レポート

パソナテックセミナー インフラエンジニアDay[その2:Bトラックセッション]

この記事を読むのに必要な時間:およそ 2 分

クラウド時代のためのインフラを知る マインドセットとスキルセット

続いてのセッションは,gihyo.jpの連載でもおなじみの⁠株⁠ゼロスタートコミュニケーションズ 代表取締役社長 山崎徳之氏の講演。冒頭から「クラウド vs. エンジニア」という挑発的なスライドを掲げ,クラウドコンピューティングの広がりにエンジニアはどう対応してくべきかというテーマについて,独自のエンジニア論を展開しました。

株式会社ゼロスタートコミュニケーションズ 代表取締役社長 山崎徳之氏

株式会社ゼロスタートコミュニケーションズ 代表取締役社長 山崎徳之氏

まずクラウドの定義については,ビジネス目線とエンジニア目線でまったく違ってくると指摘。日曜日のゴールデンタイムに人気俳優に「クラウド」と言わせるTVCMが流れていることを例に取り「マーケティングの⁠格好つけ⁠の材料になっている」と断じます。とはいえ,そうやってビジネス的に注目されることで,エンジニアにも新たな仕事の可能性も出てくると説きました。

では具体的にビジネス目線からの需要はあるのかといえば,たしかに存在します。山崎氏が例として挙げたのはMixiやモバゲーなどで人気を博しているソーシャルアプリケーションです。ひとたび人気に火がつけば桁違いのアクセスに見舞われ,これに応じたレスポンスを返さないとMixiなどの事業者から一定期間ユーザの獲得停止といったペナルティを受け,大きな損失につながります。このように,時間限定で負荷が大きく片寄るようなケースではクラウドを導入するメリットがあると山崎氏は言います。

もう1つ大きな需要として,大規模なバッチ処理が挙げられます。たとえば,Hadoopのような分散データ処理システムを使うと,限られたリソースで1年以上かかるような処理が数時間でできるようになったという例も散見されるようになりました。

一方ROI(あるいは費用対効果)はどうなのかといえば,これはクラウドを提供する側と利用する側で違ってきます。利用者側から見ると,上記のようなケースをはじめ,たしかにROIが良い場合は存在しますが程度問題で,昨今話題の「クラウド破産」のように,個人でもシステムに大きな負荷をかけ,一瞬にして巨額の支払いが発生してしまうケースもあります。

また提供側にとっては大規模な投資が必要なだけにリスクが大きいと言えます。ただ,これまでコンピュータリソースを提供する商売を行ってきた業者にとっては,クラウドサービスを用意しなければビジネスチャンスを逃がし,AmazonやGoogleに顧客を取られかねません。とはいえ,利用者の母数も重要で,大規模,広範囲の地域で展開するほど,時間別の利用率にバラツキができ平準化されるため,クラウドシステム全体の稼働率が上がることになるのです。

画像

これらをふまえ,クラウドを盲信するような上司にエンジニアはどう対抗すべきなのか,どのようにクラウドと取り組んでいくのかについて,山崎氏はIaaS(ハードウェア/仮想環境基盤提供)に限った話として,クラウドを100%取り入れるのではなく,インフラの部品として考えることを提言します。

たとえば,RDBをそのままクラウドに乗せるのはパフォーマンス的に不利といわれています。画像配信システム等ではDBのみ単一サーバとし,トラフィックの負荷のかかる配信部分のみクラウド化するといった部分的な利用で効率の良いサービスを提供できているところがあります。アプリケーションとDBを分けるとかえって負荷が上がるようなケースでは,DB部分をHadoopのような分散システムに移行してクラウドに対応させるという工夫が必要になります。このように,サービスの特性をふまえたクラウドの利用法を考えることになります。

これはインフラエンジニアにとってチャンスである,と山崎氏は言います。クラウドの導入により,従来プログラマが担っていたアプリケーションのパフォーマンス改善にインフラが関わらざるを得なくなるためです。こうしてクラウド時代にはプログラマとインフラエンジニアが近づき,両者の素養をもつエンジニアでなければシステムを組むことができなくなると山崎氏は力説します。

そして,山崎氏はクラウド時代のエンジニアに求められる素養をいくつか挙げました。まずクラウドの特性を知ること。ベンチマークが最重要で,つねにベンチマークをとることでシステムの特性を掴み,クラウドを盲信的に肯定も否定もしない点を強調しました。また「クラウドのハードウェアをイメージする」のも重要とのこと。ストレージがどうなっているか,データがどのように分散しているのか,仮想マシンの状態などを常に把握することも大事です。そして常にクラウドを使わない場合との比較を意識し続けることも重要です。これにより,クラウドと非クラウドを適材適所で使い分けることができれば,非常に効率の良いシステムを作ることができます。

これらをまとめてエンジニアに求められるものは「メリットとデメリットを⁠定量的に⁠評価できること」だと山崎氏は続け,そのための情報収集を怠らないことがクラウド時代を生き抜くことにつながると結びました。

コメント

コメントの記入