インターネットが変える世界通貨の考え方―PayPal X Developer Conference Innovate 2010レポート

第2回 リアルタイム性の価値

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WFPへの貢献

Tim氏の登場に先立ち,MCホストを務めた,PayPal Senior Director of Developer NetworkのNaveed Anwar氏から,PayPalのWFP(World Food Programme)への貢献に関して発表があった。PayPalは,WFPに対して,今回のイベントから10万人分の食事の価値をフィードバックしたとのこと。

PayPal feeds back with World Food Programme
https://www.thepaypalblog.com/2010/10/paypal-feeds-back-with-world-food-programme/

インターネット通貨が持つリアルタイム性の価値

冒頭のAnwar氏による発表の後,今回のメインスピーカー,O'Reilly Media, Inc.のFounder兼CEOでもあるTim O'Reilly氏が登場した。O'Reilly氏は,⁠オープンソース」「Web 2.0」など,ITのトレンド,その後のビジネスに影響を与えるキーワードを提唱し,さまざまな分野に影響を与える人物だ。

O'Reilly Media, Inc.のFounder兼CEOでもあるTim O'Reilly氏

O'Reilly Media, Inc.のFounder兼CEOでもあるTim O'Reilly氏

インターネット通貨に対して,O'Reilly氏がまず挙げたのが「危機的状況における価値」だ。これは,言い換えると「リアルタイム性の価値」だという。具体的にどういうことかというと,仮に何かしらの有事が発生した際,インターネット通貨があることにより,いつでもどこでも貨幣価値を安定させることができ,経済活動が行えるようになるわけで,その結果として,市場全体の保護,ひいては個人が持つ資産保護が行えるということだ。これは,インターネット通貨だからこそ持てる⁠貨幣のリアルタイム性⁠と言えるだろう。

この⁠リアルタイム性⁠を実現できる理由の1つとして,O'Reilly氏はデバイスの進化を挙げた。

  • 位置情報
  • 検索
  • 読み上げ機能
  • リアルタイムの交通状況
  • イメージ

つまり,上記のような情報を正確に確保できることにより,サービス内でのリアルタイム性を統一できるというもの。また,デバイスとともに重要となるのが,バックエンドの堅牢性,安定性であり,現在のインターネットOSは,データOSという位置付けに変わりつつあり,この技術進化こそが今の利便性を確保している点も指摘した。

こうした状況を分析した上で,午前のキーノートで発表された,PayPal Mobileの重要性,価値について説明した。

O'Reilly氏は,PayPal Mobileにより,トラブルが発生した場合の社会生活基盤が安定していくことを強調した。

O'Reilly氏は,PayPal Mobileにより,トラブルが発生した場合の社会生活基盤が安定していくことを強調した。

Eコマースへの回帰

次にO'Reilly氏が指摘したのが,Eコマースへの回帰である。これは「マイクロペイメントやインターネット通貨の発展により,とくにスタートアップ企業のビジネスモデルを構築することに良い影響を与える」ということを意味する。2000年のドットコムバブル以降,一時期はEコマースに対して市場の反応が消極的になり,また,2008年の金融危機による経済市況の低迷といった要因からインターネットビジネスに陰りが見えていた。しかし,2010年に入り,また上向き傾向になってきているとO'Reilly氏は言う。そして,今回発表された「Payment Solution for Digital Goods」をはじめとしたインターネット通貨が流通していくことにより,ソーシャルネットワーク上のソーシャルアプリによるビジネスや,GROUPONなどフラッシュマーケティングと呼ばれる新しい手法を活用したEコマースビジネスが活性してきていると,O'Reilly氏は分析した。

O'Reilly氏はPayment Solution for Digital Goodsが与える影響は大きいと断言した。

O'Reilly氏はPayment Solution for Digital Goodsが与える影響は大きいと断言した。

ますます重要になるPayment Platform

こうした現状分析と展望をまとめた後,最後のメッセージとして「いずれにしてもDIY(Do It Yourself)の精神が大事であり,その気持ちを持つエンジニアたちを賞賛します」とコメントし,キーノートを締めくくった。

著者プロフィール

馮富久(ふぉんとみひさ)

株式会社技術評論社クロスメディア事業室室長。

1975年生まれ。横浜市出身。1999年4月株式会社技術評論社に入社。入社後から『Software Design』編集部に配属され,2004年1月に編集長へ就任。同2004年9月に『Web Site Expert』を立ち上げ,同誌編集長に就任,現在に至る。その後,2008年9月に設立したクロスメディア事業部(現クロスメディア事業室)に配属。現在,社外活動として電子書籍を考える出版社の会の代表幹事やWebSig 24/7のモデレーター,TechLIONプロデューサーなども務める。過去にIPAオープンソースデータベースワーキンググループ委員やアックゼロヨン・アワード他各賞審査員などの経験を持つ。

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