レポート

オープンソースの持つ“熱さ”を実感 ―「オープンソースカンファレンス2018 Kyoto」レポート

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平成生まれのためのUNIX&IT歴史講座

jus(日本UNIXユーザ会)の幹事を務める法林浩之氏,榎真治氏が登壇したこのセッションは,jusの会報「/etc/wall」に記された35年分の活動記録から,UNIXにまつわるトピックを含め,IT分野全般に渡る当時の状況を紹介するという内容。シリーズものの講演として企画されており,年代別に5年前後の範囲を取り上げていきます。今回の対象時期は2010年代前半です。

日本UNIXユーザ会 法林浩之氏

日本UNIXユーザ会 法林浩之氏

日本UNIXユーザ会 榎真治氏

日本UNIXユーザ会 榎真治氏

2009~2012年:クラウド時代の幕開けとJavaScriptの台頭

2009年~2012年ごろにかけては,クラウドやスマートフォンの登場が大きなトピックといえます。jusが協賛・後援している「LLイベント」⁠Internet Week」などのイベントの記録では,クラウドや仮想化をテーマとしたセッションが実施され始めたのがこのころです。

HTML5の話題が盛んになったのもこの時期であり,法林氏は,ブラウザがHTML5に対応しはじめたこと,iPhoneがスマートフォン版Webサイトの作成にFlashではなくHTML5への対応を求めたことなどが理由ではないかと推測していました。また,非同期通信を利用したGoogle MapsなどのWebアプリが登場し,Node.jsの出現によってサーバサイドの実装もできるようになったことでJavaScriptの注目度が急上昇した,との話もありました。

ネットワーク関係では,IPv4アドレスの枯渇問題についてもさまざまな動きや議論があったといいます。日本においてはIPv4アドレス枯渇への対応を進めるためのタスクフォースが設立され,jusも参加しています。

2013~2014年:AWSがコミュニティ主体で版図を拡大

2013年~2014年ごろにかけては,継続的インテグレーション(CI)の普及とAWS(Amazon Web Service)の台頭が主なトピックとして挙げられました。榎氏は,Jenkinsをキーワードにしたセッションが,LLイベントやjusの勉強会などで多く見られたと報告。また,AWSコミュニティが全国に拡大したことで,AWS関連のイベントが増加したといいます。このころからAWSがクラウド分野をリードするようになり,コミュニティ主体のマーケティング方法が注目されるようになったのではないか,と榎氏は推測していました。

次回は1990年代前半がテーマ

次回のjusによる講演は,11/10(土)に開催されるKOF(関西オープンフォーラム)にて行われます。その際には,1990年代前半を対象時期とした講演を行うとのことです。

LT大会&閉会式

恒例のLT大会

今年のOSC Kyotoも,恒例のライトニングトーク(LT)大会が行われました。熱中症対策というタイムリーな話題から,一転して「雪」にまつわるシビックテックの紹介が続き,分散型SNS「Mastodon」についてなど,多種多様な話題で盛り上がりました。OSC実行委員会を運営している宮原徹氏も登壇し,Sctatchを用いてArduino経由でドローンをワンクリックで飛ばすというパフォーマンスで場を盛り上げました。

Scratchを使って飛ばしたドローンを回収する宮原徹氏

Scratchを使って飛ばしたドローンを回収する宮原徹氏

来場者数1万人への期待

その後に開かれた閉会式では,OSC2018 Kyoto実行委員長の宮下健輔氏が登壇。2011年からの来場者数は通算で8,500人にのぼり,2020年までに1万人を突破するかもしれないとのこと。そして,⁠もしサマータイムが導入されたら,みなさん(忙しくて)ここに来れないかも」という冗談も交えて,会場に笑いを巻き起こしました。

OSC2018 Kyoto実行委員長 京都女子大学 現代社会学部 宮下健輔氏

OSC2018 Kyoto実行委員長 京都女子大学 現代社会学部 宮下健輔氏

Scratchのフォーマットで定義された,OSC閉会式から家へ帰るまでのフロー

Scratchのフォーマットで定義された,OSC閉会式から家へ帰るまでのフロー

食べ過ぎ注意の懇親会

閉会式のあと,OSC恒例の懇親会が開かれました。一般の参加者でも,講演の登壇者や企業ブースの担当と自由に語りあうことができるフランクな場です。

懇親会では,OSC名物である大量の焼きそば,カレー,パスタなどが振る舞われ,関西ならではのサービスとして山盛りのたこ焼きが目を引きました。食欲旺盛な若者のために出されるようになったといいます。筆者はタイムテーブルの関係上,興味のあったセッションをすべて回ることは残念ながらできませんでしたが,オープンソースコミュニティが持つ熱量を実感できた1日でした。

著者プロフィール

宮島幸太(みやじまこうた)

Software Design編集部所属。技術評論社2018年入社。