レポート

IoT,車載システムを進化させるQtのポテンシャル ―「Qt World Summit 2016」レポート

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はじめに

2016年10月18日~20日の3日間,アメリカ,サンフランシスコでQt World Summit 2016 (以下QtWS) が開催されました。会場はフィッシャーマンズワーフの有名な観光スポットであるPier 39に近い,Pier 27のJames R. Herman Cruise Terminalでした。

会場となったPier 27のJames R. Herman Cruise Terminal

会場となったPier 27のJames R. Herman Cruise Terminal

QtWSは,C++のクロスプラットフォーム開発フレームワークであるQtの世界的なカンファレンスです。昨年と同様The Qt Company主催で行われ,The Qt Companyが主催になってから2回目,サンフランシスコでは初の開催となりました。

QtWSに先立って,2016年9月1日~4日にはQtCon 2016(以下QtCon)が開催されました。QtConではQt 6の話題にも触れるなど,中長期的な内容が扱われていたのに対し,QtWSでは直近の最新情報の詳細が扱われていました。

QtWSの内容としては,例年同様,初日にプリカンファレンスという位置づけでトレーニングがあり,2日目以降は本格的なカンファレンスとして,キーノートやセッション,スポンサ企業によるデモブースが設けられました。全体を通して,Qtの最新情報,IoTやUX等流行のトピックに絡めた内容,Qt Automotive Suite (車載ソフトウェア開発パッケージ),OpenGL,Qt Quick,Qt Creatorについて等,さまざまなトピックが扱われていましたが,ここでは,QtConではあまり触れられていなかった以下の点を中心にレポートします。

  • Qt 5.7,Qt 5.8,Qt Liteの詳細
  • IoT,UX等流行のトピックに絡めた内容

ここからは,大きくトレーニング,キーノート,セッション,デモブースに分けてそれぞれの内容を記載します。

トレーニング

初日はプリカンファレンスという位置付けで,KDAB社,ICS社,froglogic社によるトレーニングが行われました。翌日からのキーノート・セッションの理解を深めることが目的になります。

今回のトレーニングは以下の7つのコースがあり,受講者は申込み時にどれか1つを選択しておく必要があります。

  • Debugging and Profiling for Qt (KDAB)
  • Whats new in C++11/C++14? (KDAB)
  • Introduction to Qt 3D (KDAB)
  • Model/View Programming in Qt (KDAB)
  • Effective QML (ICS)
  • User Experience Design for Embedded and Mobile Devices (ICS)
  • Qt GUI Testing with Squish (froglogic)

トレーニングは基本的には講義形式で行われましたが,「User Experience Design for Embedded and Mobile Devices(ICS)」のようにグループディスカッションを中心に進められたものもありました。

初日トレーニングの模様

初日トレーニングの模様

私は「Model/View Programming in Qt(KDAB)」に参加しました。このコースでは,Qtの基本的な理解がある人を対象に,Qtのモデル/ビューアーキテクチャの概念や使い方が講義されました。講師は,QtとOpenGLの豊富な開発経験を持ち,全米でQtのトレーニングコースの講師をしているJim Albamont氏です。受講者は30人程度で,講義中は受講者が積極的に質問をしていました。説明が淡々と行われるわけではなく,サンプルアプリケーション実装のデモもあり,実装がイメージしやすかったです。デモの途中で,講師の方が「ここはどう実装すれば良いと思いますか?」と受講者に質問しながら進めていたことで,頭を使いながら講義を聞くことになり,より理解を深めることができました。

キーノート

2日目,3日目は本格的なカンファレンスが行われ,The Qt CompanyのCEOであるJuha Varelius氏の挨拶をもってキーノートが始まりました。両日ともセッションを挟んで最初と最後にキーノートがあり,2日間で約10項目のトピックが紹介されました。ここでは,直近の最新情報であるQt 5.7,Qt 5.8に触れた「The future is written with Qt」の詳細なレポートと,その他のキーノートの簡単な紹介を記載します。

The future is written with Qt

このキーノートでは,The Qt CompanyのCTOであるLars Knoll氏から,Qtの最新情報や今後の戦略について説明がありました。

Lars Knoll氏によるキーノート

Lars Knoll氏によるキーノート

キーノートの内容は大きく以下の項目に分けられます。

  • アプリケーション開発向けQtのステータス
  • デバイス開発向けQtのステータス
  • Qt Lite

ここでは,「アプリケーション開発向けQtのステータス」「デバイス開発向けQtのステータス」について詳細をレポートします。「Qt Lite」については,関連するセッションの内容とまとめて紹介します。

著者プロフィール

千田順子(ちだじゅんこ)

株式会社SRAのエンジニア。2016年からQtチームに配属され,Qtのアプリケーション開発を担当している。

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