レポート

インフラエンジニアDAY大阪レポート~既存ホスティングとクラウドの融合

この記事を読むのに必要な時間:およそ 4 分

クラウドで切り開かれるインフラエンジニアの未来

続くセッションでは,⁠クラウドで切り開かれるインフラエンジニアの未来」と題した,さくらインターネット株式会社 田中邦裕氏の講演では,変化するインフラエンジニアの周辺環境と「求められるエンジニア」になるために必要な素養について語られました。

さくらインターネット株式会社 田中邦裕氏

田中邦裕氏

田中氏もインフラにはスケールメリットが必要だとし,その上で有用な手段の一つとしてクラウドに触れました。

クラウドの概念に仮想化という手段が加わったことで,共通のインフラが複数の利用者に分割して提供されるマルチテナント化に拍車がかかり,低コストで質の高いインフラが提供されるというスケールメリットは益々高まっています。

提供されるリソースの単位当たりコストが低くなりつつも利用者のバジェットが同一であれば,クラウドによってIT業界はさらに広がりを見せるのではと予想されます。

「クラウドの本質は(自社で持たずに)事業者のリソースを借りること」と語る田中氏の言葉通り,今日ではハードウェア,ソフトウェア,運用保守に至るまで全てを事業者に委ねられるようになってきました。

これを象徴するように,2009年まで一様に成長してきたIT業界で起こった変化としてサーバ販売数の減少が挙げられます。クラウドの台頭により,⁠所有」から「利用」へシフトしてきたのです。

こうした背景を経て,インフラエンジニアに求められるものは「幅広い知識」であると田中氏は述べます。

これまでのエンジニアは,ファシリティ,ハードウェア,OS,ミドルウェア,アプリケーショそれぞれサービス化していた。各レイヤー事に担うべき領域が「水平分業」されていたため,エンジニアのスキル範囲も比較的狭くても一連の流れが成立していました。

しかし,今後クラウドになると,全レイヤーが1つの単位としてサービスが提供されるように変わり「垂直統合」の時代になるという。

GoogleやOracleをはじめとした垂直統合型の企業が増えつつあるクラウド時代のエンジニアにおいては,自らの専門領域に加えてサービス開発・提供に関する全てのレイヤーの幅広い知識も求められ始めています。

専門分野としてしっかりと抑え,他のレイヤーもしっかりと理解をしないと垂直統合時代には生き残れないという。

また,今後はプロダクトを販売するのではなく,サービスを提供するという時代に変わる中,物を見せない,サービスとして見せるという「エンジニアのマインド」が必要になるという。

そこには,新しいことに対してハードルを決めず,好奇心を持って,そして実現できるという意識を持って欲しいというメッセージがありました。

クラウド時代のためのインフラを知る マインドセットとスキルセット クラウドVS.エンジニア

3つ目のセッションでは「クラウド時代のためのインフラを知る マインドセットとスキルセット クラウドVS.エンジニア」と題し,株式会社ゼロスタートコミュニケーションズの山崎徳之氏の講演。クラウド時代を担うインフラエンジニアが持つべきスキルセットについて同時のエンジニア論を展開しました。

株式会社ゼロスタートコミュニケーションズ 山崎徳之氏

山崎徳之氏

クラウドは提供者,利用者ごとに意味が異なるとして指摘。特にエンジニアにとっては「仮想化」⁠IaaS」⁠PaaS」⁠SaaS」⁠分散アプリケーション」など様々な意味を内包するだけに,クラウドというフレーズがその文脈で何を意味しているのかに注意を払わなければいけません。

多くの側面を持つクラウドですが,単に言葉だけが先行しているバズワードではなく,ビジネスの目線でも需要があるものだと山崎氏は言います。

例えば,繁閑の浮き沈みが大きいソーシャルアプリや期間的に需要が上がるキャンペーン,バッチ処理,開発テスト・検証のように負荷の時間的偏りが大きいものついては最大時に合わせてスケールする従来のシステムよりもクラウドの方がROIに見合った運用ができると考えられます。

クラウド利用に際してエンジニアにとって大切なことは,クラウドをインフラ部品の一部として捉え,必要な部分だけを見極めて適切な導入ができる目利きです。

クラウドの利用によって変わる部分をイメージしながらも,⁠クラウドを使わなかったらどうなるのだろう」という視点は常に持っていなければいけません。

こうした目利きや視点を持つためにエンジニアは,インフラとアプリケーションの連携を意識する必要があります。今までであれば,インフラエンジニアとプログラマは分業されており,それぞれの担当する領域について理解していれば良かったという状況が,これからは双方の領域をクロスできることがマストな条件になってきました。

さらに,クラウド時代のエンジニアに欠かせないスキルとして,ハードウェアのベンチマークが挙げられます。

ソーシャルによって発生するトラフィックが激増し,ハードウェアの成長・低価格化を追いこしてしまった昨今,ハードウェアのリソースをベンチマークし,把握できる能力が求められています。

踏み込む領域が広がったインフラエンジニアですが,一方でクラウド自体は既存のテクノロジーの延長にあるもので,革新的な技術よりもむしろ発想の方に意識を向けるべきとする山崎氏。加えて,新しい技術,新しいプレーヤーが次々と登場している今に対応するために「メリットとデメリットを定量的に評価できる力」⁠情報収集力」がクラウド時代に求められるエンジニアのスキルセットであると締めくくりました。

コメント

コメントの記入