レポート

世界のクリエイティブを体感する「FITC Tokyo 2011」レポート(後編)

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「リアルタイムの追及」

続いて,Mr.doobことスペインからやってきたRicardo Cabello 氏のセッション。Mr.doobは12歳からプログラミングにはまり,Webテクノロジーを使って表現したり,おもちゃを作ったりしており,最近ではGoogleのWebGL推進プロジェクトROMEに参画している。FITC Tokyo 2011のセッションでは自分の作品の紹介よりは,彼がなぜこのような作品を作るようになったのかを取り上げたいとし,その背景を掘り下げて紹介した。

Mr.doob

Mr.doob

インスピレーション/原点はどこにあるかを述べるにあたり,1993年,11歳のときに486 PC(Intel486)を使っていた彼はあるときFuture CrewのSecond Realityというエフェクトに出会ってしまったと振り返る。

これはDemosceneというコンピューターの限界を追求しているムーブメントの産物なのだが,当時のコンピューターでリアルタイムに演算し,サウンドもついて10分間の映像が2MBという,想像を絶する軽さおよびパフォーマンスを追求していたことに当時のMr.doobは驚きと共に惚れ込んでしまったという。

同じ映像をQuicktimeムービーで再現すると343MB,15年前のエフェクトは2MBというのが,以下にWebテクノロジーを駆使したギークが突き詰めた表現であることが分かる。

その衝撃をきっかけにMr.doobはグラフィックとインタラクティブの勉強を十数年行ったそうだ。その影響が先に紹介したHTML5 WebGLのリアルタイムピクセル生成のROMEプロジェクトにつながっているのだろう。

すぐにエフェクトを確認できるように,エディタの背景が透過するものを使っているとのこと

すぐにエフェクトを確認できるように,エディタの背景が透過するものを使っているとのこと

2011年現在,WebGL,Stage3DのおかげでWeb上でもパフォーマンスよくリッチな表現がリアルタイムに生成でき,エフェクトとして活用可能だが,将来どのような表現が流通しているのかを考えてみようとMr.doobは続ける。これから5年後に見直すと2011年はこのような時代なのではないか?と彼が紹介したのがCarillon & Cyberiadのnumb resだ。

numb res

一秒間に200万パーティクルがリアルタイム生成されるこの映像はなんとわずか60MB。さらに5年後から振り返る今として紹介したのがFairlightのuncovering staticである。こちらは64KBファイルサイズの作品だ。Googleのトップページだけでも175.91KBあるのに,64KBの世界でリッチなエフェクト表現ができるWebテクノロジーの活用事例の紹介に会場からも思わず感嘆の声が漏れ聞かれた。

画像

最後に,Mr.doobが紹介したのがQuite & orangeのcdakという4KBのエフェクト表現も紹介した。

リッチな表現はファイルサイズが重くなりWebでの表現に最適ではないという定概念が一気に崩され,Mr.doobの紹介するDemosceneサブカルムーブメントが次のWeb表現を知るひとつの方法であることを学べるセッションとなった。

著者プロフィール

西村真里子(にしむらまりこ)

株式会社 バスキュール号 プロデューサー

日本IBM,アドビ システムズのWeb製品マーケティング担当を経て現職に至る。外資企業での経験を活かし日本発の良質のクリエイティブ,サービスを海外に展開する施策を前職,現職ともに行う。TEDxスピーカー経験&特許保持者。国内,国外問わずに人と出会うのが大好き。

URLhttp://twitter.com/mariroom