レポート

「NEXT」に向かって~メルカリを支える技術を大公開――Mercari Tech Conf 2017開催

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リージョンの拡張と"Scalabe and Elastic"

リレー形式の基調講演,トリを務めたのは現在USリージョンに配属され,2017年4月よりメルカリのCTOに就任した名村卓氏。

メルカリCTOの名村卓氏

メルカリCTOの名村卓氏

名村氏は,柄沢氏の内容を受け,"Scalabe and Elastic(拡張性と伸縮性)"というテーマで,メルカリの技術の今とこれからについて,CTOの立場で紹介しました。

⁠2017年現在,3つのリージョンが存在していることで,各リージョンごとに独自の進化・拡大が進んでいます。リージョンごとのバラバラないために"Scalabe and Elastic"なチームづくりを意識します」と,国の壁を越えて存在する組織運営の複雑さ・難しさに対する1つの解としての"Scalabe and Elastic"戦略であることが伺えました。

続いて「"Scalabe and Elastic"を実現するうえで意識しているのが3つの指針です」と紹介されたのが,

  • Ownership
  • Automation, Karakuri
  • Progressive

という指針でした。

Ownershipは,言葉の意味のとおりプロダクトに対してオーナーシップを持てる環境づくりを意味します。これを徹底して実現するための手段として,メルカリ各技術のマイクロサービス化を推進しているとのこと。

この動き自体はメルカリのエンジニアチーム内の一部(SREチーム)ではすでに進められていたそうで,それを全社的に推進する動きになりました。とくにリージョンごとに共通化するためのAPI Gatewayを構築したとのこと。また,クライアントアプリケーションの置き換えのタイミングで通信部分のマイクロサービス化を図ることで,時間的短縮も実現できたそうです。

メルカリにおけるマイクロサービス化のアプローチ。API Gatewayの構築から展開している。kubernetesによる管理の自動化も進めている

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ちなみにマイクロサービス化を進めるにあたって採用されている言語については,⁠USリージョンでは(結果的に)Go言語が多いです」と名村氏は補足しています。

2つ目の「Automation, Karakuri」⁠これは「いわゆる気合で解決」ができない規模感になった組織として,また,個人のスキル・知識だけでは対応できない状況をなくすための指針として用意されたものです。

⁠社内の業務において2度同じことをした場合は自動化のサイン」とし,サインが出た場合は自動化を検討しているそう。また,自動化をするために重要なものがKarakuri(カラクリ)で,物事の仕組みを理解して解決する考え方を指します。

この指針が生まれた背景には「ミスをしてはいけない環境づくりではなく,ミスをしても良い(対応できる)環境を作ることを目指したから」⁠名村氏)と,エンジニアリングと言えども最終的には人が関わる部分が多くある中で,⁠ミスは起こりうるモノ」⁠そして「万が一のミスで状況を悪化させないことが大事」という,同社の理念が垣間見えたように筆者は感じました。

3つ目の「Progressive」は,スタートアップやベンチャー企業にとっては欠かせない指針です。⁠たとえ規模が大きくなってきても,つねに足を止めず,新しい技術,良い手法を探求し採用する意識を持っていたい」と,挑戦者の気持ちをなくさないための指針を言語化したものと言えるでしょう。

こうした中,今,メルカリのエンジニアチームの中でとくに注目されているのが「AI&マシンラーニング」「ブロッチェーン」の分野とのこと。

AI&マシンラーニングに関しては,すでにメルカリのサービス内で実験的に採用されるなど,今後,形になって出てくると予想されます。一方のブロックチェーンについては現状発表できるものはないとしたうえで,⁠C2Cマーケット×ブロックチェーン」の組み合わせで,新しい価値を創造していきたいと,名村氏は力強くコメントしました。

著者プロフィール

馮富久(ふぉんとみひさ)

株式会社技術評論社クロスメディア事業室室長。

1975年生まれ。横浜市出身。1999年4月株式会社技術評論社に入社。入社後から『Software Design』編集部に配属され,2004年1月に編集長へ就任。同2004年9月に『Web Site Expert』を立ち上げ,同誌編集長に就任,現在に至る。その後,2008年9月に設立したクロスメディア事業部(現クロスメディア事業室)に配属。現在,社外活動として電子書籍を考える出版社の会の代表幹事やWebSig 24/7のモデレーター,TechLIONプロデューサーなども務める。過去にIPAオープンソースデータベースワーキンググループ委員やアックゼロヨン・アワード他各賞審査員などの経験を持つ。

Twitte ID:tomihisa(http://twitter.com/tomihisa/

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