確立され,バイラルに伝わっていきます。

SNSのトラフィックは独特で,新規にmixiアプリを公開したケースでは2日間ほどで5万人にユーザが増えました。一般的なWebサイトでこういったトラフィックを実現するのは至難の業ですが,SNSでは日常茶飯事です。ユーザの増加が一段落してもリクエストは多く,24時間連続でDoS攻撃を受けるような状態になります。このトラフィックをどうさばくのかも問題ですが,キャンペーンやイベントで一気に負荷が上がる反面,それらが終わったときはリソースを開放する必要があります。システムには柔軟性が重要であり,それを実現できるのがクラウドなのです。

サーバの形態は現在,⁠サーバホスティング」⁠仮想化によるクラウド」⁠環境提供型のクラウド」の3つに大きく分けることができ,⁠Google App Engine」は環境提供型のクラウドであると田中氏は言い,インフラの知識が不要であることがメリットであるとしました。そして,Google App Engineを使用した2つの事例を紹介しました。ひとつは2009年の「Xmasアプリ」で,1日1回ベルを鳴らすことでプレゼントの当選率が上がるというものでした。PCのみのアプリでしたが,約2週間で100万ユーザを突破し,そのリクエストをさばくことができました。もうひとつはワールドカップ開催に合わせた「mixiFESアプリ」で,モバイル版も提供しましたが,やはり大量のトラフィックに対応できたと言います。

無料で始められる「Google App Engine」

松尾貴史氏

松尾貴史氏

ここでグーグルの松尾氏が登壇し,Google App Engineの紹介を行いました。Google App Engineはクラウドコンピューティングで言うところの「PaaS」にあたるもので,Googleのインフラ上でWebアプリケーションを動かせるサービスです。特長は,導入が簡単なこと,トラフィックが増えてもサーバの増強を考える必要のない自動スケーリング,検索の技術で培った信頼性・パフォーマンス・セキュリティ,コストパフォーマンス,そして無料で始められることを挙げました。データベースやブログ,イメージ,メールなど,豊富なサービスが用意されていることも特長です。

現在,10万以上のアクティブアプリケーションがあり,一日あたりのページビューは5億PV,最高QPS(Quely per Second)は1600QPSを記録しています。また,無料で始められる「Free Quota」では,月間500万PVに対応できる程度のスペックを無料で利用でき,リクエスト数やネットワーク帯域,CPU時間,ストレージ容量などの上限を設定しておくことで,それを超えた分のみが課金されるといった料金体系も採用しています。なお松尾氏は注意点として,データストアのコンテンションに気をつけること,オートスケールのためには平均1000ms以下でリクエストをさばくこと,重い処理は極力Task Queueで実行することを挙げました。

そして再び田中氏が登壇し,⁠mixi Platform」について説明しました。mixiアプリ,mixi OpenID,mixiコネクトの3種類だったプラットフォームが「mixi Plugin」⁠mixi Graph API」⁠mixiアプリ」⁠mixi OpenID」の4種類に再編されました。これらは「mixi OpenStack」として構成され,複数のAPIが提供されます。早くもVoice APIを使用したiPhoneアプリが登場しており,今後はサービス・デバイスの連携が実現するとしています。最後に田中氏は,クラウドが発展しないとmixiアプリも充実していかないため,クラウドの発展に大いに期待しているとして,セミナーを締めくくりました。

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