レポート

第2回 組込みプレスセミナーレポート

この記事を読むのに必要な時間:およそ 6.5 分

最新組込みプラットフォームのすべて

第2回組込みプレスセミナーは、⁠最新組込みプラットフォームのすべて」と題したトークセッションから始まりました。

画像

IT技術ジャーナリストである風穴江氏をモデレータに迎え、4人の参加者がそれぞれのプラットフォームに対する熱い想いを語ります。

IT技術ジャーナリスト 風穴江氏

それぞれのプラットフォーム代表者がバックグラウンドを披露

トークセッションは、パネリストとして参加した4名の自己紹介から始まりました。T-Kernel代表として出席したイーソル エンベデッドプロダクツ事業部 マーケティング部 部長の金子健氏は、⁠現在はマーケティング活動に従事しているが、以前は技術者でOSの移植などを行っていました」とのこと。1985年からUNIXの開発に携わり、⁠現在はLinuxを中心に組込みに携わっているほか、組込み用の仮想化もやっています」と語るアックス 代表取締役社長の竹岡尚三氏は、Linux陣営の代表としての出席です。

左:イーソル エンベデッドプロダクツ事業部
マーケティング部 部長 金子健氏
右:アックス 代表取締役社長 竹岡尚三氏

イーソル エンベデッドプロダクツ事業部 マーケティング部 部長 金子健氏 アックス 代表取締役社長 竹岡尚三氏

「Androidがおもしろい」と話すのは、OESF(Open Enbedded Software Foundation)代表理事である三浦雅孝氏。⁠Android上で実際にJavaで開発したらおもしろかったので、どうせやるならデカいことをやろう」とOESFを立ち上げたというエピソードを語って頂きました。マイクロソフト OEM統括本部 OEMエンベデッド本部 シニアマーケティングマネージャの松岡正人氏は、もちろんWindows Embedded代表。⁠OSが組込みで主流になる前に、プリンタのファームウェアからPOSのアプリケーションまでいろいろなものを開発していました」とのこと。

左:OESF代表理事 三浦雅孝氏
右:マイクロソフト OEM統括本部 OEMエンベデッド本部
シニアマーケティングマネージャ 松岡正人氏

OESF代表理事 三浦雅孝氏 アックス 代表取締役社長 竹岡尚三氏

Linuxは幅広く“普通に”使われている

その後風穴氏より、組込みデバイスを取り巻く現状について解説がありました。その中でWiMAXの人口カバー率の向上や100Mbps以上の下り方向の帯域幅が実現されるLTEについて触れ、さまざまな組込みデバイスがネットワークに接続されるようになるのではないかと語ります。また、多様化するニーズに応えるため、デバイスが細分化していることを指摘し、それを支えるのはプラットフォームを含めたソフトウェアのテクノロジーであると述べました。

その後、各プラットフォームの最新動向の紹介が続きます。組込み用途向けWindowsプラットフォームについては、松岡氏が10月2日にWindows CE 6.0 R3を発表したことを説明、さらにPC向けのOSをベースとしたWindows Embedded Standardに関しても、2010年の上半期にWindows 7をベースとしたものが提供予定であることも明かされます。

T-Kernelについては、T-Kernel/Standard Extensionと呼ばれる拡張機能が登場し、プロセスモデルやメモリ保護といった機能が使えるようになったことで大規模開発の負荷を軽減できるようになったと金子氏が語ります。さらにイーソルにおいて、POSIX仕様準拠のT-Kernelを独自に開発していることなどの説明がありました。

Linuxをベースに、携帯電話のOSとして利用するために必要な機能が拡張されているAndroidは、現在最新の開発ブランチとしてCupcake、そしてDonutが公開されています。三浦氏によれば、開発ブランチの名称の1文字目はアルファベット順に進み、さらにお菓子系の名前になっているとのことで、Donutの次はE-cleaになるとのこと。また、OESFで進められている、情報家電や車載機器のための機能をAndroidに追加・修正を行い、その成果を「OESF Embedded Master」として公開する取り組みにおいて、最初のバージョン「BlueberryCupcake」を2010年2月に公開することが紹介されました。

Linuxについては、ブルーレイプレーヤーや地上波デジタルテレビなど、幅広く⁠普通に⁠使われていると竹岡氏は話します。OpenGLやOpenCLの最新版がいち早く提供されるなど、最新のテクノロジーが使いやすいこともメリットとのこと。以前は組込み用途でLinuxを使うべきか否かが議論されることもありましたが、今では組込み用OSとして広く浸透していて、すでにそういう段階ではなくなったということでした。

エンジニアの目線とビジネスの目線の両方が必要

最後に「これからのキーワードは?」という風穴氏の問いかけに、パネリストの皆さんが答えていきます。金子氏は挙げたのは「カーエレクトロニクス」「グリーン」⁠そしてマルチコアやマルチタスクといった「マルチ」の3つです。特にカーエレクトロニクスについては、ハイブリッドカーや電気自動車への移行により大いに注目が集まるのではないかと述べられました。

竹岡氏は「仮想化」を挙げます。仮想化によって複数のOSを立ち上げ、いずれかのOSが落ちても、もう一方のOSで作業を継続するなど、安心や安全につながる技術として注目されているとのことでした。

「標準化と差別化。2つを間違えないでほしい」と語るのは三浦氏です。標準化や差別化を自分たちだけで全部やってしまい、最後はガラパゴス諸島で死んでいくオオトカゲのようになってはいけないと警鐘を鳴らします。

松岡氏はマイクロソフトが提供しているのは部品であると語り、その部品が使えるかどうかの判断をする際に、基準とするべきものは標準化されたものであるかどうかだと語ります。さらに部品(プラットフォーム)の選択において、エンジニアの目線とビジネスの目線の両方が必要だという見解を示し、エンジニアの目線だけで判断すると誤る可能性があると述べられました。

松岡氏の話を受け、最後に風穴氏が「ビジネスとテクノロジーは両方うまく動かないと大きな成功はない」とまとめ、大いに盛り上がったトークセッションはここで終了となりました。

コメント

コメントの記入