レポート

JQTouchやPhoneGap,jQuery Mobileを利用したモバイルアプリ開発と,オバマサイトのキャンペーンの裏側が語られた「Web Directions East 2010」レポート(後編)

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John Resig氏「モバイルJavaScriptとjQuery Mobile について」

今回のWeb Directions Eastのメーンセッションで,2つめの"モバイル"だ。技術的なセッションが4つあるうちの2つがモバイルであるのは,言うまでもなく世界的にモバイルが注目市場であるということだ。今後,業界のみならず一般層にもスマートなバイルへのリテラシーが高まっていくことは想像に難くない。

John Resig(ジョン・レシグ)氏は,現在爆発的に広まるモバイル開発よりも先駆けて研究を続けてきた第一人者のひとりだ。そう,jQueryとjQuery Mobileの開発者である。氏は,⁠モバイル開発は狂気の固まりだった。最近ではようやく⁠黄金時代⁠に入ってきている」と語る。

写真6 John Resig氏

写真6 John Resig氏

モバイルには無数のプラットフォームが存在する。このプラットフォームの多さが狂気の一つであり,多くの開発者を悩ませてきた。その現状を打破すべく,氏自身が開発したjQuery Mobileは,目標として"ポピュラーなモバイル端末をサポートすること"を挙げた。現状,もっとも多くのプラットフォームに対応しているライブラリだという。それには"多くの時間を検証期間に費やした"と,氏は語る。

まず,OSの普及率だ。最近iPhoneとAndroidなどの急成長振りが話題になっているが,グローパルにみてもっとも普及しているのはNokia SymbianOSである。次に,iOS 。そしてAndroidと続く。後者のほうが伸び率が高く見ても実はまだSymbianOSのほうが主流という状況なのである。氏は,⁠この統計を慎重に受け止めるべきだ」という。

写真7 jQuery Mobileを使ったサイト構築のデモ

写真7 jQuery Mobileを使ったサイト構築のデモ

次に,ブラウザではOperaが圧倒的に主流だ。次にiphone,Nokia,Androidと続いている。しかし,Androidはこの一年で10%の伸びを魅せている,これは⁠非常に大きな伸び"だと評価している。ブラウザといえば,バージョンも統計として知りたくなるかもしれない。しかし,氏によればモバイルブラウザにおける明確なバージョン統計は"存在しない"という。そこで,Yahooが先立って行ってきたグレードチートシート方式でのアプローチを採用。さまざまなブラウザのバージョンを調べ上げ,実装やレンダリングなど品質レベルに問題がないかチェック。そして,グレードをつけることによってサポートの線引きを行うことにしたのだ。しかし,それだけでは十分といえない。氏はモバイルの開発では,完全なテスティングにはシミュレーターだけではなく,実機が必要不可欠だとしている。

氏は,⁠無数のプラットフォームが存在するということを認識することが重要だ"として,現状の主要なモバイルデバイス用OSとそれに実装されているブラウザを紹介。以下に例を挙げる。細かい部分に関しては,実際のスライドを確認してほしい。

Symbian S60
  • SymbianOSでもっともポピュラー。
  • v5ではSafari 3.1をサポート。v3ではSafari2.0
  • Symbianは今後Meegoに移っていく
Symbian UIQ
  • NOKIAが2008年に買収
  • OperaMobile(8.6,8.65)に対応
iPhoneOS(iOS)
  • 最新のWebKit(Safari4)
  • 比較的高速に動作する。最新版では最速に近いとしている。
  • アップデートにより最新バージョンのブラウザを使える。氏曰く,これは大きなアドバンテージ。
Blackberry OS
  • 4.6未満はCSSやJavaScriptの実行が実質的に問題がある。
Android
  • 1年で10%の伸び率を上げるなど,面白い傾向にある
  • 様々なデバイスメーカーがOSとブラウザのバージョンを自由に決めているため,バージョンを統一させる事が難しく,問題になっている。
  • 今後主流になっていくと予想される。
Windows Mobile
  • 現在7.0
  • IE7をブラウザとしてミスチョイスしている
WebOS
  • PalmMobileOS
  • 将来的にはタブレット向けのOS
Maemo/Meego
  • Nokia。Symbianの後継。非常に高速なレンダリングエンジンを持つ。
Fennec
  • モバイル向けFirefox

最後に氏は,JQuery Mobileの現状と今後について,以下のようにまとめた。

  • リリース版は11年1月には発表できる
  • JavaScriptが非サポート環境でもも最低限の情報を提供できる。
  • header,footerはスクロール中は非表示となる。狭い画面で多くの情報を得るための配慮である。
  • テーマの実装が簡単で,かつアプリケーションにあわせたスウィッチ(変更)も可能である。
  • URLヒストリーの実装。
  • NavTabBarではデバイスの大きさ,種類に合わせて様々種類を選択可能。さらにスケーラブルな拡張ができる。
  • Formでは,どのデバイスでみても使いやすいようなデザインで提供される。大きな,選択要素が多いセレクトリストに対応。
  • リアルタイムのフィルター機能もデフォルトで実装されている。
  • モバイルの帯域確保はシビアな問題として,ファイルサイズ非常に小型(13KB⁠⁠。
  • リリース版ではかなりのクラスプラットフォームに対応した。以降も幅広く対応していく。

なお,スライドはWeb Directions Eastのサイトにアップされている。統計なども細かくまとめられているので必見だ。

写真8 質疑応答では,デバイス毎に違う画面でどのようにコンテンツを見せるべきかについても話していた

写真8 質疑応答では,デバイス毎に違う画面でどのようにコンテンツを見せるべきかについても話していた

著者プロフィール

加茂雄亮(かもゆうすけ)

株式会社ロクナナにて,ActionScriptを伴うFlashコンテンツや,AjaxコンテンツなどRIA開発に従事するフロントエンドエンジニア。テクニカルライターとしての一面を持ち,WEB・雑誌・書籍、媒体問わず執筆。また,イベントやセミナーでの講演など,精力的に活動している。

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