インターネットが変える世界通貨の考え方―PayPal X Developer Conference Innovate 2010レポート

第1回 PayPal X Developer Conference Innovate 2010開幕!―キーワードはモバイル,ソーシャル,ローカル

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見えてきたモバイル決済の未来像

その後,さらにモバイル決済の未来像とも言うべきデモがいくつか紹介された。

VeriFone

VeriFoneはクレジットカード決済を行うハードウェアとデバイスを提供しているベンダで,この日,PayPalとの提携を発表した。提携によるソリューションの1つとして,スマートフォン用情報共有アプリBumpの機能を使い,PayPal経由での個人間取引ができるようになった。

Bumpで通信が行われた後,指定した金額の取引が行える

Bumpで通信が行われた後,指定した金額の取引が行える

キーノート後,実際にデモを行ってみた。手前のiPhoneから奥のiPadへの取引が行われている様子

キーノート後,実際にデモを行ってみた。手前のiPhoneから奥のiPadへの取引が行われている様子

Bling Nation

さらに,今回会場内でも用意されていた「Bling tag」を提供するBling Nationのデモが行われた。Bling tagを使うと,PayPalを通じて直接モバイルデバイスから支払い・決済が行える。

Bling tagを通じて決済をしている様子(画面奥)

Bling tagを通じて決済をしている様子(画面奥)

FreshBooks

また,現在PayPal自体をプラットフォームとした,PayPalアプリケーションの開発環境も提供している。その1つとして,FreshBooksのアプリが紹介された。画面にあるように,PayPalアカウントの画面から直接ネイティブアプリを呼び出し,そこでトランザクションを発生させることができる。

FreshBooksのPayPalアプリ。ユーザは,アカウント画面から直接FreshBooksのサイトにアクセスし,書籍の購入が行える

FreshBooksのPayPalアプリ。ユーザは,アカウント画面から直接FreshBooksのサイトにアクセスし,書籍の購入が行える

DISCOVER.com

クレジットカードを提供するDISCOVERは,PayPalアプリを通じた取引の例として,複数人での食事支払いを,後日割勘するといったデモを行った。これは,ある一人がまとめて支払った後,メールを通じて個別に代金を徴収できることになり,支払い時の煩雑さが解消できるようになる。

世界最大のSNS「Facebook」への採用

初日のキーノート最後には,世界最大のSNS「Facebook」から,COOのSheryl Sandberg氏が登場した。Facebookは最近日本でも盛り上がりを見せてきているSNSで,とくにソーシャルアプリケーションプラットフォームとして注目を集めている。

Facebook,COOのSheryl Sandberg氏

Facebook,COOのSheryl Sandberg氏

今回,Facebook内での課金システムとしてPayment Solution for Digital Goodsが採用された。具体的には,さまざまなソーシャルゲームで発生する課金について,PayPal経由で少額から取引ができるようになった。

Sheryl氏も「これにより,Facebookでのコネクションがより活性化されると予想する」と,PayPalの機能,そしてオープン化によるメリットを歓迎するコメントを残した。

共通のペイメントシステムがもたらす価値

以上,非常に盛りだくさんの実例とともに,PayPalの新しい機能,これからの展望を体感できるキーノートとなった。2009年にX.com,そしてAPIのオープン化を推進しているPayPalが目指す新しい決済・取引の1つの方向性が見えた内容だった。とくに,モバイル,スマートフォンと連動したサービス,日常生活に密着できる機能などは,今後のコンシューマの体験を豊かにしていくものと思われる。

現状,日本でのPayPal利用はまだまだ少ないが,同社が提唱する「クロスボーダーコマース(国境を越えた取引⁠⁠」の実現において,PayPalの存在価値がますます高まっていくだろう。興味のあるエンジニアは,ぜひPayPal X Developer Networkにアクセスしてほしい。

PayPal X Developer Network
URL:https://www.x.com/

著者プロフィール

馮富久(ふぉんとみひさ)

株式会社技術評論社クロスメディア事業室室長。

1975年生まれ。横浜市出身。1999年4月株式会社技術評論社に入社。入社後から『Software Design』編集部に配属され,2004年1月に編集長へ就任。同2004年9月に『Web Site Expert』を立ち上げ,同誌編集長に就任,現在に至る。その後,2008年9月に設立したクロスメディア事業部(現クロスメディア事業室)に配属。現在,社外活動として電子書籍を考える出版社の会の代表幹事やWebSig 24/7のモデレーター,TechLIONプロデューサーなども務める。過去にIPAオープンソースデータベースワーキンググループ委員やアックゼロヨン・アワード他各賞審査員などの経験を持つ。

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