YAPC::Asia Tokyo 2009 スペシャルレポート

1日目レポート[随時更新]

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Tokuhiro Matsunoさん「Plack/PSGI」⁠

当初の予定を変更してのセッションで,miyagawaさんとtokuhiromさんという,日本においてPerlを語る上でなくてはならないお二方のセッションとなりました。この日本を代表するお二方が熱く語る,PlackとPSGIとはいったいどんなものなのでしょうか。

一番重要な点でお二人が強調していたのは,PSGIが仕様であり,Plackはその1つの実装に過ぎないということです。PSGIはサーバとアプリの間の中間プロトコルであり,PythonのWSGIやRubyのRackと同類のものとなります。

PSGIにおいて,リクエストはハッシュリファレンス,レスポンスは配列リファレンスで扱われます。これは従来のHTTP::Engineとは違い,仕様の上でも実装の上でも軽量化ができる利点があると説明がありました。また,なぜこのようなPSGIが必要なのかという点については,各WEBフレームワークでアプリに求めるAPIが違い,その度にアプリケーションを実装するのは理にかなってない,ということが述べられました。

また,PlackはPSGIの実装であり,plackupという簡単に作ったアプリを試すことができるコマンドがついていることが魅力的です。このコマンドは実行に用いる実装をコマンドラインで変更することができ,実際にCatalystのアプリケーションをMojoやAnyEventで動作させるデモを見せて頂きました。また,ここでもmiyagawaさんが,セッション前まで壊れていたデモをいきなりその場で修復するという荒技を見せ,歓声を浴びていました。

PSGIやPlackに関しては,今後Perl6やCatalyst,Google App Engineなどへ採用を求めて声をかけていく予定もあるとのことで,今後非常に楽しみなプロトコルです。

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Takatsugu Shigetaさん「シックスアパートフレームワーク」

TypePad開発シニアマネージャの重田さんよりTypePadで使われているフレームワークについての説明がありました。

TypePadで使われているフレームワーク

大まかに次のようなフレームワークで構成されています。

  • Model→MT::Object
  • View→MT::Template
  • Controller→MT::App
  • TypePad::Object

ちなみに「TypePadはMTでできている」というのは都市伝説とのことでした。共通のモジュールを使ってはいるものの,別物だということです。

ArcheTypeについて

Catalystの上にArcheTypeを導入し,共通部分についてはここで吸収し,さらにその上でVoxやTypePadのそれぞれの固有の機能を実装しているということでした。Catalystを使う理由については,URIからAPIを呼び出すような処理を使う際にCatalystは便利だからということでした。以前は独自のフレームワークを使っていたそうです。

開発環境について

  • ドキュメント管理にMediaWiki,Kwiki
  • ソース管理にSubversion
  • バグトラックにFogBugz(実績時間の管理もできて便利だということでした)
  • ソースレビューにReview Board
  • コミュニケーションにはIRC/Jabberなど

オープンソース

同社のオープンソースの取り組みについてはcode.sixapart.comを気軽にみていただければとのことでした。ソースについてはgithubでも公開中です。MovableType Open Sourceを始め,これからも積極的に貢献したいということでした。

質疑応答

「CPANのバージョンアップにはどのように追随しているのか?」という質問に対しては,まずバージョンアップしても大丈夫かどうか確認した後,RPM化し,次回のバージョンアップで更新されるようにしているとのことでした。 ⁠海外との分散開発において気を付けている点は?」という質問に対しては,最も重要なのはコミュニケーションで,逐一情報を流すようにしている。ときどき事の重要さが伝わらなくて苦労することがあるが,そういうときには具体的な数字を明示してから伝えるようにしているということでした。 ⁠シックスアパートには英語力がないと入社できないか?」という質問に対しては,⁠読み書きができれば,おおよそ大丈夫」ということでした。

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Masanori Wadaさん「Yet Another BPM Framework "Kailas"」

親子で登場した和田さんが紹介したのは,ビジネスプロセス管理フレームワークであるKailasという自社開発のソフトウェアです。和田さん親子は,二人で鎌倉にあるwaditという会社を経営されてます。普段は恐らく見ることができないであろう,湘南モノレールがすぐ側を通っている,オフィスの写真も公開されていました。

和田正則さんは,60歳とのことですが,年齢をまったく感じさせない熱意のあるトークで,会場の関心を集めていました。Subversionも普通に使いこなせるとのことですので,我々も負けていられません。

Kailasの名前の由来は,チベットの未踏峰「カイラス山」だそうです。これから親子で,未踏の地に足を踏み入れるのだという決意が感じられます。Kailasの紹介の中で正則さんが強く訴えていたのは,既存のエンタープライズ開発において,ITが人を支配してしまっている,ということです。これを人間中心の考え方に戻し,ITで人が幸せになれるようなプロダクトを,Kailasは目指しています。

Kailasの背景には,H.A.サイモンの意思決定プロセスという理論的なバックボーンがあるらしく,正則さんが詳細を語って下さいました。また,Kailasを実際に使ったデモが紹介されました。KailasはjQuery UIを使って直感的なインタフェースを提供しており,WEBアプリケーションにも関わらずドロッグ&ドロップで簡単にGUIでプロセスを開発できます。デプロイもワンタッチで,ドロッグ&ドロップしただけのプロセスがそのままWEBアプリとして動いていました。

最後に正則さんは,Perlコミュニティは非常に素晴らしく,うらやましいと語り,⁠Perl魂をエンタープライズに注入すれば,エンタープライズの諸問題を解決できる」とPerlコミュニティに対し,強くエールを送ってらっしゃいました。

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著者プロフィール

杉山誠(すぎやままこと)

企業やプロジェクト間を渡り歩いて仕事をしているフリーランス・プログラマー。昨年福岡へ移住したのをきっかけにFukuoka Perl Mongersを立ち上げる。デジタルハリウッド福岡校講師。山口県山口市出身。

blog:http://sugmak.com/
twitter:sugmak


本間雅洋(ほんままさひろ)

北海道苫小牧市出身のプログラマー。好きな言語はPerlやPython,Java,Objective-C,Haskellなど。在学中には数学を専攻しており,今も数学好き。現在はオンライン不動産株式会社にて自社サイトの開発に従事している。

共著書に「FFmpegで作る動画共有サイト」(毎日コミュニケーションズ)がある。

blog:http://d.hatena.ne.jp/hiratara/

コメント

  • 修正させていただきました

    ご指摘ありがとうございます。
    修正させていただきました。

    もしも,より詳細な対応が必要であれば,以下からご連絡いただければ幸いです。
    https://gihyo.jp/site/inquiry/others

    それでは,今後ともよろしくお願いいたします。

    Commented : #2  gihyo.jp編集部 (2009/09/14, 22:44)

  • "TypePad"

    すみません、"Typad" ではなく "TypePad" ですので、訂正頂ければ幸いです。

    http://www.typepad.jp/

    Commented : #1  太鉄 (2009/09/14, 20:23)

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