エンジニアが今いちばん知りたいことに答えるイベント「MANABIYA -teratail Developer Days-」レポート

#1 あなたも実はインフラエンジニア?インフラエンジニアの現在と未来を語る「CrossSession インフラ」レポート

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インフラエンジニアを一言で言うと?

田中:ではここで,事前に参加者の皆さんから集められた質問に答えていただきたいと思います。まずはこれ,⁠インフラエンジニアを一言で言うと?」です。田籠さんいかがでしょうか。

田籠:実はインフラエンジニアを名乗ることはあまりないんです。長野さんもおっしゃってましたが,電気ガス水道もインフラじゃんと考えていて,どちらかというとSREがインフラエンジニアではなくサービスレベルまで考えているように,ハードウェアをソフトウェアとして扱う人の名前があるんじゃないのかなって思っています。ただ,今はちょうどいい呼び方が存在しないのでソフトウェアエンジニアと名乗っています。

長野:維持・継続・改善に向いている人です。新しい技術をどんどんやっていきたいというより,下のレイヤーで他の人を支える人をインフラエンジニアと言いたいです。

田中:さくらインターネットにはソフトウェアエンジニアはいっぱいいるんです。オペレーションとかファシリティとかの人も居ます。 前佛さんはインフラエンジニアですか?

前佛:ネットワークを見てないしどうでしょう,個人的には職種を定義したら負けかなと思ってます。

田中:インフラ,ミドルウェアをやる人,監視などインテグレーションできる人をインフラエンジニアというのかな,と聞いてて思いました。

田籠:SIer時代にはサーバチーム,データベースチーム,ネットワークチームとあったのですが。サーバチームは他のチームがやらないことを全部やるチームでした。なのでなんでもやる人という印象ですね。

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話題はインフラエンジニアからクラウドの使い方へ

田中:インフラエンジニアって,今ではクラウドのキャリアパスになっている印象ですね。ところで,最近マルチクラウドを使わないといけないという風潮になっていませんか?トレンドというか,Twitterのタイムライン上では,AWSからGCPGoogle Cloud Platformに手を伸ばしているところが多い印象です。

長野:メルカリでは本格的にGCPを使い始めてます。GCPを最初に使い始めたのはBigQueryを使いたかったというのが主です。現在ではAthenaがありますが,当時は無かったのでAWS+BigQueryでマルチクラウドを始めました。どのクラウドを使うかではなく,AWSだったらRDS,Aurora,GCPだとGKEGoogle Kubernetes Engineと,強いところや得意なところをとって使っています。

田中:マルチクラウドという言葉より,マルチサービスを使っているということですね。

さくらではクラウドを売ってるんですけど,インフラの事業者の方でクラウドっていう区切る言い方は雑じゃないかなと感じています。さくらはIaaSにこだわっているけど,GCPなんかもGmailとか上のレイヤーのサービスを一緒にして売ればいいのにと思います。インフラだけでこだわってるのは間違っているかな,と。 いま世の中で言われているようなマルチクラウドという考え方は事業者にこだわった言い方ですけど,⁠マルチクラウドにしないとリスクがある」って言うのは良くない。サービスで何をやりたいかを考えることからスタートするのがこれからの正しい方向かなと思います。

田籠:トレジャーデータではマルチクラウドを使っているのですが,1つのサービスでマルチクラウドを利用しているということではなくて,AWSで使えるトレジャーデータ,IDCFで使えるトレジャーデータというものがあります。1つのクラウドサービスにベッタリするよりマルチにやることはコストがかかりますが,それは戦略として行っています。移植性をある程度担保しておいた方が,たとえばもしウォルマートがトレジャーデータを使いたいと言ってきた場合などに対応できる,ということですね。

田中:移植性の話が出ましたが,もちろんAWSを利用しているなら新機能を使う時にAWSに即したサービスを使ったほうが安くなりますよね。コストと移植性はどちらをとりますか?

