「新世代UI/UXを実践!OpenSocialとGadget Server」セミナーレポート

2010年9月7日、FatWire株式会社は「新世代UI/UXを実践!OpenSocialとGadget Server」と題したセミナーを行いました。オープン化が進む「ガジェット」をエンタープライズでどう利用するかという点を軸に展開された、3つのセッションの模様をレポートします。

セッション1 WebAPI標準のOpenSocialの現状と今後

「新世代UI/UXを実践!OpenSocialとGadget Server」セミナーは、なかじまんソフトウェア株式会社 代表取締役である中嶋信博氏による「WebAPI標準のOpenSocialの現状と今後」と題したセッションで幕を開けます。

なかじまんソフトウェア株式会社
代表取締役 中嶋信博氏
なかじまんソフトウェア株式会社 代表取締役 中嶋信博氏

まず中嶋氏は、OpenSocialガジェットとはWebサイトに組込み可能な小さなWebアプリケーションであると解説、その記述方法や配信方法はOpenSocial仕様として標準化されていると説明を続けます。

OpenSocialガジェットでは、XMLで記述してHTMLやCSS、JavaScriptを使って制作し、専用のサーバソフトウェアでXMLをHTMLに変換して配信するという内容が標準化されています。これにより、⁠開発者は多くの人にガジェットを利用してもらうことが可能になり、ユーザから見ると多くのガジェットを自由に利用できる」と、標準化のメリットに触れます。

その具体例として紹介されたのが、Googleが提供する「iGoogle」です。iGoogleでは自由にガジェットを登録することが可能で、さらにニュースサイトや証券会社など、さまざまな企業がガジェットを通じて情報提供を行っています。このようにOpenSocialガジェットが標準化されていることにより、⁠サードパーティやASP(Application Service Provider)との連係が可能になり、Web上に混在するコンテンツやサービスを自分のパーソナルスペースの一部としてまとめられる(中嶋氏⁠⁠」というメリットが実現されていると言います。

さらに、中嶋氏はOpenSocial標準について、⁠誰でもメリットを享受できるエコシステム」であると強調しました。Webサイト運営者から見ると、標準技術を使って開発されたガジェットを利用することでシステムの柔軟性を高められるほか、サードパーティのガジェットを利用することも可能になります。さらに開発者は幅広いプラットフォーム(Webサイト)で利用できるガジェットを開発可能、そしてユーザは自分の好みのWebサイトでガジェットを利用できます。このように標準化されたガジェットを通じ、Webサイト運営者とガジェットの開発者、ユーザの三者が良好な関係を築けるエコシステムになっているというわけです。

最後に、ソーシャルウェブの分野におけるコンシューマ同士のコミュニケーションの拡大やそれをビジネスに取り込もうとする動き、Web技術の進歩、そしてエンタープライズ分野への適用などが「OpenSocialのエコシステムのさらなる拡大につながる」と指摘します。そして、⁠OpenSocialは幅広い分野でWebAPIとしての役割が期待されている」と述べ、セッションを締めくくりました。

セッション2 Gadgetで実現する新世代UI/UX

続けて、FatWire株式会社の営業部ディレクターである佐藤高生氏による「Gadgetで実現する新世代UI/UX」と題したセッションが行われました。

FatWire株式会社
営業部ディレクター 佐藤高生氏
FatWire株式会社 営業部ディレクター 佐藤高生氏

佐藤氏はまず、ガジェットの4つの利用形態を説明します。1つ目はWindows上などで利用されるデスクトップガジェット、2つ目には既存サイトへのガジェットの埋め込みを挙げます。これを進化させた3つ目の形態ではガジェットをコンテナ化し、外部サイトにガジェットを提供します。4つ目は自社サイトをガジェットのコンテナサイトにしてしまうというもので、OpenSocial仕様に即したガジェットを取り込めるものと説明します。

その上で佐藤氏は、⁠FatWire Content Server」が1つ目から3つ目までの利用形態をサポートした製品であるとし、デスクトップや既存のWebサイト、あるいはiGoogleのようなOpenSocialに対応したコンテナサイトへガジェットを配信できると説明します。さらにFatWire Content Serverを使って配信されているWebサイトは、ガジェットを「Pagelet(ページを構成する部品⁠⁠」としてマッシュアップ可能であり、コンテンツをガジェットとしてWebサイト上に組込めることが紹介されました。

