レポート

Linus氏の盟友Jim Zemlin氏,10月開催「Japan Linux Symposium」の見どころを語る

この記事を読むのに必要な時間:およそ 1.5 分

10月21~22日に開催予定の「Japan Linux Symposium」に先立ち,Linux FoundationのExecutive DirectorであるJim Zemlin氏が来日,その意義と見どころを語った。

Jim Zemlin氏

Jim Zemlin氏

日本での開催には大きな意味がある

Linux Symposiumは2001年から9年間にわたって行われていますが,今回初めて日本で開催されることを非常にエキサイティングに感じています。アジア,日本では組込み,モバイル,そしてコンシューマエレクトロニクスという巨大で成長しつづける産業をもち,その分野でLinuxが活用されているからです。

2009年9月21~23日には米ポートランドでLinuxConというこのイベントの前哨戦とも言えるイベントが開かれます。今回のシンポジウムはLinuxConの結果も反映したものになると思います。

Linusはどうやって「今のLinux」を作り上げたのか?

今回「Linux; その歴史,開発の仕組み,オープン・イノベーションにおける意味」と題して,私とLinus Torvaldsがキーノートを行います。LinusはLinuxカーネルに何を取り入れるかについて最終決定を下す人物ですが,今回のシンポジウムではそうしたプロセスを含めてLinusがどんな仕事をしているのか,みなさんに説明できたらと思っています。

今やLinuxはあらゆる産業分野に利用されていて,組込み機器からデスクトップ,ハイパフォーマンスコンピューティングまで浸透しています。Linuxを今,ゼロから書き上げたらどのくらいのコストがかかるかを計算してみました。現在のプログラムの1行あたりの標準的なコストを元に計算すると,108億ドル(約1兆円近く)になります。1991年にLinus Torvaldsがたった一人で始めたプロジェクトが,今やこれだけの価値をもつものとなったのです。

そこで明らかにしたいのが⁠How did he create this?⁠つまり,LinusはどのようにしてLinuxを育て,コミュニティの人たちをマネジメントしてきたのか? そして,Linusはこれだけの開発スピードを維持するために,どのようなことを学んだのか? そのことを日本の開発者にもぜひ共有できるようになってほしいと思っています。また,このように18年前にたった一人ではじめたプロジェクトが,これだけの規模,価値を得るほどになったという例が,他の産業分野,業界でもあるのかどうか? それについても議論してみたいですね。

『Wikinomics』の著者の一人,Anthony D. Williamsを今回のJapan Linux Symposiumの基調講演に招いたのも,そうした観点から話してほしかったからです。彼らは著書の中で,オープンソースのプロジェクトを成功させるのと同じ手法で広がった産業の例について言及しています。鉱山,一般的な製造業などの分野にも成功例があることを示してくれるでしょう。

Linus氏が1991年に当時のminixニュースグループに出した「伝説のメッセージ」-Linuxカーネルの開発を明かした文面を引用しつつ説明。

Linus氏が1991年に当時のminixニュースグループに出した「伝説のメッセージ」-Linuxカーネルの開発を明かした文面を引用しつつ説明。

Linux成長の秘密に触れ,体感してほしい

Linuxカーネルの開発者は1,000人ほどいて,それぞれ200もの企業でフルタイムで働いています。Linusは彼ら開発者の中心にいて,この人数と組織がうまく機能するように

いまや数百の企業がLinuxを上手く使うために,法的な,開発の仕組み構築しています。こうした事例もシンポジウムで紹介したいですね。

昨年1年間で270万行がLinuxのソースコードに追加されました。毎日1万行近いコードが書かれていることになります。これとは別に,すでに書かれたコードを見直して,書き直す作業も1日数千行のオーダーで進んでいるのです。このうち90%の開発は,どこかの企業に雇用された技術者が行っており,趣味などと言えるものではありません。一人だけ,専任で開発を行っている人がいます。もちろんLinus Torvaldsその人ですが(笑)⁠

Linuxをベースにした企業活動による経済効果は,今や年間500億ドル(約5兆円)に上っています。現在世界中が大きな不景気の状況にありますが,Linuxはうまく成長を続けています。なぜうまく行っているのか? それは,これだけの数のグループ,人々がうまく働いているからに他なりません。これだけの人数が関わっているのには,もちろんいろいろな理由がありますが,いまLinuxに携わっていなければ,今後この業界で競合していくことができないと思っている人が多いのではないかと思います。

これもアジアで開かれるのは初めてなのですが,今回の「Japan Linux Symposium」に合わせて,全世界から100人以上のカーネル開発者が一同に会する「Kernel Summit」も開催されます。アジアのカーネル開発者も多数参加します。Linuxのコアな開発者に会えて,話ができるいい機会です。Linusも参加します。会って話ができるかもしれない。ぜひ参加してください。

Japan Linux Symposium
URL:http://events.linuxfoundation.jp/events/japan-linux-symposium

コメント

コメントの記入