レポート

ユーザが慣れた環境でコンテナを導入することが最も重要 ―「Project Atomic Meetup」でRed Hatのブロックマイヤー氏に聞く

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Red Hatが開発を進めているコンテナに特化した軽量OS「AtomicHost」のコミュニティマネージャを務めるジョー・ブロックマイヤー(Joe "Zonker" Brockmeie)氏が,6月3日~5日に開催された「LinuxCon Japan 2015」に合わせて来日しました。その際,日本法人であるレッドハット⁠株⁠で開催された「Project Atomic Meetup」に参加し,Project Atomicの最新情報を取材したのでその模様をレポートします。

ジョー・ブロックマイヤー氏

ジョー・ブロックマイヤー氏

ブロックマイヤー氏は,まずProject Atomicの概要について紹介しました。Fedora,CentOS,それにRed Hat Enterprise Linux(RHEL)のそれぞれのプラットフォームに対応したAtomicHostが開発されていることを説明し,⁠なぜAtomic用に別ディストリビューションを作らなかったのか?」という問いを自ら挙げたうえで,⁠すでにユーザが慣れているOS上でコンテナを動かすことが最も重要。そのためにもう1つのディストリビューションを作るのは賢い選択とは思えない」と説明,⁠Atomic Hostの開発は, 常に最新の機能を盛り込むFedoraで行われ,その次にCentOS,それからRHELに対応する順番になるだろう」とリリース方針を示しました。

AtomicHost注目の新機能,SPCとCockpit

次に現在開発が進む新機能「Super Privileged Container(SPC)とCockpit」が紹介されました。ブロックマイヤー氏によれば「コンテナはもともとアプリケーションをアイソレーションさせて依存関係をなくし,ポータブルにしたものだが,デバッグや管理のためにホストのシステムや他のコンテナと接続することが可能な特権を持ったコンテナが必要となった。そのためにSPCを開発した」ということです。

また,Dockerコンテナの管理ツールであるCockpitは「実際にはAtomicHostが開発されるよりも前に,Red Hatの中でプライベートなプロジェクトとして開発されていたソフトウェア。AtomicHostのプロジェクトを始めるときに『そういえばそんなツールがあったよね』みたいな感じで掘り起こされたもの」とのこと。つまりサーバを管理するためのツールでありますが,コンテナを管理対象とすることができるもののようです。

この後,実際にノートPCでAtomic HostとCockpitを稼働させるデモを行い,いかに少ないリソースしか要求しないかを,モニターしながら解説しました。Meetupに参加した参加者からは「Cockpitはプロダクションのシステムに適用できるのか?」という質問が出ましたが,これに対して「Cockpitはまだベータの段階。なのであくまでも開発やテスト用として使ってほしい」と答えていました。

さらに,社内で開発されていた別のソフトウェアで,rpm-ostreeというOSのアップデートのための機能も紹介されました。rpm-ostreeはOSのアップデートなどを行う際に現在のOSのスナップショットを保存しておき,何か不具合が発見した際にリブートして以前のOSイメージへのロールバックを可能にするもので,これもProject Atomicの中で利用されているそうです。

CoreOS RocketとAtomicHost

Meetup後の懇親会で,Dockerに対抗するコンテナ技術Rocketについて聞いてみました。

─⁠─CoreOSが推進するコンテナ技術,Rocketについてどのように考えておられるのか教えてください。
ブロックマイヤー:Rocketは,たしかにコンテナ技術に対する1つの回答ではありますが,Red HatとしてはDockerを主として実装することを考えています。
─⁠─システムインテグレータなどから,「これからはDockerではなくRocketなのでは?」と聞かれることがあるのですが,それに関してはどう思われますか?
ブロックマイヤー:コンテナは基本的にはアプリケーションを動かす技術であって,コンテナそのものが重要なのではありません。これから数年のうちにもっと別のコンテナ技術が出てくるかもしれないのです。ただしRed Hatのスタンスで言えば,企業ユーザがすでにRHELやCentOSなどを使ってシステムを構築しているのが実態であると思います。なので,現時点で動いているシステムから大きく変えたりすることなくコンテナ技術を導入できることが必要です。そのためには既存のプラットフォームを維持することが重要なのです。Rocketをすぐに導入したいというユーザとして考えられるのは,まったく新しくビジネスを起こすベンチャーですね。しかし,実際にそういうユーザは少ないのではないのでしょうか。

Project Atomicでは,活発に活動しているコミュニティメンバーが現在20~30名程度なので,もっと多くのデベロッパに参加してほしいとのこと,興味のある方はプロジェクトにコンタクトしてはいかがでしょうか。

著者プロフィール

松下康之(まつしたやすゆき)

フリーランスライター&マーケティングスペシャリスト。DEC,マイクロソフト,アドビ,レノボなどでのマーケティング,ビジネス誌の編集委員などを経てICT関連のトピックを追うライターに。オープンソースとセキュリティが最近の興味の中心。

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