IDCフロンティア、拠点分散型クラウドストレージとSLA 99.999%サービスを今春開始─新年講演会にて発表

⁠株⁠IDCフロンティアは1月23日、同社主催の講演会を開催し、その席上で2013年に開始される2つのサービスを発表した。

拠点分散型クラウドストレージサービスの先行提供

ひとつ目は、⁠IDCフロンティア 分散ストレージサービス powered by Yahoo! JAPAN」⁠IDCF分散ストレージ)と呼ばれる拠点分散型のストレージサービス。同社がYahoo! JAPANと共同開発したサービスで、分散ストレージ基盤には同社が資本提携を行っている米Basho TechnologiesのRiak CSが採用されている。Riak CSはAmazon S3とAPI互換性をもっており、他サービスからの移行も簡単に行うことができる

同社ではかねてより「トライアングル メガDC構想」として首都圏に加え、東日本(福島県白河)および西日本(北九州)に大規模拠点を構築し、高速なレイテンシを保持した分散クラウド環境を提供している。IDCF分散ストレージはこのインフラを活用したサービスの一環で、拠点内でのデータの多重化保存に加え、西日本および東日本拠点の2拠点でデータを自動分散し、19ナイン(99.99999999999999999%)の堅牢性と6ナイン(99.9999%)の可用性を併せ持つ。また高速な接続により、他サービスと比較して最大約6倍のパフォーマンスを発揮するという。

新サービスを発表する⁠株⁠IDCフロンティア ビジネス推進本部の霜鳥宏和氏
新サービスを発表する(株)IDCフロンティア ビジネス推進本部の霜鳥宏和氏

正式なサービス開始は今春の予定だが、それに先立ち1月29日より無料でAPIとSDKの提供を開始、Web上で操作を行うコントロールパネルとサービスへの課金は正式サービス開始後の予定。

すべてのクラウドサービスのSLAを99.999%へ

ふたつ目の発表はSLA(Service Level Agreement)の向上。2013年4月1日より同社の全クラウドサービス(⁠⁠IDCフロンティア クラウドサービス」および「IDCフロンティア プライベートクラウドサービス⁠⁠)のSLAを、従来の99.995%から99.999%にアップする。これは同社サービスの過去半年間の稼働実績平均値が99.999%を超えていることから踏み切ることとなった。

たとえば月間を30日とした場合、SLA99.99%では月間の停止時間が259.2秒まで、99.995%では同129.6秒までなのに対して、99.999%ではこれが25.92秒までとなる。この保証値を下回った場合、月額費用の10%が減額される。

業界著名人の講演も開催

新サービスの発表に先がけ、元アップルコンピュータ日本法人社長を務めた、⁠株)リアルディア 代表取締役社長の前刀禎明氏、デロイトトーマツコンサルティング インダストリーユニット パートナーの八子知礼氏による講演が行われた。

前刀禎明氏
前刀禎明氏

前刀氏の講演は、アップル、ソニー、ディズニーなど、同氏がこれまで在籍した企業の理念を例に挙げながら、その創造性をもたらしたものは何か、時代を動かす鍵となるものは何かを示唆する啓発的なテーマをわかりやすい語り口で紹介するものだった。

八子知礼氏
八子知礼氏

一方の八子氏は、同氏の提唱する「モバイルクラウド」の時代がより進化し、単にモバイルデバイスからクラウドにアクセスする段階から、移動体通信の飛躍的な高速化からネットワーク、リソース、そいてデバイスまでもが仮想化された「モバイルクラウド2.0」のフェーズを迎えつつあるという分析を、豊富な資料を元に紹介。いずれも参加者の知的好奇心をくすぐる刺激的な講演だった。

おすすめ記事

記事・ニュース一覧