レポート

Clovaが切り拓く未来:コミュニケーションプラットフォームからライフスタイルプラットフォームへ――LINE DEVELOPER DAY 2017開催

この記事を読むのに必要な時間:およそ 3.5 分

2017年9月28日,ヒカリエホール(東京・渋谷)にて,LINEが開催する技術カンファレンス「LINE DEVELOPER DAY 2017」が開催された。

LINE DEVELOPER DAY 2017
http://linedevday.linecorp.com/jp/2017/

同カンファレンスは,日本での開催は今回で3回目となる,LINE主催のエンジニア向け技術カンファレンスで,同社のプロダクトやサービスなどを支える技術,エンジニアにフォーカスを当て,同社のエンジニアはもちろん,パートナーや関連企業からのエンジニアも参加し,終日,技術に特化したセッションによるプログラムが行われた。

過去2回は,HALL A/Bの2トラックでのセッションが行われていたが,今回はさらにカジュアルトークと位置付けたHALL Cでの3トラック目のセッションが用意され,今まで以上に濃い,そして,細部にまでこだわった内容が見受けられた。

2015年の「グローバル化とLIFE」,2016年の「オープン化」の先へ~LINEが目指すAIプラットフォーム

日本で3度目の開催となるLINE DEVELOPER DAY(以降LINE DD)⁠今回の注目は何と言っても,先日発表されたばかりのLINE AIプラットフォームの「Clova」だ。では,なぜ,今,LINEがAIプラットフォームに取り組んでいるのか,その狙いについて午前の2つのキーノートから紐解くことができた。

そこで,このセッションを中心に,これからのLINEとLINEの技術・サービスについて展望しながらカンファレンスの模様をレポートしたい。

LINEの今,LINEを支えるエンジニアと技術力

オープニングセッションを担当したのは,上級執行役員CTOの朴イビン氏。朴氏は,LINEおよびLINEファミリに関するさまざまなデータを引用しながら,LINEの現在について紹介した。

今,LINEでは日に250億個のメッセージのやり取り,ピーク時には1秒あたり42万個ものメッセージが送られているそうで,まさに単なるメッセージングツールの枠を越えて,コミュニケーションインフラとして非常に重要な役目を果たしていると言えるだろう。また,企業アカウントを中心としたメディアであったり,ゲームやマンガのようなアプリケーション,さらに,決済機能であるLINE Payによる経済圏の構築など,多様な形でユーザの日常に近づいてきていることについて,データを交えながら紹介した。

この状況をこれからさらに発展させるべく,朴氏は今後の技術的展開について発表を行った。

LINE上級執行役員CTOの朴イビン氏

LINE上級執行役員CTOの朴イビン氏

バンコク,ハノイに続き,日本の京都ブランチを2018年春に開設

現在,LINEは日本国内に東京,福岡,韓国・ソウル,中国・大連,台湾・台北の5ヵ所に開発拠点を持つ。2017年に入りタイ・バンコク,ベトナム・ハノイにも開発拠点を広げた。そして,ここ日本の新たなる開発拠点として,京都ブランチを2018年春に開設することが発表された。

ソーシャルグラフAPIをはじめ,さらなるオープンAPIの拡張

開発拠点の拡張に合わせて,同社の技術拡張についても触れられた。とくに印象的だったのが,オープンAPIの拡張である。2016年のLINE DDでは,chatbotとそれに紐付くメッセージングAPIの開放が行われ,今では,LINEを活用したさまざまなchatbotサービスが生まれている。

今回はその先に進むものとして,リッチメニューAPIや新しいメッセージテンプレートを近日中に公開し,2018年春にはLINEプラットフォームにおける「ソーシャルグラフAPI」が公開されることが発表された。これは非常に大きな発表で,2017年9月現在,国内の月間アクティブユーザ数が7,000万人,そこに企業や店舗による公式アカウントが紐付くLINEのソーシャルグラフ情報が公開されることは,今まで以上にLINEを通じたインターネット上のつながりが拡張できることになる。

これはまさに同社が考える「スマートポータル戦略」を,より充実させていくものになると筆者は考えている。

また,2018年内のロードマップには,このあと詳細な発表が行われたClovaに関するもの(Clova SDK)やIoTプラットフォームなど,メッセージングから日常生活にまで広がる技術展開が予定されており,エンジニアにとってはますます腕の見せ所が広がる可能性が広がった。

エンジニア支援・育成を目指すLINE API Expert制度の制定

開発拠点や技術ロードマップに続き,朴氏のセッション最後に発表されたのが,エンジニア自身をサポートするための資格制度「LINE API Expert」である。

この資格制度は,LINEが提供するAPIなどの技術普及を促進する活動を積極的に行う外部エンジニアを認定し,その活動を支援するプログラム。

外部イベントでの関連情報の発表やSNS/Blogなどでの情報発信,API/SDKなどへのフィードバックといった活動について,後日公開予定のLINE API Expert応募サイトからの申請に基づいて評価・認定が行われる。認定されたエンジニアに対しては,その活動の支援に加え,非公開およびβ版プログラムへの参加・使用権や有償サービスの無償提供などの提供が予定されている。

以上,オープニングセッションから非常に盛りだくさんの,そして,これからのLINEが進む方向が垣間見れる内容を聞くことができた。この流れを受け,今,LINEが最も注力している「Clova」について,同社Data Labs/Clova Centerの橋本泰一氏が発表した。

著者プロフィール

馮富久(ふぉんとみひさ)

株式会社技術評論社クロスメディア事業室室長。

1975年生まれ。横浜市出身。1999年4月株式会社技術評論社に入社。入社後から『Software Design』編集部に配属され,2004年1月に編集長へ就任。同2004年9月に『Web Site Expert』を立ち上げ,同誌編集長に就任,現在に至る。その後,2008年9月に設立したクロスメディア事業部(現クロスメディア事業室)に配属。現在,社外活動として電子書籍を考える出版社の会の代表幹事やWebSig 24/7のモデレーター,TechLIONプロデューサーなども務める。過去にIPAオープンソースデータベースワーキンググループ委員やアックゼロヨン・アワード他各賞審査員などの経験を持つ。

Twitte ID:tomihisa(http://twitter.com/tomihisa/

コメント

コメントの記入