レポート

実践主義のフロントエンドエンジニアに大切なことは「思いやり」の心構え ~Frontrend Conference 基調講演

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エキスパートになるために大事なこと

実践主義的なフロントエンジニアを目指すにあたっては欠かせないポイントととして,次の5つを挙げました。

  1. できないと言わないこと
    オプションを提示する。エンジニアでない人たちから見たら魔法のように思える技術の壁に逃げ込まないようにする。
  2. 壊れ窓の中で仕事をしない
    自分自身の手に届く範囲くらいにある,壊れていると感じたデザインやコードそのものは可能な限り早く修正する。もともと犯罪学で使われる壊れ窓理論により,ニューヨークの犯罪発生率は下がったとされている。プログラミングにおける様々な犯罪も抑止できるかもしれない。
  3. デティールに神は宿る
    あきらめることとは違うが,本当にバグが存在しないソフトウェアはたぶん存在できない。ユーザーにって,未来にメンテナンスする人にとって,そして何より自分自身の心の平安のために,最低限愛するプロダクトを目指す。
  4. 知識を増やすための時間を定量的に設ける
    いまある知識に満足することは決してない。常に危機感を持って新しい知識を追い求める。
  5. コミュニケーション!
    自分自分の評価,価値みたいなもの,自分が生み出したプロダクトの価値をきちんと伝える。信頼とか,新しいチャレンジングな仕事を得るためのコミュニケーション力を培う。

斉藤氏は,⁠わたし自身も道半ばですが,エキスパートになるべく努力を惜しまないでほしい」と述べました。

今後のフロントエンジニアに求められるもの

Webだけではなくネイティブがある中で,フロントエンドはこれからも必要とされるのでしょうか。

斉藤氏は,答えはYesだと言います。⁠ただ,今と同じことをし続けることはありません。フルスタックエンジニアと言う言葉は好きではありませんが,これから求められる人材は様々なスキルをミックスできる人。専門性が重要ではないという話ではなく,どんなアプリやサービスにおいて本当に必要なものは,様々な専門性を持った人たちで構成されるチーム。求められる専門性をチームで発揮できる人は,自分自身の持つ専門以外の奥深さを知っている」と述べました。

そのためには,今日のセッションで話した,次の4つのポイントの重要性を指摘しました。

     BE COLLABORATIVE  // コラボレーションが大事
     BE ADAPTIVE       // 変化に対応しよう
     BE RESPONSIBLE    // 作っていくものに責任を持つ
BE (AN) EXPERT         // エキスパートになるためにどうすれば良いか

英単語の頭文字を縦に見ると,CAREになります。斉藤氏は「CAREを日本語に訳すのは非常に難しいのですが,勇気をもって会えて言葉を選び,⁠思いやり』と訳したい。優れたアプリやサービスは,多くの才能ある人たちが惜しみなくその総力を注ぎ込んだ結果のはずです。皆さんも自身がかかわっているアプリやサービスに対して,もう一度CAREみたいなものを再認識してみてください」と語りました。

まとめ

最後に斉藤氏は,Steve Jobsによる2005年のスタンフォード大学卒業式の時のスピーチから「先を読んで点と点をつなぐことはできません。あとから振り返って初めてできるもの。そのような点は必ず未来でつながることを信じなければならない」という言葉を引用しました。

何かを学ぶにあたってはじめのうちは,それはほんとに正しいことなのか,ほんとに将来役に立つのか,すごく不安になる瞬間が必ずあるけれども,この言葉通り,点と言うものが必ずつながってくると話します。

そして斉藤氏は,これまでのFrontrendの活動に結び付けて,次のように述べて今回の基調講演を締め括りました。

「これは知識だけではなく,人にも同じことが言えると思い始めています。わたしはこのFrontrendを通じてほんとうにいろいろな人たちと出会うことができました。会ってきた一人ひとり,話してきた一人ひとつのトピックが今の私が持っている考え方を形作ってきたと思っています。

Frontrendは本日のカンファレンスを持って,一旦の区切りとさせていただきます。この会そのものにすごく感謝していますし,この会を支えてくれたすべての人に感謝します。また,わたしがFrontrendで登壇する機会は今日で最後となりそうですが,Frontendはどこにいったりもしません。必ずあり続けるものだと思います」⁠斉藤氏)

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著者プロフィール

高橋和道

gihyo.jp編集部 所属。最近では電子書籍の制作にも関わる。

URL:https://twitter.com/k_taka