レポート

これからの業務アプリにXAMLがもたらす可能性―「ECHO Tokyo 2017」で見えた業務アプリ開発の未来

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これからの業務アプリに求められるもの

福地:

「入力画面があって,データのグリッド表示があって,最後に印刷」というのが業務アプリの定番でしょうか。要するに,これまでは印刷結果を求める道具として,入力機能や表示機能を持った業務アプリが発展してきました。しかしこれからは,印刷を前提とせず,入力や表示だけを行う業務アプリが出てきてもよいと思います。データがネットワーク経由で流れることで業務のワークフローを実現できるのであれば,印刷は不要になるでしょう。

スマートフォンやタブレットの隆盛は,ユーザのコンピューティング体験を大きく変え,印刷の必要性を劇的に減らしました。いつでもオンラインでネットを利用できるデバイスが手元にあるなら,どこでもデータの入力や確認ができます。デバイス環境の変化が,業務アプリに及ぼす影響の一例といえるでしょう。

福地雅之氏

福地雅之氏

スマートフォンやタブレットばかりではありません。たとえばSurface Hubのような巨大なディスプレイに多人数が同時に触れながらコラボレーションを行うデバイス,Windows MRのように仮想現実や複合現実を利用可能にするデバイスも登場しました。身近なWindowsのデスクトップにしたところで,今後は高解像度ディスプレイを備えたPCへの対応が必須の要件となってきます。

Surface Hub(写真提供:日本マイクロソフト)

Surface Hub(写真提供:日本マイクロソフト)

こうした新しいデバイスが業務のあり方をどう変えるのか? その答えを得るにはもう少し時間が必要かもしれませんが,業務アプリとてこうした変化に無縁ではいられないでしょう。

XAMLがもたらす新たな種類のアプリ

「ECHO Tokyo 2017」では,⁠株)マーベリックの秋葉卓也氏によるセッションで,そうした新たな種類の業務アプリが紹介されました。その中の1つが訪日外国人向けの地下鉄の券売機です。

従来の券売機(上)⁠株⁠マーベリックが開発した訪日外国人向けの地下鉄の券売機(下)ECHO Tokyo 2017」におけるマーベリックの秋葉卓也氏のセッションより)

従来の券売機(上)と(株)マーベリックが開発した訪日外国人向けの地下鉄の券売機(下)(「ECHO Tokyo 2017」におけるマーベリックの秋葉卓也氏のセッションより)

従来の券売機(上)と(株)マーベリックが開発した訪日外国人向けの地下鉄の券売機(下)(「ECHO Tokyo 2017」におけるマーベリックの秋葉卓也氏のセッションより)

上は,従来の券売機のUI(右側の東京メトロの券売機では外国人向けのUIが表示)⁠下は新たに開発され,実際の導入が開始された新しい券売機です。従来の券売機では,単にキップの値段が表示されるだけでしたが,新しい券売機では,日本の鉄道に不慣れな外国人でも迷わず使えるように,必要なUIを一から見直したといいます。

次の図の「モック版」⁠試行版」⁠リリース版」は,UIをブラッシュアップする過程です。UIをブラッシュアップしながら,使いやすさを追求した結果,ディスプレイの物理的なサイズが,当初案からより大きなものに変更されたそうです。

券売機アプリのUIの変遷(⁠ECHO Tokyo 2017」におけるマーベリック 秋葉卓也氏のセッションより)

券売機アプリのUIの変遷(「ECHO Tokyo 2017」におけるマーベリック 秋葉卓也氏のセッションより)

XAMLを使うと,画面のデザインとアプリケーションのロジックを分離して記述できます。ロジックと独立して画面デザインを変更できるので,プロトタイプのフィードバックで画面デザインにある程度大きな変更があっても,開発工数に大きな影響を与えることなくUIを変更できます。

変わったのはデザインだけではありません。開発の過程で必要があり,アプリケーションプラットフォームが当初のWindows RT(Windowsストアアプリ)から,最終的にはWPFに変わったといいます。⁠方言」にも例えられるプラットフォームごとの「語彙」の違いがあるとはいえ,ストアアプリとWPFはともにXAMLでUIを記述するため,このプラットフォーム変更も大きな負担なく可能でした。

ここで紹介した例はコンシューマ用途で,一般的な業務アプリではここまでリッチなUIを用意する必要はないのでは,と考える向きもあるかもしれません。しかしスマートフォンやタブレットの普及は,業務アプリユーザの意識も変えつつあります。

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