レポート

私的勉強会 解析しないと!開催

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2009年12月4日,Web Site Expertにて連載「Web解析のチカラ」を執筆中の安西敬介氏による私的勉強会「解析しないと!」が,株式会社ECナビオフィス内「Ajito」にて開催された。

株式会社ECナビ内にあるミーティングスペース「Ajito」の入口。現在,社内会議の他,こうした外部向けの勉強会で使われることもあるそうだ。

株式会社ECナビ内にあるミーティングスペース「Ajito」の入口。現在,社内会議の他,こうした外部向けの勉強会で使われることもあるそうだ。

きっかけはTwitterのつぶやきから

本勉強会開催のきっかけは,安西氏によるTwitter上でのつぶやきが発端となっている。そこで,つぶやいたところ他のフォロワーから多数のReplyがつき,今回の開催に至った。

こういった経緯もあり,当日はハッシュタグとして「#ankwa01」が設定され,安西氏自身から「ぜひ本勉強会の内容をTwitterで中継してください」というお願いもなされた。また,参加者にはブログでの感想エントリのアップや,安西氏のブログへのコメントアップも推奨され,Twitterを中心に参加者全員が作り上げていくスタイルの勉強会だった。

第一部「解析しないと!」

第一部は,⁠解析しないと!」のタイトルのとおり,Web解析に関して安西氏自身の経験をもとに,知っておくべき知識や情報,また,実践的な話題について説明された。発表の内容は,大きく次の3つの構成となっていた。

  • What is KPI?
  • サイトの課題は何か?
  • キャンペーンの組み立て方

勉強会を主催した安西敬介氏。Twitterアカウントは@ank

勉強会を主催した安西敬介氏。Twitterアカウントは@ank

What is KPI?

まずはじめに,Web解析にとって重要な指標の1つとなる「KPI(Key Performance Indicator)⁠をテーマに,KPIの意味,そして作り方について解説された。安西氏は「KPIは,サイトを目標に近づけるために定点観測をするための指標」と定義した一方で,Dennis R. Mortensen氏の「KPIは指標であっても,指標は必ずしもKPIではない」という,サイト戦略を行ううえで担当者が持っておくべき意識を強く述べた。

さらに,KPIを作るにあたって重要な要素としてKBR(Key Business Requirement)について説明を加えた。KBRとは,まだあまり馴染みのない言葉ではあるが,すでにマーケティングを行っている分野では広く知れ渡っている用語で,⁠KBRの設定はサイト戦略の鏡」⁠安西氏)と説明があったように,サイト戦略において必要な要求要素のことを意味する。

これらの関係について,図とともに解説した他,実際に例題とともにケーススタディを紹介し,参加者の理解促進をサポートする丁寧な解説が行われた。

サイトの課題は何か?

KPIおよびKBRの説明が行われた後,さらに踏み込んで「サイトの課題は何か?」というテーマに沿った内容が解説された。ここでは,⁠サイト戦略を練るには課題を正確に認識しておくことが大切」という前提のもと,Webサイトを「流入」⁠内部」の2つに分類し,それぞれにおいて課題を絞り込むという考え方について,先ほどと同じく図解および例題によるケーススタディが行われた。

ケーススタディでは具体的な数字が用いられ,Web担当者にとってはイメージしやすい説明のされ方が行われていたのが印象的だった。

キャンペーンの組み立て方

最後にキャンペーンの組み立て方というテーマに沿って,これまで2つのテーマを実践に落とし込む内容が解説された。ここでは,いきなりケーススタディが行われ,あるサイトの前提数値と目標を元に,細かな数字の作り方,予算組みの仕方といったかなり実践的な内容で説明が行われた。予算組みに関しては,安西氏自身の前職でもある企業Web担当者時代を振り返り,当時の上司に言われた「キャンペーンの予算を決めるときには緻密などんぶり勘定が必要」⁠ という,ちょっと哲学的でもあり,その実,かなり的をいた一文が引用され,来場者の多くが同意していた。

以上,約1時間という短い時間の中,非常に濃い内容の発表が行われた。なお,当日の発表資料については,安西氏のブログからダウンロードできる。

第二部「テストしないと」

第二部では,森田恭平氏がWeb運用における「テスト」をテーマにプレゼンテーションを行った。

第二部では,森田恭平氏がWeb運用における「テスト」をテーマにプレゼンテーションを行った。

続いての第二部では,森田恭平氏が「テストしないと」というテーマで,Web戦略におけるPDCA,その中でのテストにフォーカスしたプレゼンテーションの発表を行った。

冒頭で「テストを行うにあたって重要なのは,セグメント別に結果を見ること」と語る森田氏。これは「アクセスユーザの属性に対して強く意識すること」がとても重要であることを意味しており,単に数字を取るだけではテストが行えないことへの注意喚起とも言えるだろう。加えて,多くのWeb担当者が抱えている「何をテストすればよいのか?」という問題については,

  • ボトルネックを解消する
  • ポテンシャルを延ばす
  • 王道を整備する

という3つのシンプルなポイントを列挙し,これらに沿ってテストを始めていくことを勧めた。

さらに「テスト設計にあたって:5つの基礎的切り口」というプレゼンテーション資料とともに,より具体的なテスト実践方法の押さえどころが紹介された。この5つの切り口とは,

  • クリエイティブ
  • チャネル
  • オファー(ユーザのメリット)
  • タイミング
  • セグメント

という要素で,これらを明確に定義しておくことで正確なテストが行えるだけではなく,テストそのものの価値が上がると森田氏は述べた。

その他,レイアウトテストのケーススタディによる解説,また,巷で噂になっている都市伝説的な仮説と実際など,ただ必要なスキルを解説するだけではなく,聴講者にとって聞きやすい構成のプレゼンテーションが行われた。

勉強会後の懇親会

2つの講義の後は,スピーカーおよびECナビ社員,そして来場者を含めた懇親会が行われ,勉強会の幕を閉じた。

著者プロフィール

馮富久(ふぉんとみひさ)

株式会社技術評論社クロスメディア事業室室長。

1975年生まれ。横浜市出身。1999年4月株式会社技術評論社に入社。入社後から『Software Design』編集部に配属され,2004年1月に編集長へ就任。同2004年9月に『Web Site Expert』を立ち上げ,同誌編集長に就任,現在に至る。その後,2008年9月に設立したクロスメディア事業部(現クロスメディア事業室)に配属。現在,社外活動として電子書籍を考える出版社の会の代表幹事やWebSig 24/7のモデレーター,TechLIONプロデューサーなども務める。過去にIPAオープンソースデータベースワーキンググループ委員やアックゼロヨン・アワード他各賞審査員などの経験を持つ。

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