ビジネスドリブンのWeb戦略について考える~ソーシャル時代に適応したコンテンツ管理と運用~ レポート

2010年5月12日、日本オラクル株式会社オラクル青山センターにおいて「ビジネスドリブンのWeb戦略について考える~ソーシャル時代に適応したコンテンツ管理と運用~」と題したセミナーが開催されました。ここでは、その中から、Oracle Universal Content Management(以下、Oracle UCM)の導入事例として、ブラザー工業株式会社のコーポレートサイトリニューアルおよび運用、そしてOracle ECMソリューションの紹介セッションについてレポートします。

ソーシャル時代に適応したコンテンツ管理と運用~
ビジネスドリブンのWeb戦略について考える~
http://gihyo.jp/event/2010/ucm
会場には、多数の聴講者が集まった
会場には、多数の聴講者が集まった

アクセスを増やすWeb運営 ブラザーでの実践

柴田直子氏(ブラザー工業株式会社CSR・ブランド戦略推進部 ブランド戦略グループチームマネージャー)
柴田直子氏(ブラザー工業株式会社CSR・ブランド戦略推進部 ブランド戦略グループチームマネージャー)

統一されたブランド戦略の実現

ブラザー工業のWebサイトは元々ブラザー販売とブラザー工業と別々に運営されていました。2005年にガイドラインの策定を行い、2006年にブラザー工業のサイトを全面リニューアル、同10月にCMS(Oracle UCM)が導入されました。そして、2007年4月に統合し、1つのサイトとして新たに生まれ変わったのです。

「ブラザー工業では、本社CSR/ブランド戦略推進部中心にWeb事務局となり、日本、中国、アジアパシフィック、欧州、米州など各リージョンのWebブランド戦略を進めています。このように本社からの戦略を一貫して行うべく、日本でサイトリニューアルが実施されました」と語るのは、ブラザー工業株式会社CSR・ブランド戦略推進部 ブランド戦略グループ チームマネージャー柴田直子氏です。

さらに「最近のマーケティングは、顧客主導のものとなってきています。こうした状況に対応するためにもWebサイトの整備は重要です。とくにお客様にとっては、⁠Webサイトは)無視できないメディアに成長してきており、今後デジタルネイティブの台頭がさらに進めば、この動きはさらに加速することが予測されます。

一方で、社内に目を向けてみると、まだまだ企業に(Webに関する)ノウハウが確立していなく、マーケティング、ITシステム、チャネル戦略などのさまざまな視点の違い、また社員のネット活用やリテラシーのばらつきといった課題が浮かんできます。これらを解決するための考え方として⁠統合的視点⁠を持つことが挙げられます」と、サイトリニューアル時の目的と課題、その解決策について説明しました。

見えてきた課題とブラザーでの実践

では、実際にどのように取り組んでいるのでしょうか。2007年4月よりブラザー工業の製品サイト運営がブラザー販売に変更した事と同時に立ち上がった柴田氏が所属するブラザー販売のWebガバナンスが先頭を切って、次の3点を押さえながら成功へと導いています。

  • ① 社内啓蒙・意識合わせ
  • ② CFT(Cross Functional Team)的組織・役割分担の明確化
  • ③ アクセスログ計測によるPDCAサイクルの確立

①については、たとえば、経営層に向けては定期的にWeb活動報告の場を作り、Webへの意識を高めてもらうように取り組んでいます。また、現場の担当者には、きちんと各業務のゴールとWeb活用との関係を意識させることを推し進めているそうです。

②は、同社に限らず、大きな組織になればなるほど実現するのが難しいポイントです。同社では、それぞれの部門に「Webキーマン」となる人材を確保し、その人物とWebガバナンス部門との間で連携を取ることで、CFT的組織を実現することに成功しました。

最後の③は、コーポレートサイトを運営するための基本かつ最重要課題です。この点について柴田氏は「宣伝やマーケティング、商品企画など各部門できちんとWeb KPIを設定し、数字と向き合いながら日々サイクルを回しています。何より、顧客視点でのWeb品質の維持・改善を忘れずに行っています」と、同社の取り組み方について述べました。

