パソナテック第1回シリコンバレーツアーPhotoレポート

第6回渡辺千賀氏へ シリコンバレーへの質問

イベント最終日、前回前々回とご紹介したパネルディスカッションの後、モデレータを務めた渡辺千賀氏への、ツアー参加者からのシリコンバレーに関する質問コーナーが設けられました。その模様をお届けします。

写真:渡辺千賀氏。
写真:渡辺千賀氏。

渡辺千賀氏が答える、シリコンバレーに関する疑問・質問

アメリカで働くこと

まず、アメリカで働くことについてどのような方法があるのか、また、実際に働く環境がどうなっているのかに関して、次のようにコメントしました。

アメリカには毎年非常に多くの人が働きに来ています。そのため、就労ビザを取るのはすごく難しいです。その中で具体的には、アメリカの大学卒業資格を取ると、1年間働く資格を得られるので、そこから発展させていく方法があります。あるいは、日系企業に就職し、そこでサポートしてもらいアメリカで働く資格を得る方法があります。これは、その企業がホストの役割を担って、本人の代わりに申請をしてくれるパターンです。 ちなみに、VMwareの吉澤さんの例は最短コースになります。

参考:渡辺千賀のはたらけシリコンバレー
行動し続けていれば、時として失敗しても必ず次のチャンスが訪れる
http://www.pasonatech.co.jp/hatarake_sv/rep12.jsp
続いて、渡辺さんご自身がどうしてシリコンバレーに来たかについてお話しいただきました。

元々私自身、IT関連の仕事をしていて、TokenRingのルータなどを売っていた経歴もありました。あるとき留学することになって、ボストンとシリコンバレーを経験したのですが、とくにシリコンバレーは天気が良くて、それで選んだところは大きいです。それから馴染んでしまって今に至ります。なので、強い決意があったわけではなくて、少しずつ階段を登って今に至っていると思います。

実際に働いているうちに、転職というフェーズが訪れることもあります。これまでシリコンバレーを長く見ている渡辺氏の目には、アメリカでの転職についてはどのように映っているのでしょうか。

アメリカでの転職に関しては、一般的に、1社に1年いると長いほうで、2年いるのはかなり長い部類に入ります。逆に、6ヵ月未満で変わっている人もいたりしますが、これが続くと対外的な評価はあまり評価が良くありません。キャリアアップのフローがあると言っても、滞在年数や転職回数はきちんと見られて、同じ会社で1~2年在籍できた人は、落ち着いて働けていると思われています。

ちなみに、シリコンバレーで働いている人(約200万人)のうち、日本人の割合は数万人程度と言われています。中には駐在員も含まれていますね。自分からこちらに来ている人は数千人程度ではないでしょうか。

具体的な企業で見ると、AppleやAdobeであれば2、30人ぐらいはいると思います。他にも1人だけいるという企業もけっこうありますね。

サンフランシスコについて

次に、サンフランシスコがどのような場所かについて、渡辺氏の印象とともに説明していただきました。

まず、気候は夏が寒ことで有名です。しかし、これは実はあまり知られていなくて、アメリカ国内からの旅行者も薄着で訪れることもありますね。寒い理由の1つは、サンフランシスコ名物として有名な霧が原因です。霧が出ることにより温度が下がります。ただ、西海岸のサンフランシスコ近辺では、サンフランシスコの市街地とそれ以外(サンノゼなど)でだいぶ気候が異なりますね。シリコンバレーはとても気候が良いです。

そのせいか、シリコンバレー、サンノゼには、アウトドア系の趣味の方が多いと思います。表で何かすることが好きな人が多いです。逆に言えば、中に閉じこもって、たとえば雰囲気の良いお店でお酒を飲むといった趣味がある人にとっては、シリコンバレーは辛いですね。

その他、年齢での差別は少ないと思います。この年だからこれをやる、というような偏見はほとんどありません。

英語に関して

日本人にとって、一番気になるポイントはこれではないでしょうか。仕事をする上で必要な英語力はどの程度か、アメリカを長く経験している立場からお応えいただきました。

あたりまえですが求められる英語力は、何をやるかによります。

たとえば、エンジニアであれば片言で通用することもあります。ただし、キャリアアップを目指すのであれば不自由なく話せることが大事です。一方で、語学とは異なる特殊な技能を持っていれば、片言でも大丈夫なこともあります。言葉が話せなくても、その人が持っている技術が欲しいと言うことになれば、会社側で通訳を付けてもらえることがあるからです。ただし、永遠にそうではなく、きっかけとしてはそこから始まり、長く働いていくのであれば、英語力の向上が求められます。

それと、これはこちらに来た日本人がよく口にすることですが「自分の中では、これぐらいできれば良い」と思っていたレベルが、実際にアメリカに来てみると全然物足りなかった、という意見です。

まとめると、最初のきっかけ、つまりエントリはとても低いのですが、上を目指していくことになれば、それは非常に高いレベルが必要になるということです。レンジが広いですね。

それから、英語の上達に関してですが、プログラミングについて語っているだけでは上達しないのと同じで、英語について語っているだけではダメです。つまり、理論のみではなく、実際に耳を慣らし、話せるようにしていくことが大事ですね。

転職の方法

アメリカで働くことになったとして、キャリアアップする際に転職をすることがあるかと思います。こちらでの転職状況はどのようになっているのでしょうか。

こちらは、エンジニアに関して、大企業・ベンチャーに限らず、リクルーターを利用することがほとんどです。リクルーターの存在がすごく大きいと思います。

それからWeb経由による転職も多いですね。ローカル企業であればcraigslist、手広くする場合、Monster.comといった求人サイトを出したり、自社サイトに出すといったパターンがよく見られます。

もう1つ、知り合い経由での転職もありますね。こちらの場合、多くの会社で自社社員の紹介による転職が成功した場合、紹介者にボーナスを渡します。これは、先ほどのような外部リクルーターやWebに求人を出すよりも、経費がかからないからです。

ちなみに、こちらのリクルーターは非常にたくさんのWebを見ていることが多く、そこから探しています。なので、blogを書いたりSNSに参加することは、キャリアアップにつながると思います。

日本とアメリカ

最後に、渡辺氏ご自身から見た日本とアメリカの違い、とくに渡辺氏の強みという観点でこちらに来て感じたことを教えてもらいました。

私自身、他人との差別化を図ることはあまり考えたことはないですね。ただ、たとえばblogを書くときに、読み手のことを考えるよりも、まず自分がおもしろいと思ったことを書く場合が多いです。その結果が、差別化になっているのかもしれません。

それから、これは後付なのかもしれませんが、ある2つのものから想像力を働かせて別のものを生み出すことが得意ということがありますね。意外なところから、他に適用できるといった連想や発想を思いつきやすいのが、自分の強みだと思っています。


以上、渡辺氏によるQ&A形式のセミナーの模様をお届けしました。シリコンバレーで長く働いている同氏ならではの視点で、こちらの雰囲気が伝わる内容でした。

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