そして4つ目、自社サイトをガジェットのコンテナサイトにするという利用形態をサポートする製品として、佐藤氏から紹介されたのが「FatWire Gadget Server」です。これを利用すればOpenSocial準拠のガジェットをページ上に配置できるコンテナサイトを構築可能で、サイト訪問者は自分のダッシュボード上でガジェットを選択したり、配置換えが行えたりすると説明します。またユーザが利用できるガジェットのリストの管理にも対応しているため、企業サイトなどにおいてガジェットの利用を適切に制限できるという際にも、安心して利用できるでしょう。

セッション3 GadgetとFatWire Web CMS

最後に登壇したFatWire株式会社技術部の木村潤氏は、⁠GadgetとFatWire Web CMS」と題してセッションを展開しました。このセッションでは、Webサイト上でスポーツ用品を扱っているオンラインショップを例にデモンストレーションが行われました。

FatWire株式会社
技術部 木村潤氏
FatWire株式会社 技術部 木村潤氏

最初はFatWire Content Serverを利用したガジェットの配信です。OpenSocialに準拠したiGoogleをコンテナサーバとして利用し、FatWire Content Server上のガジェットをiGoogle上に表示するというデモンストレーションでした。こうしてガジェットを配信することにより、ユーザは普段から利用しているWebサイト上に、気になる製品のカタログをいつでも表示しておくことが可能になり、顧客とのリレーション強化につながるガジェットの活用と言えるのではないでしょうか。

続けて、FatWire Gadget Serverによるコンテナサーバ構築のデモンストレーションが行われます。登録されているガジェットをユーザが自由に追加できる様子、さらにはレイアウトを変更したり、テーマとして設定されている色をユーザ自身で設定するといった内容の操作が実際に行われており、ガジェットを利用することによるメリット、そしてFatWire Gadget Serverのシステムとしての完成度の高さが分かりました。

なお、せっかくカスタマイズしても次にアクセスしたときに元に戻っていては利便性の向上にはつながらないでしょう。こうした不便を解消するために利用されているのが、ユーザ登録の内容とカスタマイズした情報を紐付けて記録するという仕組みです。FatWire Gadget Serverでも同様の仕組みが提供されているほか、カスタマイズした内容をCookieとしてユーザのPC内に保存できるため、ゲストユーザであってもカスタマイズは有効とのこと。ユーザ登録の敷居は決して低くないことを考えると、こうした仕組みはWebサイト運営者にとって心強いのではないでしょうか。

ガジェットの活用が今後のWebサイト運用の鍵

3つのセッションを通じて感じたのは、OpenSocial準拠のガジェットを活用することによって多くのメリットを実現できるのではないかということでした。コンテンツをガジェットとして表現することにより、他のWebサイトへ簡単にコンテンツを配信することが可能になるほか、自社のWebサイトにおいてもコンテンツ配信の自由度を高めることにつながるでしょう。また自社のWebサイトをコンテナサーバとすれば、ユーザに対してページを好みに合わせてカスタマイズできるという利便性を提供することにつながります。さらにエンタープライズ利用の観点から考えると、配信するガジェット自体の管理も行えるのは企業にとって使い勝手が良いと言えるのではないでしょうか。中嶋氏の語る「エコシステム」がまさに実現されるわけです。

ただ、こうした仕組みをゼロから実現するのは決して容易ではありません。その意味でガジェット配信サーバとして利用できるFatWire Content Serverと、コンテナサーバを容易に実現可能なFatWire Gadget Serverは、多くのWebサイト運営者にとって注目すべきソリューションと言えるのではないでしょうか。

アーカイブ
URL:http://bit.ly/aIuW9e
FatWire公式Twitterアカウント
URL:http://twitter.com/FatWireJP
FatWire株式会社
URL:http://cms.fatwire.com/
お問い合わせ
URL:http://bit.ly/6GelxW

おすすめ記事

記事・ニュース一覧