PHPカンファレンス2019 開催

PHPカンファレンス2019参加レポート[中編]

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東口和暉さん「知見のない技術スタックをプロダクション導入するエンジニアの導入戦略」

BASEの東口和暉さんは,⁠知見のない技術スタックをプロダクション導入するエンジニアの導入戦略」というタイトルで発表しました発表資料⁠。

資金調達サービス「YELL BANK」は約5ヶ月の開発期間ののち,2018年12月にリリースしました。このとき,既存サービスで運用経験のなかったプログラミング言語(Go)を用いたシステム開発を行ったそうです。今回はその開発における戦略について話しました。

東口さん(撮影:杉本展将)

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知見のない技術スタックを扱う不安にどう取り組むか

エンジニアリングを行うなかで技術選定という作業は欠かせません。東口さんは,技術選定をする際にさまざまな観点から技術選定をすることになると言い,たとえば学習コスト,メンテナンス性,パフォーマンス,チームでの運用実績などなど多岐に渡ると語ります。その判断軸に関して次のように述べました。

「判断軸は,要件によってどの観点が重視されるかで異なります。結果的に,運用実績がない技術のほうがマッチしそうなケースもあることでしょう。しかし,運用実績のない言語やフレームワークは意思決定において,⁠未知への不安』が重くのしかかります。未知への不安,知見がない故に尻込みしてしまいます。結果的にフラットな意思決定から遠ざかってしまうのです。

この不安をさらに深掘りすると見えてくるのは,将来の成果物の品質に対する不安となってくるようです。この品質の不安にどう立ち向かうか。個人で学んだところで,業務で開発しないと分からない壁はあります。いわゆる『開発・運用の知見』と呼ばれるものです。これらはやりながら知見を得てプロダクトに反映していくしかないことになります。いかに多く学び,すぐに反映するか。これが重要になってきます」⁠東口さん)

実際に不安の要因に対してどう取り組んでいくか

いかに現場の知見を得るかという観点では,無戦略でなんとなくやっていても得られるものは少なく,多くの知見を得てサービスに反映させるための導入戦略を考える必要があります。そのためには,⁠情報収集や体験といった『具体⁠⁠,抽象化・モデル化・パターンの発見といった『抽象⁠⁠,実践や検証といった『応用⁠⁠,これらのサイクルを回し,多く学びすぐ反映させることが重要となってくる」と説明しました。

テスト・コード検査・監視を武器に立ち向かう

テストは欠陥を防ぐ用途に向きがちですが,それだけではなくテストコードを設計道具として使うことで設計に対するフィードバックを得ることができます。つまり,テストコードを書くことでコード設計の良し悪しを体験できます。その体験から,当該技術において内部品質のより高いコード設計を目指す気づきが得られることを紹介しました。

また,安定運用への懸念事項として動かし続けないと分からないことがあります。リリースと同時,あるいは直前から動かし始めるのでは,気がつけない落とし穴があるかもしれません。そのためにもプロジェクトを早期からデプロイしておくことで稼働状態を監視し続けられるとし,BASEではアプリケーションからデータベースへの疎通確認が突然途切れたことがあり,アプリケーションの設定の不足を発見したことを取り上げていました。

最後に,東口さんは今回発表した「知見のない,つまり運用実績のないことが技術選定の意思決定において重しになりうること」⁠運用実績のないものをいかにスピーディーに学び品質を上げるか」について,その重要性をまとめて締くくりました。

吉政忠志さん,徳丸浩さん「徳丸先生による徳丸試験例題解説とPHP7初級書籍贈呈キャンペーンと市場動向」

PHP技術者認定機構の吉政忠志さんが,PHPの市場動向や,実施しているPHP試験や通称徳丸試験などを紹介しました。徳丸試験の解説のために,徳丸浩さんも登壇しました。

吉政さん(撮影:Shunsuke Hiranoさん)

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PHPの市場動向

吉政さんははじめに,PHPの市場動向を取り上げました。W3techsによる2019年の調査では,世界中のWebアプリケーションの78.9%がPHPで作られていると言い,PHPエンジニアの求人率も増えていることを紹介しました。また,Webアプリケーションの中でもWordPressのシェアは大きいことも取り上げました。

各試験の紹介

WordPressはカスタマイズ性に優れていますが,大きくカスタマイズをすることによって重たくなりがちです。これを解決するためにWordPress用にチューニングされた実行環境「KUSANAGI」があり,そして来春にはKUSANAGI for WordPress試験を開催予定であることを紹介しました。

PHP技術者認定試験についても紹介しました。上級者の試験の合格率は9.8%となっているそうです。現在,⁠受験宣言をすることでPHP初級本をもらおうというキャンペーン」が行っていることを取り上げ,このキャンペーンに参加してもらえるPHP初級本でも学んで試験に臨めると宣伝しました。

徳丸浩さんは,通称「徳丸試験」と呼ばれるによるWebセキュリティ試験を紹介しました。その基礎試験の主教材は『体系的に学ぶ安全なWebアプリケーションの作り方』だと言及し,いくつかの試験問題例を取り上げ,解説を行いました。

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基礎試験ではPHPなどの特定言語に依存しないそうです。とても基礎的な問題ですが,それでも意外に点数がばらけてしまっていると述べていました。こういった試験を活用して自身にセキュリティに関する漏れがないかを確認してほししいと発表を締めくくりました。

著者プロフィール

川原英明(かわはらひであき)

放浪のITエンジニアとして人生は常に勉強だ!ということでPHPもやり続けていたが,Perlも含めて最近あまり使っていない。最近はPythonやRubyをやっている。2020年からは新しい職場で頑張っていく。

Twitter:@sapi_kawahara


花井宏行(はないひろゆき)

スタディプラス株式会社所属。日本Symfonyユーザー会メンバー。PHPカンファレンスには2015年から参加。

Twitter:hanahiro_aze


田添春樹(たぞえはるき)

広島工業大学所属。広島でLaravel.hiroshimaという勉強会を主催。普段はLaravelを使い,個人開発を行なっている。ユーザーの役に立てるサービスを作りたいと思い日々頑張っている。

Twitter:@jdkfx