パソナテックカンファレンス2008レポート

1日目PM 「エンジニアが創る企業の新たな競争力~意識調査結果から紐解く,エンジニア力を競争力へと昇華するモチベーション・ポイント~」

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1日目の最後に,(株)パソナテック代表取締役社長 森本宏一氏,(株)ゼロスタートコミュニケーションズ代表取締役社長 山崎徳之氏,リナックスアカデミー学校長 濱野賢一朗氏によるパネルディスカッションが行われました。モデレータを務めたのは,技術評論社クロスメディア事業部の馮富久。IT業界の今,そしてエンジニアの未来まで多岐にわたる内容で展開されました。

パネルディスカッションの模様

パネルディスカッションの模様

PART 1:IT業界の今,ITエンジニアの仕事環境,ワークスタイル

広い意味を持つ“IT業界”

まず,お三方それぞれの自己紹介の後,IT業界の今というテーマからスタートしました。ここで,IT業界という非常に幅広い業界に対して,「たとえば,ITと一括りにしてもソフトウェア開発やネットワークシステム,SIのような受託開発,Webサービス事業,さらにはモバイルや組込み機器まで,非常に幅広い製品やサービスが対象になります。こういった前提において,私を含め濱野さん,またモデレータである馮さんは,とくにソフトウェア開発やWebサービスといったところに対してのコミットや経験が豊富です。そのため,今回の座談会では,ソフトウェア/Webサービス,いわゆるデジタル情報をおもに扱っていくという意味合いでのIT業界を前提に話を進めさせてください」と山崎氏による事前説明が行われました。

山崎徳之氏

山崎徳之氏

これは,IT業界を語るうえで非常に重要なポイントで,IT業界というテーマで討論をしたり,打ち合わせをする際,その人が対象としている顧客,関係者,また実際の製作物が何になるのか,これをきちんと摺り合わせておかないと会話にすれ違いが生じてしまいます。その点で,まず,IT業界という枠の中で,エンジニアはどのポジションにいるのか,どういった目的(ゴール)を持っているのかを考えるべきという,基本的かつ重要な前提条件を考えさせるコメントからスタートしました。

一方で,森本社長の立場からは「私どもの会社では,ソフトウェア開発やWebサービス事業者だけではなく,先におっしゃったモバイルや組込みエンジニア,各種ハードウェアエンジニアなど,いわゆるIT全般のエンジニアの方を対象としたサービスを提供しています。その中でも,デジタル情報の位置付けは高まってきており,今後ますます重要になっていくと感じています」と,全体を見ているポジションからの,ソフトウェア開発・Webサービス事業に対するコメントがありました。

ITエンジニアの仕事環境

続いて,パソナテックが調査した「ITエンジニアの意識調査2008」の調査結果を引用しながら,ITエンジニアの仕事環境,ITエンジニアのワークスタイルについて話が展開されました。

まず,以下のように,現在ITエンジニアは「全体的にやや不満。」という結果が現れています。

仕事環境に関しての調査結果(パソナテック「ITエンジニアの意識調査2008」より引用)

仕事環境に関しての調査結果(パソナテック「ITエンジニアの意識調査2008」より引用)

この結果を見る限り,多くのエンジニアは福利厚生や日常生活との関係についてはほぼ満足している一方で,仕事内容や仕事の進め方など,実際の業務に関わる部分について不満を抱えていることが読み取れます。

森本宏一氏

森本宏一氏

「おそらく仕事としてエンジニアをしていると割り切っている方は,今回のパネルディスカッションのテーマであるモチベーション・ポイントについて考える必要はなくて,エンジニアをしたい,エンジニアで活躍したいと考えているエンジニアを対象にすることが重要だと感じています。このアンケート結果で不満を持っている層というのがまさに今回のパネルディスカッションで対象にしたい人たちではないでしょうか」と,山崎氏が述べ,それに対し「私どもパソナテックとしても,まだまだ適正な場所で働けていないエンジニアに対して,モチベーションを持てる環境を提供すること,そして,それによって裾野を広げていくことが,私たちの使命だと感じています」と森本氏はコメントした。

また,濱野氏は「最近のエンジニアを目指す若手で感じるのが「ITが好き,エンジニアリングが好き」と言える人が減っていることです。そういう点で,好きとか興味があるといった部分を,企業側が拾い上げることによって,業界全体の活性化,さらに改善にもつながると思います」と,教育という立場にいる方ならではの意見が出ました。

ITエンジニアのワークスタイル

続いて,ITエンジニアのワークスタイルという観点から話が展開しました。現在のエンジニアの働き方は非常にさまざまである一方で,IT業界は,比較的働きやすい面があるというコメントが出ました。「おそらく他の業界,たとえば建設業と比較して,IT業界は歴史が浅い分,しきたりのようなものが少なく,自分たちの感覚に合わせて働きやすい環境が多いと思います」と濱野氏は述べました。実際,IT業界を見渡したときに,とくにベンチャー企業と呼ばれる企業では,エンジニアの働く時間帯に合わせて勤務体系がとられたり,服装などの面でもそれほど規制されない状況が増えています。

濱野賢一朗氏

濱野賢一朗氏

また,一方で「企業側(経営側)としては,エンジニアが考えるアイデアや成果物をどのように利益につなげるか,それをきちんと考えずに進めてしまうと,経営悪化など悪い結果が出てしまったときに企業もエンジニアも不幸になります。その点で,見積もり感覚や金銭感覚というのを摺り合わせておくことが大事ですね」と山崎氏はコメントしました。

森本氏は「ITエンジニアの理想的なワークスタイルを実現するためには,企業側がきちんとした評価軸,標準化した体系が必要だと感じています。現在は,まだこの部分が整備し切れていないので,企業側の取り組みとしては,その点への注力も必要ですね」と,雇用側の立場でのコメントをしました。

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