レポート

モバイル時代に求められるソフトウェアテストの形とは─「第2回 Androidテスト祭り」レポート

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GW初日の4/28,東海大学高輪キャンパスにおいて,第2回Androidテスト祭りが開催されました。

昨年夏に行われた第1回は,開発者の方々を中心に Androidアプリ開発におけるテストを考える場でしたが,今回は,アプリを利用あるいは企画・発注する方々にも視野を広げてテストを考える場として開催されました。

ソフトウェアの開発において,好むと好まざるとに関わらずテストは重要な位置を占めています。殊にAndroidアプリ開発では,デバイスとしての特性以外にも,端末フラグメンテーションの問題や,利用者の幅の広がりにともなうセキュリティの問題などが顕在化し,従来のテストだけでは品質をカバーできないという懸念が拡大しています。

「使うだけ」の人としての一般ユーザの幅の広がりとともに,アプリ開発においても,ソフトウェア技術者以外の人,たとえばアプリを企画する人々やクリエイターの方々も巻き込んで,テストを考えていかなくてはならない状況になってきているのではないでしょうか。そこで企画されたのが,第2回Androidテスト祭りです。

さて,当日の様子ですが,開催場所の東海大学高輪キャンパスに入ると,受付担当の大正浪漫華組(Androidテスト部)が出迎えてくれました。受付後,約500名収容の講堂に進むと,Androidのテストを軸に,アプリ開発を考えるための密度の濃い半日のスタートです。

今回の受付

今回の受付

テーマは【上層テスト】

もちろん今回のテーマは,受付の風景でご覧いただいた「大正ロマン」ではありません,あしからず。

V字モデルでの【上層テスト】⁠つまり受け入れテストやシステムテストをテーマとしたのは,開発者だけでなくユーザ,アプリを企画する側(発注者)⁠テストに関わるサービスを提供する側など,アプリ開発の関係者の立場,考え方をテストを軸にコラボレーションし,よりよいアプリ開発・提供に役立てようということです。

そのため,次の観点でセッションを準備しました。

  • リリース後のセキュリティ問題からさかのぼって品質,そしてテストを考える。
  • アプリを企画するが,開発は委託する立場つまりアプリ開発の「発注者」の視点で,開発したアプリをどのように受け入れているのか,すなわち受け入れテスト,およびその基準を考える。
  • Androidアプリ開発における,大きな課題であるフラグメンテーションに対応する方策を考える。
  • テスト作業を効率良くするためのツール利用を推進する。

特に,端末フラグメンテーション問題に対応するサービスとして,リモートテストサービスが立ち上がろうとしています(端末を貸すだけでなく,自動テスト環境をサポートする)⁠こういったサービスの可能性として,多数の機種およびバージョンのテストを,自前の設備としてすべて準備することなく,必要な時に必要な分だけテストを行う環境が短時間で準備できることにより,機能テストは深く,幅広い機種やバージョンについてはより広くテストができるようになる,という利点があります。

テスト祭りでは,リモートテストサービス提供者の方々に,現状および今後の戦略を語っていただくだけでなく,三社横並びで比較されることを恐れず,会場からの質問に真っ向から答えていただきました。リモートテストサービスの有用性がかなり理解されたこと思います。

そして,通常のソフトウェア開発で行われる,継続的インテグレーションのAndroidでの実践事例の紹介,さらにそれらを前進させるための議論がテスト部部員より講演およびデモという形で実施されました。

各講演は以下のプログラムに従い行われました。

13:00開会挨拶
13:10招待公演「Androidのセキュリティと品質保証の問題について」
14:10ユーザとベンダで生討論!みんなでつくる「受入れテストガイドライン」
15:30CI導入ライブ-jenkins ci server
16:50Lightning Talks
Androidの会テスト部「Androidアプリリリース作業の効率化」
⁠Hello,CI. Jenkins met gerrit.」/テスト部 gerrit導入 進捗報告
17:00三大リモートテストサービス 東海の大決闘!
18:05閉会挨拶
18:45懇親会

各講演プログラム別の注目ポイントをこれからご紹介します。

開会挨拶

開催挨拶として,長谷川 孝二氏(Androidテスト部)から今回の「テスト祭り」の⁠楽しみ方⁠の紹介がありました。

長谷川孝二氏

長谷川孝二氏

「去年の第1回では,V字モデルの下層,単体テストなどが中心のセッションで構成されていました。今回は,セキュリティや受け入れテスト,CI,リモートテストなど,Android開発上の課題を中心に,受け身ではなく要件定義および設計段階といった,前工程から品質の作り込むためのヒントが得られるセッションを準備しました。」⁠長谷川氏)

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なお,今回のテスト祭りは,参加申し込みが400名を超える規模になり,大人数でも収容できる会場を,東海大学のご厚意により提供していただくことができました。

また東海大学の濱本先生より,東海大学の最新の情報関連の設備の紹介がありました。こういった会合で時間のある場合は,キャンパス内のツアーも実施しているとのことです。

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今回の開催にあたり,東海大学メディア学科の皆様にご協力いただきました。開催場所が大学と言うこともあり,ハードルが高く思われている⁠テスト⁠について,学生の皆さんにも参加しやすい環境だったのではないかと思います。

著者プロフィール

早川隆治(はやかわたかはる)

株式会社 JIEC

農学部で微生物を相手にする傍ら,趣味と実験データ収集でPCをさわっているうちにソフトウェア業界へ。主に証券関連のシステム開発を担当,リレーショナルデータベース,オブジェクト指向などに興味をもち取り組む。ISO9000認証取得活動への参加をきっかけにソフトウェアおよびデータの品質向上を意識するようになり,近年はソフトウェアテストや品質管理,教育などが活動の中心。

Androidアプリ開発はテストの視点から勉強中。JSTQB ALを所持。

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