田籠:移植性の話が出る時にロックインが問題になりますが,本当の意味でAWSにしかないものは,本当に難しいいくつかを除けば特に無いんですよね。RDSはRDBMSだから最悪作ることはできる。ただ,DynamoDBはCassandraではなんとか出来るわけではないし,S3も機能はどこにでもありますが,パフォーマンスに目を向けると本当に凄い。S3のスループットに依存するサービスの場合は移植性はかなり下がります。同様にBigQueryも難しいですね。

田中:メンテナンスするのは大変だけど作れないことはないって話ですと,現在MySQLのチューンナップってロストテクノロジーになってる気がする。ロストテクノロジーを使える人と新しいものを使える人はどちらの価値が高いでしょうか?

長野:RDS使っててもいいけど,下で何が起こっているかを想像するともっとパフォーマンス出せると思います。

田中:確かに。OSSは無料ということではなく,⁠自分でコードが見れること」が最高に価値があると思うんですよ。そう考えるとクラウド,IaaS,PaaSは潜れないので,そこは難しいですね。

自宅サーバのOSは?

田中:次は「自宅サーバのOSは何が良い?」

(会場笑い)

田中:これは宗教上の問題あるよね。みなさんは自宅サーバありますか?

長野:ここ10年ぐらい家にはありませんね。

田中:最近はRasPiとかで構築することが多いですが,OSが何でもは入らないから選ぶ余地が少なくなっていますよね。

田籠:自宅ではIntel NUCにSSD挿してUbuntu動かしています。クラウドもありますが普通に直接触りたいんです。手元がOS Xなので,Linuxのmanを見たい時なんかに使ってます。あとはクラウドだと外部のインターネットに露出しちゃうので,自宅内に安全な所にDNSサーバ立てて,どういうソフトウェアでできてるかなんかを検証したりします。初心者がいきなりクラウドでやると,セキュリティ甘くて叩かれたりするので(笑)⁠

田中:うちでも「立てて5分でクラック」みたいなのをたまに見ます。警察が年間600件ぐらいくるんですよ。なのでそういうのに対応する部署があります。警察庁に「クラウドはクラウドだから攻撃されるものじゃない」って説明しに行ったりもしています。ちなみに嫁はサーバエンジニアなんですけど,家のサーバがうるさいと撤去されました。

(会場笑い)

最後に~インフラエンジニアの可能性

田中:残り時間も少ないので,最後にインフラエンジニアの方へ一言お願いします。

田籠:インフラは物理からソフトウェアにシフトしていますが,これは手を出せることが増えているということでもあるんです。昔のように会社に入って高価な機器を調達して,っていうのが不要で,みんなPC上でシミュレートできる。やることが変わっているけど,それは可能性が増えているということ。チャレンジして欲しいですね。

前佛:先に良いこと言われてしまった(笑)⁠これまでは物理的なインフラを見ていればよかった。でもこれからは性能評価やソフトウェアによる監視などが出来ないといけないので,広く勉強しましょう。

長野:インフラエンジニアはCPU,メモリ,ストレージなど下回りに強いですよね。それがわかると別のところにも可能性が出る。どうやってアプリケーション動かそうか,どうすれば最適に作ることが出来るか,とかいろいろアプローチが取れると思うので,どんどん別のレイヤーに行って欲しいということ,新しいことにチャレンジすると楽しくなりますよ。

田中:ありがとうございました。


インフラエンジニアが次に学ぶべき事や各種クラウドサービスの比較,マルチクラウド展開の必要性が説かれることはよく目にしますが,歴史を交えて現在のインフラを定義することで,次のステップを明確に示すことができたセッションではないでしょうか。

また,ひと口にインフラエンジニアと言ってもその対象は多岐にわたり細分化されてきています。その中で登壇者に共通していたのが,サービスをどうやってユーザーに届けるかということにフォーカスを置いていることでした。やらなくてはいけないことが増えたというより,サービスのためにやれることが増えたと感じ,チャレンジしていくことが,これからのインフラエンジニアに求められる資質なのかもしれません。

著者プロフィール

本橋佑介(もとはしゆうすけ)

レバレジーズ株式会社 teratail開発責任者。

クラウドインフラ,データベース管理,開発フロー改善などいわゆるSREのような立ち回りを中心に担当。

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