レポート

LPI-Japan,『エグゼクティブセミナー「HTML5/OSS ビジネスサミット 2014」~新たなビジネスを切り開くHTML5とオープンソース~』レポート

この記事を読むのに必要な時間:およそ 7 分

講演2:『「オープンソース活用のメリット」~大阪ガスグループ事例のご紹介~』

講演2として,⁠株)オージス総研 山口健氏が登壇した。

⁠株⁠オージス総研 山口健氏

(株)オージス総研 山口健氏

はじめに

⁠株⁠オージス総研(以下,オージス総研)は大阪ガスの100%子会社だが,事業会社という位置づけである。会社として利益を上げないといけない。

大阪ガスでは,ユーザ数は増えて行く。そのためライセンスコストが目立つ。また頻繁なソフトウェアのバージョンアップがある。商用製品は本当に品質が高いのかどうかについて疑問に思う。商用製品を使ったからと言って品質面は担保できない。

ベースコストの削減

まずはベースコストの削減を目指した。大阪ガスは品質を維持向上しながらベースコストを下げている。しかし,もっと削減するよう指示が出た。そのうちの取り組みのいくつかを紹介する。

大阪ガスグループ内のプラットフォームは集約している。ハードウェアの台数は集約されて削減されるが,しかし仮想サーバの数は変らない。そのためプロプライエタリのサーバをOSSに切り替えている。Linuxのエンタープライズ領域の定着にともない,OS,アプリケーションサーバ,RDBは商用と品質は変らない。

それでも一般的な会社がOSSに舵を取れないのは,ミドルウェアが商用製品に依存した作りになっているか,それともメンタルな面なのか,もしかしたら後者が一番大きいのではないかと思う。

オージス総研ではこれを工夫して解決している。基盤はOSSを使用し,必ずアプリケーションはこれを使ってやりなさいとガバナンスを徹底している。ミドルウェア以下の変更にともなってアプリケーションライセンスの変更は大きくならないようにしている。

認証認可ID管理もユーザ数が増えたときにライセンスコストが膨大になる。オージス総研ではこれらもOSSのプロダクトを使用している。グループ社員だけでなく,大阪ガス利用者用のサイトもあるが,商用製品を使うことは難しいので,OSSを使用している。

徹底して標準化する

オージス総研でこれまで徹底的に行ってきたのは標準化である。JavaでWebアプリケーションを開発してきた。フィールド業務も多い。もともとモバイル系の業務が多かったが,爆発的にモバイル系のニーズが増えた。

端末は3万台弱ある。大阪ガスグループの共同購買で価格を抑えた。しかし,端末を選定して,共同購買して,在庫管理をして,標準環境をインストールして,配布して,ライフサイクルごとに回収して,廃棄して,と膨大な手間がかかる。付加価値がかかるところではないが,人件費がかかる。

今後は2つに集約されるであろうと思う。1つはシンクライアントである。もう1つは実行環境としてのHTML5である。

オージス総研がそれに向けてどういうことをしているかを紹介する。ここまでOSSを推している中で,開発環境も商用製品を使用したくない。多くのパートナ会社には開発者がたくさんいる。そのため商用製品はコストがかかる。

世の中ではデファクトスタンダードのOSSの開発環境が出てきている。そこで標準を作って開発部に提供し,HTML5アプリケーションを開発して行く。

アプリケーションの問題

私はこれまではOSSによる基盤のコスト削減のお話をしてきた。しかし,アプリケーションの問題があるので,それだけではコスト削減に限界がある。

OSSのプロダクトはいったん開発してサービスを提供すると急に利用が促進される。

顧客は商用製品だろうがOSSだろうが,きちっとベンダーがサポートしてくれることが重要と考える。

オージス総研にコストの話として顧客からよく言われるのは,一般的な商用製品は購入して保守費用を払うが,ものによってはOSSのほうが,サブスクリプション費用が高くなる。しかし,一般的な商用製品はメジャーバージョンアップがある。それに余計に費用がかかる。OSSはそれも保守費用に含まれるので,余分な費用がかからない。

皆が勝手にいろいろなプロダクトを使用するとノウハウが分散してしまう。標準化して枯れたものを使用したほうが良い。

しかし標準環境と非標準環境がある。システムの特性からプロプライエタリの製品も若干使用している。

新たなビジネス領域ではHadoopなどどんどん新しいものを取り入れないといけない。枯れてきたら徐々に標準化して行く。

ベンダーのスイート製品も入れ替えも少しずつ行っている。サポートの不安はあるが,うまく商用OSSを使う。OSSは最悪の場合でも何とかできるためである。

さいごに

OSSを導入するのは,プロジェクトを立ち上げるとき,ライフサイクルが終わるとき,バージョンアップという節目のときが良い。ユーザ数が多いときは標準化して使うものを少なくして,OSSを導入する。

オージス総研のエンジニアもコミュニティーにコミットして行く。

著者プロフィール

林也寸夫(はやしやすお)

gihyo.jp編集部の中の人。

URL:https://www.facebook.com/clagas2003

コメント

コメントの記入