「PyCon APAC 2018 in Singapore」参加レポート

Day2:今すぐ始められる機械学習,“Pythonic”なコードを書くには?

この記事を読むのに必要な時間:およそ 4.5 分

こんにちは,taisaです。第2回となる今回は,PyCon APAC 2018 in Singaporeのカンファレンスデイ2日目の様子をお届けします。⁠キーノート」「セッション」のレポートの他にも「はじめて海外カンファレンスに参加してみて」「夜の懇親会について」⁠シンガポールについて」のコラムもありますので合わせてご覧ください。

キーノート:"Introduction to object detection" ―Alan Descoins

(家治亮)

2日目のKeynoteにはTryolabs社CTOのAlan Descoins氏が登壇しました。Tryolabs社では企業を対象とした機械学習プロダクトの構築支援を行っており, Alan Descoins氏は研究開発と全プロジェクトに関わるコンサルティング業務を担っています。

このセッションでは,畳み込みニューラルネットワーク(CNN:Convolutional Neural Network)を利用した物体検出(object detection)アルゴリズムの解説と,Luminothというツールの紹介が行われました。

キーノート開始直前の様子

キーノート開始直前の様子

まず導入として,画像分類(classification)を題材に,どのようにしてCNNが画像からパターンを抽出するかが説明されました。次に,物体検出アルゴリズムの具体例として Faster R-CNN を取り上げ, CNNの中間層から得られる特徴マップ (activation mapまたはfeature map) が物体候補領域の推定に利用されること,その推定結果から物体のクラス分類と矩形領域の回帰計算を行うことが説明されました。

最後にLuminothの紹介とそのデモが行われました。Luminothは,TensorFlowを基にしたディープラーニングのツール群およびライブラリです。作成したモデルの学習,評価を一貫して行うためのCLIツールが用意されている他,ライブラリとして既存のアプリに組み込むこともできます。現在Luminothはまだアルファ版であり,物体検出のみをサポートしている状況です。しかし「but we are aiming for much more」とのことですので,今後の発展に期待しましょう。

セッションの感想

画像を対象にしたアプリケーションで,ディープラーニングは当然のごとく使われるようになりました。有名なモデルであればGitHubで既に公開されているので,TensorFlow実装のモデルを用意し,目的に応じて再学習 (可能なら転移学習) させることによって所望のモデルが得られます。

そのくらい一般的な技術になったので,私も手を動かすことを怠らず,必死でこの分野をキャッチアップしていかなくてはと強く実感しました。

Elements of Programming Interviews in Python―Tsung-Hsien Lee

新井正貴

Googleのhiring committeeに所属していて,コーディング試験についての書籍も出版している専門家によるトークでした。

発表の中では,選考の進み方やコーディング試験の具体例を示していました。またコーディング試験の対策として,⁠普段からエディタは好きなものを使っていいけど,補完機能には頼るな。ホワトボードを使った試験の場合に困るぞ!」とのアドバイスがありました。

最後にアルゴリズム系のコーディング試験でよく使うPythonの標準ライブラリ・サードパーティライブラリが紹介されました。そして「Pythonicなコードを書くことが成功の鍵だ!」という言葉と,自身の書籍の紹介とともにトークが締めくくられました。

セッションの感想

今回のAPACでは,数多くの高校生が参加していました。シンガポールではいつものことらしく,教育水準の高さを垣間見ることができました。その中でも特にこのコーディング試験の発表は,将来の就職・インターン採用につながるからか彼らが真剣に聞いていたのがとても印象的でした。

このようなコーディング試験を扱うトークというものは日本のカンファレンスでは聞いたことがなかったので,新鮮で面白かったです。このように他国のエンジニア文化を肌で感じられるのも,海外カンファレンスに参加する醍醐味といえるでしょう。

著者プロフィール

taisa(たいさ)

Cocolive株式会社 CTO。SIerを経てアライドアーキテクツにてWeb広告・SNSマーケティング関連のWebサービス開発を経験し,副部長としてマネージメントしながらテックリードとして複数のWebサービス立ち上げに従事。その他にPyCon関連のコミュニティ活動や「AIPyハンズオン」勉強会の主催を行っている。共著本に『React,Angular,Vue.js,React Nativeを使って学ぶ はじめてのフロントエンド開発』がある。

Twitter:@taisa831
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Blog:https://github.com/taisa831


家治亮(かじりょう)

ソフトウェアエンジニア。2014年から画像に関する業務に従事。PyCon JP 2015, 2017 スタッフ。

コードアカデミー高等学校メンター。

GitHub:@ryokaji


新井正貴(あらいまさたか)

東京大学文学部卒業,アライドアーキテクツ株式会社にて勤務。2016年4月,株式会社SQUEEZEに入社。コミュニティ活動としてPyCon JP 2015~スタッフ,DjangoCongress JP 2018スタッフ,「Pythonもくもく会」の主催などを行う。趣味はラクロスとPerfume。

Twitter:@massa142
GitHub:@massa142
Blog:http://massa142.github.io/


清田史和(きよたふみかず)

PyCon JP 2012-2016実行員で最近は地元の九州でのPythonの普及活動SnapDishサービス開発を手がけている。

Vuzz Inc.取締役CTO,株式会社ナチュラルコーヒー代表取締役,学校法人北部学園ほくぶ幼稚園 理事長


吉田俊輔(よしだしゅんすけ)

サイバートラスト株式会社勤務,MIRACLE LINUXのサポート業務などを担当。PyCon JP 2014よりスタッフ,PyCon JP 2017/2018 座長。関東近郊のOSSコミュニティに参加。イベント参加/出展や,地方のOSS系イベントに合わせて旅行し温泉地巡りをしている。共著書に『Debug Hacks』(オライリージャパン)がある。


寺田学(てらだまなぶ)

株式会社CMSコミュニケーションズ代表取締役/一般社団法人PyCon JP代表理事。

Pythonの魅力を伝えるべく,初心者向けや機械学習分野のPython講師を精力的に務めている。

Twitter:@terapyon
GitHub:@terapyon
Blog:https://www.cmscom.jp/blog

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