そして①~③を実現していくうえで、Webガバナンスチームの存在とともに大きな枠割りを果たしたのが、CMS(Oracle UCM)の導入でした。

グローバルWebガバナンスへのアプローチ

ブラザー工業のCSR・ブランド戦略推進部およびWeb事務局では、日本国内だけではなく、グローバルにおけるコーポレートブランドイメージの確立、グローバルでのWeb活用推進についても取り組んでいます。これは、グローバル企業ならではの取り組みで、国や地域、製品によって異なる企業イメージを持たれないよう、ブランドエレメンツの確立やロゴ、デザインの整備を行うとともに、どの国のサイトにアクセスしても同等のWeb品質を提供できるようにしているとのことです。

Oracle UCMは、こうしたグローバルでのブランド統一を実現する最適なCMSソリューションだと言えるでしょう。

王道なし。奇をてらわず真摯でまめな更新を

最後のまとめとして、柴田氏はこうコメントしています。

「Webはツールであり、目的ではありません。大事なのはビジネスゴール。そのためのビジネス戦略があったうえで、そこで何をやるかを考えたときにWebを選択してから、初めてWebで取り組むべきことを考えるのが大切です。Webというのは立ち上げは簡単ですが、維持していくことが難しいツールでもあります。この点をふまえ、主役となる顧客にどのように伝えていくか、これがコーポレートサイトが取り組むべき課題ではないでしょうか」と、自身のこれまでの経験とWebに対するスタンスを述べ、プレゼンテーションを終えました。

お客様の「?」を解決できるWebサイトで見込客をファンへ変える
~CMSを超えたコンテンツ&ナレッジ管理を実現するオラクルECMソリューションのご紹介~

浅見顕祐氏(日本オラクル株式会社 Fusion Middleware 事業統轄本部 ECMセールスコンサルティング部)
浅見顕祐氏(日本オラクル株式会社 Fusion Middleware 事業統轄本部 ECMセールスコンサルティング部)

オラクルECMソリューションでできること

オラクルECMソリューションの紹介セッションでは、日本オラクル株式会社 Fusion Middleware 事業統轄本部 ECMセールスコンサルティング部浅見顕祐氏より、オラクルECMソリューションおよびOracle UCMの特長や強みについて紹介されました。

Oracle UCMの一番の強みは、CMS(Webコンテンツ管理)ではなく、CMS機能も含んだECM(企業コンテンツ管理)である点です。多くの企業では、WebコンテンツはCMSで、文書や図面はファイルサーバーで、そして画像・動画・CADデータなどはDAM(デジタル資産管理)で、といった形で分散管理をしており、業務効率・コストおよびセキュリティの面で問題をかかえています。

旧来のCMSでのサイト運用
旧来のCMSでのサイト運用
Oracle UCMによるサイト運用
Oracle UCMによるサイト運用

ECMで運用するメリットの具体例として、

  • Word投稿によるWebサイト運用
  • 画像と動画の自動変換
  • ブラウザベースによるコンテンツ編集と画像選択

などについて、デモンストレーションとともに解説が行われました。とくに動画の自動変換とWeb配信に関しては、これからのコーポレートサイトに求められるコンテンツのリッチ化、運用コストの軽減という2点からも非常に有用な手段として考えられます。

また、その他の強みとして、同社の基幹技術でもあるオラクルデータベースを軸とした強力なアーキテクチャを採用している点、ミドルウェアとしての利用が可能なためカスタマイズの柔軟性が高く、顧客固有の要件に対しても対応できる点の2つが説明されました。

Oracle UCMの利用イメージ
Oracle UCMの利用イメージ

「Oracle ECMソリューションであれば、より多くの情報コンテンツを効率よくWebで公開することができ、⁠ほしい情報をほしいときに』を実現した企業サイトを提供できます。その結果がコンバージョンレートの向上へとつながります。Oracle ECMソリューションは、お客様の「?(クエスチョン)を解決するための最適な解決手法を提供するプラットフォームです」⁠浅見氏⁠⁠。

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