海外PyCon発表修行レポート2015

第1回 PyCon APAC 2015 in TaiwanでのSphinxに関する発表

この記事を読むのに必要な時間:およそ 4 分

1つめの発表:Sphinxによる貢献しやすい翻訳プロセス

カンファレンス2日目,6月6日(土)11:50から1つめの発表を行いました。

この発表で伝えたいポイントは3つあります。

  1. ドキュメンテーションツールSphinxの概要を紹介すること
  2. Sphinxにはドキュメントを翻訳するサポート機能があること
  3. 翻訳ボランティアがOSSプロジェクトに参加しやすい仕組みを提供できること

Sphinxは,reStructuredText記法のテキストやPythonソースコードから,HTMLやPDFなどのさまざまな形式のドキュメントを出力できます。その出力形式の一つとして,翻訳しやすいgettext形式の翻訳カタログファイルを作成できます。また,翻訳カタログを使ったドキュメントの多言語化にも対応しています。翻訳者は,翻訳カタログを扱える好きなエディタやサービスでドキュメントを翻訳できます。これらをうまく組み合わせることで,翻訳してほしい開発者も,翻訳を通じてオープンソースプロジェクトに貢献したい翻訳者も,最小の手間で効果的に成果を出せます。

写真4 ⁠Sphinxによる貢献しやすい翻訳プロセス」の発表中

写真4 「Sphinxによる貢献しやすい翻訳プロセス」の発表中

発表の持ち時間は40分で,発表後に残った8分で会場からの質問に答える時間を持ちました。そこでの質問は次のような内容です。

  • Q1. 翻訳者は,どうやって翻訳元ドキュメントの更新を知るの?
    • A1. sphinx-intlを使うと,更新があればコンソールにupdateが表示され,対象の翻訳文字列は一旦空になります。
  • Q2. sphinx-intlは翻訳済み文字列を一旦空にしてしまうということだけど,gettextのfuzzy機能に対応しないの?
    • A2. fuzzy機能に対応させる修正差分のPullRequestをもらってるので,早めに対応版をリリースしたいと思います。
  • Q3. SphinxはMarkdown記法に対応しないの?
    • A3. 別の開発者が挑戦しているところですが,解決するべき課題もいくつかあります

筆者は英会話,特にリスニングが苦手なので質疑応答はとても緊張しました。2年前に同じ会場で開催されたカンファレンスでもSphinxの発表を行ったのですが,当時は何を聞かれたのか聞き取れず,回答できませんでした。今回は英語での質疑応答もなんとかこなすことができました。これは,今回のカンファレンスで最も嬉しかったことです。

写真5 発表後にもらった記念品のキーホルダー。カンファレンスのロゴの形をしています

写真5 発表後にもらった記念品のキーホルダー。カンファレンスのロゴの形をしています

著者プロフィール

清水川貴之(しみずかわたかゆき)

ドキュメンテーションツールSphinxのメンテナ。2003年にZope2と出会い,それがオープンソース等のコミュニティー活動を始めるきっかけとなった。

Sphinx-users.jp運営。一般社団法人PyConJP理事。株式会社ビープラウド所属。

著書/訳書:「Pythonプロフェッショナルプログラミング第2版」「Sphinxをはじめよう」「Pythonプロフェッショナルプログラミング」「エキスパートPythonプログラミング」。

運営・参加イベント:Python mini Hack-a-thon主催,Sphinx+翻訳Hack-a-thon主催,PyCon JP 2011-2014運営

サイト:http://清水川.jp/
Twitter:@shimizukawa